あおり運転 逮捕の男 “車をぶつけられ頭にきた”

あおり運転 逮捕の男 “車をぶつけられ頭にきた”
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茨城県守谷市の常磐自動車道で、あおり運転をしたうえ男性を殴ってけがをさせたとして逮捕された43歳の男が調べに対し「車をぶつけられたので頭にきて殴った」などと供述していることが、捜査関係者への取材で新たに分かりました。
大阪市の会社役員宮崎文夫容疑者(43)は今月10日、茨城県守谷市の常磐自動車道の上り線で、24歳の男性会社員が運転する車にあおり運転をしたうえ車を止めさせ、男性の顔を殴ってけがをさせたとして、18日、傷害の疑いで逮捕されました。

これまでの調べで男性が窓越しにもみ合いになった際にブレーキを離してしまい、車が前に止まっていた宮崎容疑者の乗用車にぶつかったことがわかっていますが、捜査関係者によりますと、宮崎容疑者が調べに対し、「車をぶつけられたので頭にきて殴った」などと供述しているということです。

一方、宮崎容疑者は男性の車に対し、少なくとも数キロにわたって急な車線変更や減速などを繰り返していたと見られていますが、これについては「危険な運転をしたつもりはない」と供述しているということです。

警察はドライブレコーダーの映像を分析するなどして、当時のいきさつをさらに詳しく調べています。

警察は異例の公開手配

茨城県警は、被害者の男性から事件の翌日の今月11日に被害届の提出を受けました。

暴行の様子が記録されたドライブレコーダーの映像を分析するなどした結果、あおり運転の末、高速道路上で男性の車を止めさせ暴行を加えるという悪質さや社会的な影響の大きさを踏まえ、事件の6日後の今月16日に傷害の疑いで逮捕状を取り、宮崎容疑者の顔写真を公開して全国に指名手配する異例の対応を取りました。

宮崎容疑者の足取り

宮崎容疑者があおり運転に使った白い高級乗用車は、先月21日に横浜市内のディーラーから代車として貸し出されたものでした。

その後、この乗用車と同じナンバーの車は、2日後の先月23日の午前3時ごろ、静岡市の国道1号線で、午前6時半ごろには、愛知県岡崎市の東名高速道路の下り線であおり運転を繰り返していました。

このあと、宮崎容疑者は自宅のある大阪にいったん戻ったと見られ、先月下旬ごろから大阪 東住吉区の自宅マンションの駐車場に、この乗用車と見られる車が止まっているのを住人たちが目撃していました。

一方、代車の返却期限の先月23日になっても返しに来なかったため、ディーラーが何度も連絡を取ろうとしましたが電話に出ず、先月25日ごろに宮崎容疑者から電話をかけてきて「遠方に出張に行っているので、すぐには返せないが、8月3日には戻せると思う」などと言い、このときは大阪にいると話していたということです。

しかし、約束の今月3日になっても返却されず、今月5日ごろに電話がかかってきたときには、「福井にいる」と話していたということです。

茨城県守谷市の常磐自動車道であおり運転をしたうえ男性に暴行を加えたのは今月10日で、その翌日に代理人によって車が返却されたときには、走行距離はおよそ2000キロになっていました。

事件のあとの詳細な足取りはわかっていませんが、今月14日には、JR大阪駅近くの飲食店で、宮崎容疑者と女性が食事をする姿が目撃されていました。

インスタグラムに高級車の写真多数投稿

逮捕された宮崎文夫容疑者は自身のインスタグラムに高級外国車の写真を多数、投稿していました。

このうち東京 渋谷で撮影されたと見られる写真には、高級車の「フェラーリ」の前でピースサインをして写真に収まる様子が複数、投稿されています。

ほかにも黒い「ポルシェ」を本人の会社が入る大阪市内の建物の前に止めている写真も投稿されています。

今月12日に投稿された写真では同じ黒い「ポルシェ」の前方が大きくへこんで傷が付き、ドアの窓の部分はシートに覆われた状態で写っていて、「走行車線を走行中後方から追突された」と書き込まれていました。

