サンマが イカが 日本の海から消える!? いったい何が?

サンマが イカが 日本の海から消える!? いったい何が?
記録的な不漁が続き、スーパーでは例年に比べ高値で並ぶ秋の味覚サンマ。「さんま祭り」では初物が間に合わず、冷凍の魚を使う事態も相次ぎました。“異変”はサンマにとどまらず、北海道などではスルメイカも激減。

実は身近な海の幸が日本周辺の漁場から姿を消しつつあるんです。背景の1つとされているのが地球温暖化による海水温の上昇。海ではいったい何が起きているんでしょうか?

「1匹もとれない」漁業者の悲鳴

秋の魚の代表格・サンマは海面近くの水温が10度から15度になる8月以降、北海道から千葉県にかけて来遊します。

この時期から各地でサンマ漁が盛んになりますが、ここ数年、不漁が続き、ことしも漁業者から悲鳴が上がりました。

先月中旬には北海道根室市の港で、サンマの水揚げがなく競りができない異例の事態となったほか、岩手県大船渡市の祭りでは不漁で初物の水揚げが間に合わず冷凍のサンマがふるまわれました。

秋の味覚 大移動

なぜ、サンマがとれないのか。

背景の1つと指摘されているのが「海水温の上昇」と「漁場の移動」です。

水産研究・教育機構の分析では不漁となった2016年は豊漁だった2009年と比べると釧路市の沿岸など北海道の東側で
8月下旬の海面近くの水温がおよそ20度まで上がり、漁場は700キロほど北東に移動していました。

三陸沖でも10月中旬におよそ300キロ、東へ移動していたんだそうです。

今月17日に北海道の東600キロあまりの沖合でサンマ漁船が転覆し、乗組員のうち1人が死亡、7人が行方不明となっている事故では、近海で魚が取れないことから、遠く離れた海で漁をしていたということです。

サンマの旬にも変化が?

気象庁によりますと2018年までのおよそ100年で、日本の周辺海域の海面の水温は年間の平均で1度あまり上昇しています。

これは、世界の平均の上昇温度よりも高い値です。海域別に見ると日本海中部で1.7度、東シナ海北部や四国、東海沖では1.2度あまり上がっています。水産研究・教育機構によりますと水温が1度程度変化すると、魚によっては漁場が大きく移動する可能性があるということです。

今後、温暖化が進むと、サンマの漁場が日本近海から遠ざかるほか、漁のピークが北海道の東沖では10月上旬から11月上旬に、三陸海域では11月中旬から12月中旬以降に時期がずれていくと予想されています。

漁業への影響について水産研究・教育機構の木所英昭さんは外国漁船との競合や資源量の減少も背景にあるとしたうえで、「魚は自分の好む水温で回遊する特性がある。今後、さらに水温が上昇していくと私たちの食文化にも影響が出てくると考えられる」と話しています。

サンマだけじゃない イカの“異変”

サンマにとどまりません。日本人が古くから食べてきたスルメイカでも“異変”が。

全国有数の水揚げ量を誇り「イカの街」として知られる北海道函館市。平成22年以降、水揚げ量が減少傾向にあり、ことしの市の取扱量は今月20日までで287トンと統計が始まって以来、最も少なくなりました。

減り続けるイカ 対応できる漁業を

イカの生態に詳しい函館頭足類科学研究所の桜井泰憲 所長によりますとスルメイカの産卵場となる日本海で産卵が盛んに行われる10月の海水温が平成12年以降、生まれたばかりのスルメイカの生存が難しくなる24度を上回る状態が断続的に続いているということです。

桜井所長は「取れる魚や時期が変化している。海の温暖化に対応できる漁業のありかたを考えていく必要がある」と話しています。

また福井県でも1990年代までスルメイカの漁獲量は年間、2000トンから4000トンで推移していましたが、2000年代に入ると1000トン台となり、去年の漁獲量は165トンにまで減っています。

魚よ!どこへ行く 産地の対応

”漁場の移動”はほかの魚でも起き始めています。

主に西日本の魚とされてきたサワラは青森県など北日本の沿岸でも漁獲量が増える傾向に、長崎県や島根県などでとれていたブリは、北海道で多くとれるようになってきています。
「イカの街」函館市では変化に対応するため、スルメイカ以外のブリなどの魚介類を使った新商品の開発や設備の導入に取り組んでいる地元の企業に最大で1000万円を補助する制度を設けました。
また地元の水産高校はブリのオイル漬けの缶詰の開発に取り組んでいるほか、函館駅前の朝市では味付けしたブリのどんぶりの提供が始まっています。

衝撃の報告書 漁獲量減少や大規模災害への警鐘

こうしたなか国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)がある報告書をまとめました。

温暖化によって海洋環境が変化することで、今世紀末までに世界の海全体の生物の量が最大で20%減るほか、漁獲可能な魚の数も最大で24%減少しうるとする、衝撃の内容です。

漁業に依存する地域では、食糧をめぐる紛争や対立の引き金にもなりうることなどを指摘しています。

さらに個別の適応策では断片的で限界があるとして、世界全体で温室効果ガスの削減を進めることや、海洋に関するデータや予測などの情報の共有を国や地域を越えて進めることやそうしたノウハウのない地域への支援の必要性を指摘しています。

また報告書では、グリーンランドや南極の氷が溶け続けることなどで、世界の平均海面水位が、今世紀末までに最大で1メートル以上上昇する可能も指摘しています。
報告書によりますと2050年ごろまでには海面上昇によって台風の高潮などによる「100年に1度」とされる大規模な災害が、人口の多い都市や島しょ国で毎年のように起こるようになると指摘し、警鐘をならしています。