ノーベル物理学賞にミシェル・マイヨール氏ら3人

ノーベル物理学賞にミシェル・マイヨール氏ら3人
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ことしのノーベル物理学賞にスイスのジュネーブ大学のミシェル・マイヨール氏ら3人が選ばれました。
スウェーデンのストックホルムにある王立科学アカデミーは日本時間の8日午後7時前、記者会見を開き、ことしのノーベル物理学賞にスイスのジュネーブ大学のミシェル・マイヨール氏とディディエ・ケロー氏、それにアメリカのプリンストン大学のジェームズ・ピーブルス氏の3人を選んだと発表しました。

マイヨール氏とケロー氏は、1995年に地球からの距離がおよそ50光年と、光の速さでおよそ50年かかる場所にあるペガスス座の51番星という恒星の周りを惑星が回っていることを突き止めたと発表しました。太陽系の外で、惑星が発見されたのは、これが初めてでした。

またピーブルス氏は、宇宙の始まりである「ビッグバン」が起きた直後から現在までの宇宙の進化の様子を理論的に研究するうえで大きな貢献をしたことなどが評価されました。

ピーブルス氏「本質に迫る発見…とても興奮した」

ことしのノーベル物理学賞に選ばれたアメリカのプリンストン大学のジェームズ・ピーブルス氏は、会場からの電話インタビューに応じ、「私が1964年に宇宙の研究を始めたとき、実験や観察はあまり進んでいなかったので不安を抱いたが、思いつく研究を一つ一つ重ねていった」と振り返りました。

そして、「宇宙の成り立ちはこれまで理論的には説明されていたが、証拠がなかった。理論と観察を組み合わせた研究によって私たちが住む世界の本質に迫る発見をすることができ、とても興奮した」と述べました。

そのうえで、ピーブルス氏は若い研究者たちに対して「科学への愛情を持って研究に臨みなさい。こうした賞をいただくのはとてもありがたいことだが、それが決して目的ではない。科学の道に進むのは、その魅力にひかれるからだ」とアドバイスしました。

「予想もしない世界観の確立に大きな貢献」

今回の受賞について、東京大学大学院理学系研究科の須藤靖教授は「ピーブルス氏は、宇宙の中で銀河がどのように分布しているのかという基礎的な理論の確立に大きな貢献をした。そしてマイヨール氏とケロー氏は、太陽系の外に惑星があることを初めて見つけ、宇宙の中にある星の周りは惑星で満ちているということを証明した」と話しています。

そのうえで「3人の研究は、宇宙がどのように形成され進化してきたか、宇宙の138億年の歴史をひもとき、これまで予想もしていなかった世界観の確立に大きな貢献をした」と話しています。

「宇宙研究する者としてうれしい」

ことしのノーベル物理学賞に選ばれたアメリカのプリンストン大学のジェームズ・ピーブルス氏と交友があり、宇宙は誕生直後に急激に膨張したという「インフレーション理論」を提唱した東京大学名誉教授の佐藤勝彦さんは「ピーブルス先生とは一緒に食事をしたことがあるが、本当に丁寧で研究者を思いやる、温和な方です。私が研究している宇宙論と系外惑星の話が直接結び付くわけではないが、分野は違えど、ノーベル賞を受賞したことは同じ宇宙を研究する者としてうれしいことです」と話していました。

「人類史上 非常に重要な発見」

ことしのノーベル物理学賞に選ばれたスイスのジュネーブ大学のミシェル・マイヨール氏は4年前に科学や芸術の発展に貢献した人に贈られる「京都賞」を受賞しています。

このとき選考委員を務めた天文学者で京都大学の柴田一成教授は、マイヨール氏の研究について、「多くの研究者が挑戦しても探し出せなかった系外惑星を初めて発見し、人類が太陽系の外に進出したり地球外生命体を探したりする研究の最初のステップを作りました。人類の歴史の中でも非常に重要な発見です」と功績をたたえました。

柴田教授は京都賞の授賞式の晩さん会で同席したマイヨール氏の印象について、「私たち日本の研究者や研究の内容についてもよくご存じでした。非常にフレンドリーで、学生たちが一緒に写真をとってほしいとお願いすると、気さくに応じてくれました」と話していました。

今回、ことしのノーベル物理学賞に選ばれたことについて、「いつか選ばれると待っていたので、本当にうれしかったです。これまで星の観測などを通して経験してきた宇宙のおもしろさを、ノーベル賞の受賞者として若い人たちに発信していってほしい」と話していました。