SNSで広がった 視覚過敏に優しい“緑のノート”

SNSで広がった 視覚過敏に優しい“緑のノート”
「緑色のノートを探しています」

ひとりの女子高校生がつぶやいた声に、大人たちが素早く反応しました。

白い色がまぶしく感じられる「視覚過敏」。

悩んでいた高校生の声はSNSで拡散し、ノートの製本工場が色付きの製品をすぐに開発。さらに大手の販売店では、つぶやきをきっかけに色付きノートの品ぞろえを充実させました。

優しさのつながりを取材しました。
(映像センター カメラマン 宮田峻伍)

高校生の困りごと 5万人が拡散

ことし6月9日、ひとりの高校生がSNSで困りごとをつぶやいたのが始まりでした。
「私は視覚過敏があるため、白いノートをあまり使いたくありません。ノートの白が光を反射し、鉛筆の線が見にくくなるからです。幼い頃から顔を近づけて影を作らないと文字が書きづらく、また、良いノートであればあるほど紙質がよく綺麗な白で、目が痛かったのを覚えています」(高校生のツイート)
このツイートをした高校生は、白いノートをまぶしく感じる視覚過敏に悩まされてきました。視覚過敏とは感覚過敏の一つで、目から入る情報への感度が高いため、特定の色が見えづらかったり、光をまぶしく感じる症状のことをいいます。
「グリーンノートは私のような視覚過敏の人のためだけではなく、症状のない妹も『目が楽、使いやすい』と言っていました。なので、もしもこのツイートをノートを取り扱っている会社の人が見てくれたなら、ぜひグリーンノートを作って販売してほしいです」(高校生のツイート)
このツイートは多くの人の共感を呼び、数日でおよそ5万人がこのツイートを拡散しました。

約60歳差 SNSの交流

高校生の真剣な声を、いち早く受け止めた町工場の社長がいます。

東京 北区でノートの製本工場を営む中村輝雄さん(76)です。
ことしから始めたSNSを通じて、つぶやきから3日後に高校生のことを知りました。
「水平開きノートのおじいちゃんです。少しでもお力になれるのならば水平開きで一日も早くお作りします。製本するにあたって紙の詳細を知りたいのですが濃いグリーンか淡いグリーンのどちらがよろしいでしょうか?お返事お待ちしています。料金は頂戴致しませんのでご安心下さい」
中村社長は、すぐに色の見本をまとめた台帳を取り出して、緑色のページを撮影し、高校生にどの色がよいか、SNSを通じて尋ねました。
すると高校生から返事が届き、「うぐいす色のものがよい」と聞くと、翌日にはノートを作り終え、高校生のもとへ届けました。
「もしこういうものが世の中にあったらいいなというのがあったらSNSで投げかけるのもいいんじゃないでしょうか?そうすると物を作るっていうのは年に関係ございませんので。自分の作ったものを喜んで使っていただける、こんな最高なことはございませんよ」(中村社長)
高校生のために無償で作った緑色のノートは反響を呼び、いまは製品化されて全国の書店や文房具店で販売されています。その結果新しい製品が生まれ、同じ悩みを持つ人のもとへと広がりました。

生活雑貨店も動き出す

高校生のツイートは、大手の生活雑貨店・東急ハンズのSNS担当者にも届いていました。
SNS担当の本田浩一さんは、文房具のバイヤーに連絡をとり、すぐに緑色のノートを取り寄せました。高校生のつぶやいたその週末には全国の店舗で緑色のノートを販売し始めました。
「SNSがあるおかげで私みたいな企業の従業員が直接一般のお客様とコミュニケーションを取れる手段をふだんから持てることにすごく意義があると思いますし、無かったら今回みたいに困ってる方の声が直接われわれに届くことは無かったと思いますので、とてもうれしい現象だったなと思います」(本田さん)
高校生のつぶやき以降、この生活雑貨店では緑色のノートの取り扱い数を増やしました。結果、例年では年間で400冊ほどの売り上げだったものが、ひと月に2000冊近く売れる定番商品になったと担当者は話しています。

つぶやきでつながりを

つぶやきを発信した高校生に、今の心境を聞いたところ、こんなメッセージを送ってくれました。
「私は緑のノート1冊で、普通の人と変わらず授業を受けることができました。きっと他の人たちも、手助けや工夫で生きやすくなります。こんなに簡単に意見できる時代なのだから、困っている人はどうしたら自分が生きやすいか発信すべきだし、周りは周りで助け合えば良いと思います」(高校生からのメール)
困っている人が声を上げ、助けたいと思う人が応える。「緑色のノート」を通じて、SNSが助け合いの力をより大きくしてくれると実感しました。
映像センター カメラマン
宮田峻伍

平成23年入局
大津放送局、神戸放送局を経て報道局映像センター

    

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