福島第一原発事故 東電旧経営陣3人にきょう判決

福島第一原発事故 東電旧経営陣3人にきょう判決
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福島第一原発の事故をめぐり東京電力の旧経営陣3人が強制的に起訴された裁判で、19日判決が言い渡されます。3人はいずれも無罪を主張し、原発事故での経営トップらの刑事責任について裁判所がどのように判断するのか注目されます。
東京電力の元会長の勝俣恒久被告(79)、元副社長の武黒一郎被告(73)、元副社長の武藤栄被告(69)の旧経営陣3人は、原発事故をめぐって検察審査会の議決によって業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴され、いずれも無罪を主張しています。

東京地方裁判所でおととし6月から37回にわたって裁判が開かれ、原発事故を引き起こすような巨大津波を予測できたかと、予測できたとしても、有効な対策を取って事故を防げたかが大きな争点となりました。

裁判で注目を集めた証拠の1つが、東京電力で津波対策を行う部門のトップを務めていた元幹部の供述調書です。「新たな津波対策を講じる必要があることは、勝俣元会長らが出席する“御前会議”で報告した。報告内容に反対はなく、了承された」と述べていて、現場と経営陣との間の認識の差が浮き彫りになりました。

検察官役の指定弁護士は、こうした証拠から「巨大な津波を予測できた」として禁錮5年を求刑しました。

一方、旧経営陣3人は去年10月の被告人質問で「何かを決定する会議ではない」として了承について強く否定するなど、元幹部の供述を否定し、無罪を主張しています。

判決は19日午後1時15分から言い渡される予定で、元幹部の供述調書などを元に旧経営陣の刑事責任を認めるのか、裁判所の判断が注目されます。

専門家 強制的に起訴された意義はある

刑法が専門で過失の刑事責任に詳しい明治大学法科大学院の大塚裕史教授は19日の判決について、「大きな争点である予見可能性と結果回避可能性を裁判所がどう判断するかが注目点だ。刑事裁判では、個人を処罰することになるので予見可能性のハードルは高く、民事裁判で予見可能性が認められているようにはいかない」と指摘し、有罪の立証は難しいとしています。

大塚教授は有罪となる場合について、「原子力発電所は非常に危険な業務を行っているところなので、安全に対して最大限、配慮しなければならない。津波の試算結果から事故の発生を予測できたという考え方をする可能性はあり、運転を停止すれば確実に事故を避けられたと判断すれば有罪になる可能性はある」と話しています。

逆に無罪となる場合について、「津波の試算結果は当時、その考え方が専門家の間で共通の認識だったかと言えばそうではなかった。津波を予測するのが困難だったと判断されると予見可能性は否定される」としています。

そのうえで、「有罪、無罪にかかわらず、これまで明らかになっていなかったものが公開の法廷の場で証拠として検討され、目に見える形で結論を出してもらうことは多くの国民が望むことだと思う」として、強制的に起訴された意義はあったと話しています。