休日も届き続けるメール!つながらない権利とは?

休日も届き続けるメール!つながらない権利とは?
きょうは休みだ、さあ何をしよう?そんな時に、スマートフォンが鳴り、開いてみると、会社からの業務メール。みなさんも経験ありませんか。働き方改革が叫ばれるなか、深夜や休日に仕事をすることが少なくなり、勤務時間は以前より減ったという声が聞かれます。その一方で仕事を終えて帰宅したはずなのに業務メールが届き続け、「仕事をしているのか休みなのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。そうした中で注目を集める「つながらない権利」。みなさんはどう考えますか?(ネットワーク報道部記者 成田大輔)

1日500通!メールが鳴り止まない

50代の男性は海外との取り引きが多い会社で10年あまり働いていました。しかし、海外展開の広がりと社内での役職が上がるにつれて、業務メールの数と早急な対応が迫られる責任の重さは増していったといいます。

1日に届く業務メールは多い時には500通以上。日本は夜でも海外では動きがあるため昼夜、休日関係なくメールが届き続けたといいます。仕事に関するメールを見逃してはいけないと、風呂場とトイレ以外にはすべてノートパソコンを持ち歩き、遠出もほとんどすることができませんでした。寝るのは朝3時までの2、3時間だけ。自宅に帰っても寝る直前まで仕事をしているため、夢の中でも仕事をしているような状況だったといいます。

男性はうつ病を発症し、メールの返信もだんだんできなくなっていき、この夏、会社を退職しました。

男性を苦しめていた自宅でのメール対応の時間は勤務時間にはカウントされていませんでした。

男性は「24時間、仕事だけに追われる毎日で精神的に追い詰められていきました。デジタルツールが普及する中、何らかのルールを決めないと健康を害する人が増えると思います」と話しています。

“スマホがいつも鳴っている”

駅に広告を設置する仕事をしていた40代の男性会社員も健康被害を訴えています。

広告の設置作業は電車の運行を終えた夜中に行われますが、自分が休みの日でも夜中にメールが届き、眠れなかったといいます。メールアドレスは職場の共用アドレスを7人で使っていたため、他の人の仕事の連絡もすべて転送されていました。

休日でも、仕事のトラブルがあったら対応しなければと思い、スマートフォンはいつも手放せませんでした。連絡を気にするあまり、何度もスマートフォンを確認するうちに、男性は実際には着信がなくても、スマートフォンが鳴っているように感じるようになったといいます。

幻想振動症候群って?

精神科医の浅川雅晴さんは、こうした症状について「幻想振動症候群」という脳が緊張した状態が続き、自律神経が乱れることによって引き起こされると説明します。

実際に、東京・江東区にある浅川さんのクリニックにも、こうしたスマートフォンなどが影響したとみられる患者が増えているといいます。気のせいだと思って放置していると、不眠や記憶障害などにもつながってしまうといいます。

浅川さんは、「通勤の電車を見回してもスマートフォンで仕事のメールをチェックしたり、情報収集をしたりと、今の人たちは脳が休まる暇がない。うつ病の症状を訴える患者も増えているし、深刻な問題になっている」と話しています。

業務時間外メールにNO!“つながらない権利”

海外では業務時間外の連絡を規制しようという動きが広がり始めています。

専門家によりますとフランスでは、2017年に業務時間外に会社から仕事の連絡があっても労働者側が拒否できる「つながらない権利」を定めた法律が施行され、労使間で協議することが義務づけられました。
「つながらない権利」はイタリアでも法制化されたほか、こうした動きはカナダ、イギリス、フィリピン、ニューヨークなどほかの国や都市でも広がっているということです。

日本でも相談相次ぐ

一方、日本ではまだ「つながらない権利」について法制化の動きはありません。

しかし、今回の取材で、休日の時間外のメールや連絡に悩まされる人の深刻な訴えを相次いで耳にしました。長時間労働の相談を受け付ける「総合サポートユニオン」にも、業務時間外の連絡についての相談が多く寄せられているといいます。

総合サポートユニオンは「働いている人はどうしても業務時間外の連絡を断りにくい雰囲気があるのでこれを変えていかなければならない。働き方改革は会社にいる時間をただ、減らせばいいのではなく体と心をきちんと休ませることができるのかを考えて進めるべきだ。1人で悩まずに相談してほしい」と話しています。

みなさんの体験をお寄せください

業務時間外のメールを受け取っているが、一方で、自分が送り手側になっているという人も多いと思います。

業務時間外の連絡を減らすには、どうすればいいのでしょうか。簡単にできることとしては、以下のことが考えられます。
テレワークやオンライン上での仕事のやりとりは今後ますます進むとみられ、個人の疲労はますます見えづらい時代になっていきます。職場のマナーやルールを改めて考える時期にきているのかもしれません。

「つながらない権利」について私たちは取材を続けています。読んでいただいたみなさまからの情報提供をお待ちしています。