韓国 GSOMIA破棄を決定 日韓対立が安全保障分野にも波及

韓国 GSOMIA破棄を決定 日韓対立が安全保障分野にも波及
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日本と韓国の軍事情報包括保護協定=「GSOMIA」について、韓国政府は、延長せずに破棄することを決めたと発表しました。これについて外交ルートを通じて日本政府に通告するとしていて、日韓の対立は安全保障分野にも波及することになります。
軍事情報包括保護協定=「GSOMIA」は、日本と韓国が2016年に締結したもので、1年ごとに延長されていますが、どちらかが毎年8月24日までに通告すれば協定を破棄できることになっています。

自動更新の期限が24日に迫る中、韓国大統領府は、22日午後3時からNSC=国家安全保障会議を開き、日本との「GSOMIA」について協議し、その結果について大統領府のキム・ユグン(金有根)国家安保室第1次長が発表しました。

それによりますと、日本政府が輸出管理の優遇対象国から韓国を除外する決定をしたことについて、「明確な根拠を示さなかった」と指摘し、「両国の安全保障協力の環境に重大な変化をもたらした」としています。

そのうえで「このような状況で安全保障上、敏感な軍事情報の交流を目的に締結した協定を続けることは、わが国の国益に合致しないと判断した」として、「GSOMIA」を延長せずに破棄することを決めたと発表しました。

これについて韓国政府は、協定の自動更新の期限のあさってまでに、外交ルートを通じて日本政府に通告するとしています。

「GSOMIA」をめぐっては、日本とアメリカは継続を呼びかけていましたが、韓国国内では、日本政府の輸出管理をめぐり対抗措置として破棄すべきだとする意見が出ていました。韓国側による協定の破棄で、日韓の対立は安全保障分野にも波及することになりました。

韓国「協定持続は国益に合致しない」

記者会見で、韓国大統領府国家安保室のキム・ユグン(金有根)第1次長は、「日本政府が安全保障上の理由があるとして輸出管理の優遇対象国から除外し、両国の安保協力関係に重大な変化をもたらした。このためGSOMIAを持続するのはわが国の国益に合致しないと判断した」と述べました。

日本政府「信じられない」

防衛省幹部はNHKの取材に対し、「信じられない。韓国は、いったい、どうしていこうというのか。政府としても、これから、対応を検討していく」と述べました。また、別の幹部は、「想定外の対応で、韓国側の主張を冷静に分析する必要がある。韓国側は、輸出管理の問題を理由にあげており、政府全体として、どうするか考えていかなければならない」と述べました。

政府関係者はNHKの取材に対し「残念ではあるが、韓国側の対応がどうであれ、日本側としては、太平洋戦争中の『徴用』をめぐる問題への姿勢は変えられない。防衛面では、日米の連携もあり、ただちに影響がでるとは考えにくいが、今後、防衛当局間での意思疎通がさらに難しくなるおそれはある」と述べました。
安倍総理大臣は、午後6時半ごろ、総理大臣官邸を出る際に、記者団が韓国政府の発表について、日本政府の対応を質問したのに対し、片手を上げたものの、答えませんでした。

在日米軍「日米同盟は不変」

在日米軍司令部は、NHKの取材に対し、「韓国と日本に関することなのでコメントできない」としています。そのうえで「アメリカと日本の同盟がこの地域の安全保障の礎になっていることに変わりはない」と強調しました。

欧米メディアも速報

「GSOMIA」の破棄を韓国政府が決めたことについて欧米のメディアも速報で伝えています。

ロイター通信は、「日本と韓国のあいだでは歴史認識や貿易をめぐる対立が深まっていた。日本側が輸出管理の優遇対象国から韓国を除外したことによって、『重大な変化』を招いた」と伝えました。

また、フランスのAFP通信は、「北朝鮮による相次ぐミサイル実験に直面するなか、安全保障面での協力に影響が及ぶことが懸念されている」と伝えました。

さらに、アメリカのAP通信は、今後への影響について、「今回の韓国の決定は、東アジア地域におけるアメリカの重要な同盟国どうしの間で緊張がさらに高まることが予想される」と解説しています。

GSOMIAのメリットとは

韓国の主要紙、中央日報は2016年に「GSOMIA」が締結されたあと、日韓両政府は今月までに29件の情報を共有したと伝えています。

とりわけ北朝鮮が相次いで弾道ミサイルを発射したおととしの2017年には19件の情報が共有され、弾道ミサイルの分析などに活用されたとしています。

防衛省の情報本部長を務めた、太田文雄さんによりますと、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した場合、地理的に近い韓国軍は地上に配備されたレーダーによってミサイルの発射地点など発射時の情報について日本よりも多く収集できるということです。

一方、北朝鮮は弾道ミサイルを日本海に向けて発射するケースが多く、地理的に近い日本の自衛隊がイージス艦などで落下地点などの情報を正確に把握でき、ミサイルの着弾時の情報は日本のほうが多く収集できるということです。

そのうえで、「GSOMIA」を元に、韓国が収集したミサイルの発射時の情報と日本が収集したミサイルの着弾時の情報を共有できれば、ミサイルの射程や軌道についてより正確な情報を得られるとしています。

こうしたことから軍事専門家の間では「GSOMIA」の延長は日韓両国の安全保障に関する情報収集において有益だとの見方が出ていました。