インテリアにも活用 飲食店の救世主とは?

インテリアにも活用 飲食店の救世主とは?
夏場、私たちの周りを盛んに飛び回るハエやユスリカなどの羽虫。不快なだけでなくレストランや食品メーカーにとっては虫対策は商売に影響する一大事です。とはいえ食品がある場所では殺虫剤を使うのが難しいという事情もあります。そこで滋賀県のメーカーが、ある2つのものを組み合わせて虫を捕まえる「捕虫器」を開発し、注目を集めています。(大津放送局記者 穐岡英治)

飲食店を悩ませる羽虫

夏の夜、さまざまな羽虫たちが街灯や店の明かりに集まります。駅の近くから郊外に移って10年近くたつ京都市西京区のケーキとパンの店では、日没後に集まる虫に悩まされてきました。
そこでことし5月から使い始めたのがこの捕虫器です。清潔感のある外観の一方で、虫の駆除に役立っています。
「朝、店に出ると夜間に入ってきた虫がパンのトレイの上などによく落ちていました。商品には入らないように気をつけていますが、姿が見えるだけでお客さんには不快なので困っていました。捕虫器を使い始めて店内の虫の数は明らかに減ったと思います」

開発した会社は

捕虫器を開発したのは滋賀県東近江市の害虫駆除関連のメーカー「SHIMADA」です。虫やネズミを駆除する業務用粘着シートの製造・販売に30年余り取り組んできました。

開発した捕虫器は、メーカーが得意とする粘着シートを使って虫を確実に捕らえます。捕まえた虫が外から見えないようデザインにも工夫を施しました。
「バックヤードや工場に置く捕虫器はありましたが、人の集まる所には必ず虫は発生するので、飲食店の店頭などお客さんの目に触れるところに置ける捕虫器があればいいと考えて開発しました」

LEDでも虫は集まるか

8年前の発売当初、虫をおびき寄せるために組み込まれたライトは水銀を使う蛍光灯でした。しかし、来年から国際条約によって水銀を使った製品の輸出入などが規制されるため、LEDを使ったライトに入れ替えようと独自に開発を進めました。
しかしLEDで虫をおびき寄せるには大きな課題がありました。虫の多くは目に見える光ではなく目に見えない紫外線に反応しますが、一般的な照明用LEDからは紫外線はほとんど出ません。

そこで紫外線を出す特殊なLEDを使ってどのような組み合わせなら効率的に虫を集めることができるか、実験を繰り返しました。

2年近い実験の結果、ようやく虫の集まる波長とされる350から450ナノメートルの紫外線を出すことに成功しました。異なる波長のLEDを組み合わせることで、さまざまな種類の虫を引き寄せることができるようになったのです。
またLEDは拡散する角度が限られることも課題でした。配列を工夫し、アルミ製の三角柱の2つの面にLEDを載せることで幅広く紫外線を拡散し、放熱効果も上がってLED自体も長持ちするようになりました。

評判の“捕虫器” 広がりは

出来上がったLEDライトを使い、床に置く大型から持ち運び可能なコンパクトなものまで顧客の多様なニーズに合わせて取りそろえ、ことし5月から発売を開始。寿命がこれまでの蛍光灯のおよそ3倍、消費電力も大幅に抑えられるというLEDのメリットも評価され、3か月余りですでに1000台以上を出荷しました。

さらに来年度以降は全国チェーンのファストフードや複数の大手コンビニが本格導入を検討しています。地元の大手スーパーなどすでに水銀を使った古い型の捕虫器を導入していたところからも、新しいLED捕虫器に入れ替えたいというニーズが高まっています。

またコンビニなどの「イートイン」コーナーの増加も捕虫器の導入に向けて追い風となっています。
「(SHIMADA 西堀社長)お客の出入りの多いコンビニでもイートインが増えていて、カウンターの上に食材を置く機会も増え虫が発生しやすい環境になってます。そうした状況なので今回の商品に反響が集まっていると思います」
会社では捕虫器の海外展開も考えています。海外では殺虫剤を使う虫対策が主流な中、環境への配慮を考える企業などから問い合わせが入りつつあるということです。

粘着シートの材料をこれまでの紙に替えて、石灰石を主な成分とするシートを使うことで、製造にかかる水や燃料を節約し、より環境に配慮した製品にしようともしています。

環境への負担を減らしながら不快な虫を見えなくする工夫が、皆さんの近くでも見られる日が遠くないかもしれません。
大津放送局記者
穐岡英治

平成18年入局
千葉局、報道局ネットワーク報道部などで取材
熱烈な広島カープファン