宇宙ごみ掃除へ 「大きな一歩」 川崎重工業

宇宙ごみ掃除へ 「大きな一歩」 川崎重工業
使い終わったロケットなど、いわゆる「宇宙ごみ」。年々増え続け、大きな課題になっています。宇宙ごみを除去する研究開発に取り組んでいる川崎重工業は、ごみを除去する衛星に指令を出すための地上の基地局を開設しました。

国際宇宙ステーションに衝突の危険も

内閣府などによりますと、地球からの観測で確認している大きさ10センチ以上の宇宙ごみはおよそ2万個にのぼるほか、1ミリ以上の宇宙ごみは1億個を超えると推定され、正確な数は分かっていません。

宇宙ごみは秒速7キロから8キロという猛烈なスピードで地球を回っていて、運用中の衛星や国際宇宙ステーションに衝突すると深刻な被害が出るおそれがあります。

実際、2009年には使用を終えたロシアの衛星と運用中のアメリカの通信衛星が衝突し、3000個以上の破片が飛び散る事態も起きています。
人工衛星は気象観測や位置情報の提供など暮らしに欠かせない存在になっているため、今後も世界中で打ち上げが増える見込みで、それに伴って宇宙ごみをどのように除去するかが大きな課題になっています。

岐阜県に基地局開設

川崎重工業が岐阜県各務原市で開設したのは、人工衛星に指令を出すための基地局です。ビルの屋上に直径3メートル70センチのアンテナが設置されています。
川崎重工業は、宇宙ごみを捕獲してそのまま大気圏に落下し、燃やしてごみを除去する特殊な人工衛星の開発に2011年から取り組んでいて、今回の基地局から、衛星に指令を出す予定です。

会社は来年度、宇宙ごみ除去の技術的な検証をするために小型の衛星を打ち上げて実証実験を行う予定で、衛星の2分の1の大きさの模型も公開されました。

実際の衛星の大きさは60センチ四方の立方体で、宇宙空間に打ち上げたあと、宇宙ごみに接近する技術などを確かめるということです。
実証実験は1年かけて行われ、最終的には2025年度に宇宙ごみ除去の実用化を目指すとしています。

どうやって取り除く?

川崎重工業が開発している人工衛星は、大型の宇宙ごみを捕獲して除去するもので、高度1000キロ以下の軌道にある使い終わったロケットの上部などが対象となります。

打ち上げられた衛星は、宇宙ごみとなったロケットの姿を確認すると、距離や捕まえやすい場所がどこかを推定しながら画像センサーを使って接近します。

そして、捕獲しやすい場所に移動し金属製のアームを伸ばしてごみを捕まえて速度を落とします。

その結果、衛星は宇宙ごみと一緒に地球の重力で大気圏に落下し、燃え尽きるということです。
小型の人工衛星は従来のものよりもコストが安く、川崎重工業は年間5基を打ち上げて、大型の宇宙ごみを5つ除去することを目標しています。

川崎重工業宇宙システム設計部の久保田伸幸部長は「基地局の開設は大きな第一歩だ。宇宙ごみが残ったままだと、今後、われわれの生活に影響する可能性があり、そうなる前に除去したい」と話していました。

参入相次ぐ

宇宙ごみの除去をめぐっては、同じような仕組みをJAXA=宇宙航空研究開発機構も実用化に向けて実験を進めています。

また、日本のベンチャー企業のアストロスケールなども衛星の開発を本格化させるなど、参入が相次いでいます。