この車は、ことし1月、大阪の名神高速道路であおり運転をされたとSNSに掲載された車とナンバーが同じでした。

容疑者確保の様子を目撃した男性は…

2人が確保された時の様子を目撃していたという近所に住む男性は、「男は警察に対して『逃げも隠れもしません』などと言っていたが、2人とも大きなキャリーバッグを持っていたので疑わしいと思った」などと話していました。

あおり運転摘発強化で検挙増

おととし、神奈川県の東名高速道路で「あおり運転」がきっかけで夫婦が死亡する事故などを受けて、警察庁は去年1月、危険な「あおり運転」について取締りや捜査を徹底するよう全国の警察に指示しています。

警察庁によりますと、車間距離を極端に詰めるなど道路交通法に違反したとして検挙された「あおり運転」は去年1年間に全国で1万3025件に上り、前の年の1.8倍に増えています。

ことしに入っても6月までの半年間で検挙数は6873件に上っています。

また、危険な行為に対して傷害や暴行など刑法の容疑を適用して検挙したケースが、ことし6月までの半年間に18件ありました。

全国の警察は将来、重大な事故を起こすおそれがあると判断したドライバーに対し、交通違反の点数の累積がなくても運転免許の停止処分が出せる道路交通法の規定も積極的に適用しています。

このうち、運転をめぐって暴行や脅迫のトラブルを起こしたドライバーに対する免許の停止処分は去年1年間に42件と、前の年の6件を大きく上回っています。

あおり運転に遭遇したら…

車を運転中にあおり運転に遭遇した場合の対処法について、自動車教習所の指導員は「むきにならずに先に行かせて車を左側に寄せることが重要だ」と話しています。

東京 小平市の「新東京自動車教習所」でおよそ20年の指導歴がある中元聡さんは、教習中にもあおり運転を受けることは日常茶飯事で、教習生には、まずはむきにならずに車を左側に寄せて先に行かせることを徹底しているということです。

そのうえで、一般道の場合はスーパーマーケットやコンビニなど人目のつく場所に入るのも有効で、高速道路では本線上で止まるのは危険なため速やかに路側帯に避難してほしいとしています。

そして、相手のドライバーが車を降りて詰め寄ってきたときの対応については、「こちらの常識では測れない人もいるので、窓を開けずにドアをロックすることが重要だ。現場で冷静に対処するのは難しいと思うが、きぜんとした態度で接し、危険を感じたらすぐに110番通報してほしい」と話していました。

また、ドライブレコーダーは被害の証拠になるだけでなく、あおり運転の抑止にもつながるとして利用を検討してほしいと呼びかけていました。

東名高速であおり運転の遺族「厳罰を」

今回の事件について、おととし神奈川県の東名高速道路であおり運転をきっかけに家族4人が死傷した事故の遺族は「あおり運転をひと事のように感じる人が多く、教訓が生かされていないのだと残念に思います。あおり運転をなくすために罪を重くしてほしいです」と訴えています。

おととし6月、神奈川県の東名高速道路であおり運転を受けて停車したワゴン車が後続のトラックに追突され、ワゴン車に乗っていた萩山嘉久さん(45)と妻の友香さん(39)が死亡し、娘2人もけがをしました。

横浜地方裁判所は、去年12月、あおり運転の末に事故を引き起こしたとして、福岡県の無職の被告に危険運転の罪を適用して懲役18年を言い渡しましたが、被告側は判決を不服として控訴しました。

今回の事件について、嘉久さんの母親の萩山文子さんは「ニュースで知り、また起きたのかと驚くと同時に何の非も無いのに亡くなった自分の息子を思い出しました。あおり運転をひと事のように感じる人が多く、教訓が生かされていないのだと残念に思います」と話しました。

そのうえ、依然として相次ぐあおり運転を無くすために、「法律を整備して厳罰化することや、運転免許の試験を厳しくすることが必要だと思います。同じような事故を二度と起こしてはいけません」と訴えています。