巨人 4年間逃し続けた優勝 原監督のチーム改革で立て直し

巨人 4年間逃し続けた優勝 原監督のチーム改革で立て直し
4年間、優勝を逃してきた球界の盟主・巨人を立て直したのは、3回目の就任となった名将・原辰徳監督の大胆かつ柔軟な采配でした。

2つのキーワード

過去2期12年の監督生活でリーグ優勝7回、日本一3回という輝かしい結果を残してきた原監督。

就任にあたって選んだ背番号は最初の監督時代につけていた「83」。

指導者としての原点に立ち返って指揮をとると語った原監督が就任会見で掲げた2つのキーワードは「のびのび、はつらつ」そして「実力至上主義」でした。

選手一人一人が臆せず自分の持ち味を発揮し、そのうえで高いレベルで競争を続ける。

チームが「勝つ組織」に生まれ変わるために必要不可欠だと考えたのです。

意識改革はキャンプから

その思いは春のキャンプからうかがい知れました。

3日目にいきなりの紅白戦。体作りや基本的な連係プレーの確認がキャンプ序盤の主なテーマ。

この時期に実戦を入れるのは異例のこと。

競争を勝ち抜いた選手が試合に出場できる。

力を発揮さえすれば、実績がなくても監督に使ってもらえるという意識を若手に植え付けたのです。

「全員が戦力」

こうした考え方はピッチャーの起用に特に効果がありました。

エースの菅野智之投手が腰痛で再三、チームを離れ、先発投手陣の台所事情が苦しい状況に陥り、リリーフ陣も抑え候補だったクック投手が開幕直後から安定感を欠きました。

そうした中、プロ入り以来、未勝利だった4年目の桜井俊貴投手を先発に抜てきすると、気持ちを前面に出したピッチングでここまで8勝をマーク。

同じく4年目で1セーブだった中川皓太投手を抑えに据えてクック投手の穴を埋めました。

さらに中川投手に加え、その時に調子のいいピッチャーを過去の実績にとらわれず積極的に起用することで、シーズン終盤まで大きな連敗をすることなく6月18日以降、首位の座を守り続けました。

原監督はシーズンが開幕してからずっと報道陣から試合のキーマンを聞かれるたびに「ベンチにいる全員が戦力」と口にしてきました。

この適材適所の選手起用は、優勝を決めた9月21日の試合でも見られました。この日はベンチ入りした25人のうち、22人を使う総力戦。そして決勝タイムリーを打ったのは増田大輝選手。

育成契約を経てことし1軍初出場を果たした途中出場の4年目でした。中心選手だけに頼らない戦いを実践したのです。

最後は勝利への執念

そして勝利への執念は実績のある選手へのサインにもあらわれていました。

マジックナンバー「4」で迎えた9月20日の2位・DeNAとの直接対決では、3点リードにもかかわらず、7回、ランナー二塁の場面で、もっとも頼りになる坂本勇人選手に送りバントを命じました。

チャンスを広げた巨人はこの回、2点を追加して試合を決め、優勝へ大きく前進。

勝負どころと判断すれば主力にも自己犠牲を求める心を鬼にする采配を貫いたのです。

名将の涙

数々のプレッシャーをはねのけて、至上命令のリーグ優勝を成し遂げた原監督。

優勝を決めた直後のインタビューでは涙を流しながら選手をねぎらいました。

一方で常に高みを目指し現状に満足しない勝負師としての熱い気持ちを口にしました。

「今でも、選手たちはチームの中で競争しています。まだまだジャイアンツは強くならなければならない」。

次の目標は7年ぶりの日本一。

10月からのポストシーズンを勝ち抜くため、原監督は選手にさらなる成長を求めます。