公園の遊具で遊べない なぜなの?

公園の遊具で遊べない なぜなの?
「足を震わせながら登ったドキドキ感」
「一気に滑り降りる爽快感」
「暗くなるまで逆上がりの練習をした鉄棒」
子どものころ、公園のジャングルジムや滑り台などの遊具で遊んだという人も多いと思います。実はその遊具が使用禁止になるケースが各地で出ています。なぜなのか。遊具の安全性ってどうなっているのか。取材を始めました。
(「公園の遊具」取材班)

40%の遊具が使用禁止

ことし3月から5月にかけて岡山市は市が管理する465か所の都市公園でおよそ700の遊具を一斉に使用禁止にしました。都市公園にある遊具全体のおよそ40%にあたります。
ジャングルジムや滑り台、ブランコ、シーソーなどの遊具には立ち入り禁止の黄色いテープが巻かれ子どもたちが遊ぶことができなくなりました。公園にあるすべての遊具が使用禁止になった公園も20か所ほどあったといいます。

使用禁止となった遊具は、定期点検の際に業界団体が定めた基準で子どもの頭や体が挟まるなど命に関わったり、重い障害が残ったりする事故が起きるおそれがあり「使用不可」と判定されたものでした。

たとえば滑り台では階段の段の隙間が12.7センチから23センチまでの場合は子どもにとっては危険があり、体が隙間に入ると首が絞められてしまうおそれがあるとされました。

岡山市は遊具の使用禁止について公園の利用者の安全を最優先に考えたとしていて「このまま使い続ければ重大な事故が起きてしまう可能性もある」としています。

「息子ががっかり」市民からは驚きと落胆

その一方で岡山市では市民への使用禁止について周知が遅れたことから戸惑いが広がりました。
公園を利用する保護者:
「近所の公園で滑り台が使えなくなって、息子もがっかりしている」

「遊具が使えないことを知らず、『立ち入り禁止』と書かれていて驚いた。早く知らせてほしかった」
岡山市によると使用禁止にしたあと、ことし5月ごろまでは利用者からの問い合わせが相次いだということです。中には「立ち入り禁止の黄色いテープが遊具に巻かれているがいたずらではないのか」などといった声もあったそうです。

撤去・修繕に2億円~3億円

このため岡山市ではホームページで使用禁止にした遊具とその修繕状況などを公開することにしたほか、市内の1500ほどの町内会に周知が遅れたことについて謝罪の文書を送りました。

岡山市ではおよそ2億円から3億円かけて今年度中に使用禁止にした遊具の撤去や修繕を終えるそうで、さらに今後、小学校や幼稚園に遊具の適切な使い方を呼びかけるチラシも配布することにしているということです。

さいたま市も市内の公園にある遊具のうち、およそ20%にあたる770余りの遊具で重大な事故が起きるおそれがあるとしてことし6月、使用を中止する方針を明らかにしました。

「遊具狩り」「子どものためになるの?」

公園の遊具の使用禁止が相次いでいることについてネット上では疑問や子どもへの影響を心配する声がつぶやかれています。
「最近近所の公園遊具が軒並み使用禁止になってる。さしずめ遊具狩りといった按配。この動きは全国的なものなんだろうか?」
「最近なんか公園の遊具がやたら使用禁止になってんだよな。安全基準が満たされてないからとか。それに文句はないけど、なるべく早く安全基準を満たす措置をしてくれないかな。遊具が目の前にあるのに遊べない状況がつらい」
「『危険なものには触らせない』というのは管理する側の効率化で考えられていて、『危険なものへの対処を可能にする』ことが、成長する当人には求められる」
「子供を守るためにすべきことは危険を遠ざけることではなく、危険を教えることだと思う」

定期点検が義務づけ

公園の遊具は危険なのか、安全なのか。取材を進めると以前は明確な国の基準というものがなかったことがわかりました。

基準ができたのは平成14年。国土交通省が子どもが大きなケガをする事故が相次いだことを受けて、都市公園の遊具の安全確保に関する指針を示しました。

さらに近年、高度成長時代に作られた橋や道路などのインフラの老朽化や安全性の問題がクローズアップされ、去年から公園を管理する自治体などに年1回程度の遊具の点検が義務づけられました。

使用禁止は自治体が判断

この定期点検の際に使われる基準の参考とされているのが遊具メーカーなどで作る「日本公園施設業協会」(JPFA)がまとめた「公園施設の定期点検に関する規準」です。

これによると遊具の形状や構造を見る「規準判定」と劣化を判断する「劣化判定」の2つの項目で点検を行います。

「劣化判定」の最低評価にあたる「d」と診断されると、そのまま使うと高い確率で事故になる可能性があるとして直ちに使用禁止と診断します。

「規準判定」において最低評価で命の危険あるいは重度の障害をもたらす危険があるとされる「ハザード3」の診断をされた場合、使用不可と診断しますが、気をつけて使えば危険を回避することも可能な場合もあります。

岡山市がことしの春、およそ700の遊具を使用禁止としたのは、「劣化判定」が「d」もしくは「規準判定」が「ハザード3」と判定されたためです。

ただ定期点検後の遊具の使用に関しては公園の管理者に任せられることになっています。このため自治体によっては定期点検で危険があると診断されてもそのまま遊具が利用できるケースもあります。
「日本公園施設業協会」の角南勇二専務理事は「点検で使用不可となった場合も改修費用などが課題となり、すぐに改修ができない場合もある。だからといってすぐに使えなくするべきかというと、公園によっては他に遊具がない場合もあり、判断が難しいことも少なくない」と話します。

「公園の遊具」について私たちは取材を続けています。「遊具で子どもがけがをした」「遊具の安全性はどうなっているのか」読んでいただいた皆様からの情報提供をお待ちしています。

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