「グリーン投資」拡大へ 産業界のトップ集まり初の国際会議

「グリーン投資」拡大へ 産業界のトップ集まり初の国際会議
地球温暖化などの対策に力を入れる企業を投資先とする「グリーン投資」の動きを広げようと、世界の産業界や金融界のトップが集まった初の国際会議が東京で開催されました。
都内で開かれた会議には、アメリカやヨーロッパなどからおよそ300人が参加し、イギリスの中央銀行のカーニー総裁は、「気候変動に伴うリスク管理が必要で、対応している企業に投資することが主流にならなければならない」と述べました。

地球温暖化など気候変動への対応が課題となる中欧米を中心に温室効果ガスの削減などに力を入れる企業に優先的に投資する「グリーン投資」の動きが広がっています。

このため会議では、「TCFD=気候関連財務情報開示タスクフォース」と呼ばれる企業に気候変動に関する情報の開示を促す取り組みが議論され、経営陣の関与や経営戦略などを投資家が読み解くポイントを定めた「グリーン投資ガイダンス」を取りまとめました。

この中で投資にあたっては、気候変動に対する取り組みを取締役会が監視しているかどうかや、将来的な気候変動に備えた経営計画を決めた過程などを評価することが重要だと指摘しています。

菅原経済産業大臣は会議で、「気候変動への対応はコストではなく、競争力の源泉だという認識を共有し、環境と成長の好循環の第一歩につなげたい」と述べました。

政府は、今回のガイダンスを通じて企業の気候変動に向けた情報の開示をさらに進め、「グリーン投資」の拡大を促したいとしています。

TCFDとは

企業が「グリーン投資」を受けるにあたって重要だとされるTCFDは、気候に関連した財務情報の開示を企業に促すタスクフォースで、金融の安定を図るための国際的な組織によって2015年に設置されました。

気候変動が企業経営にとってリスク、あるいはチャンスになるとして、企業に具体的な対応を投資家に向けて開示することを求めています。

具体的には洪水や暴風雨、干ばつなどによって工場が稼働しなくなったり、エネルギーや原材料の供給が止まったりするといった「物理的なリスク」への対応、温室効果ガスの排出量をめぐる政策や世論の変化などによる「低炭素経済への移行リスク」への対応の開示です。

経済産業省によりますと、先月26日の時点で世界で855の企業や機関がTCFDに対応していて、このうち最も多いのが日本で、金融機関のほか三菱商事や日立製作所、花王、トヨタ自動車など、194となっています。

このうち、気候変動に伴う財務上のリスクとして、伊藤忠商事は各国で排出量取引が導入されると火力発電のコストが増えること、商船三井は環境に配慮した輸送を望む荷主から次世代の船舶への移行を求められ投資が増えること、住友林業は森林火災や樹木の病害虫の発生で木材の調達コストが上がることなどを挙げています。

そのうえで各社は、世界の平均気温が産業革命前の19世紀後半に比べて2度、あるいは4度上昇した場合などのシナリオをもとに、企業の取り組みを公表しています。