楽しいはずの夏休みが…

楽しいはずの夏休みが…
「つらすぎる夏休み」「ああああ夏休みが怖い」
これらはSNS上で、母親などから投稿されたコメントです。夏休み=楽しいはずなのに、いったい家庭で何が起きているのか。取材してみるとその理由と、お父さん、お母さんたちをサポートする動きが広がっていました。(映像センター 大河原恵理子)

「#主婦らの夏休み戦争」

SNS上では夏休みが始まる前後から保護者からの投稿が相次いで寄せられています。
食事に関するものや、子どもの宿題に関するものが集中していました。

「#主婦らの夏休み戦争」というハッシュタグをつけたツイートまで登場しています。

母親たちの悲痛な声

東京都内で親たちに実際に話を聞いてみるとふだんより忙しくなっている実態が分かってきました。
「毎日、予定を立てたり、食事を作ることが大変です。とくにお昼ご飯については、毎回、お総菜や外食というわけにはいかないし、身近に頼れる親戚もいないのでなかなか休めません」
ほかの親からも給食がないことなどから家族の食事の準備が大変になったとか、宿題を教えるのが難しいといった声が上がっていたのです。

“調べもの戦隊レファレンジャー”

疲れてしまった親たちに救いの手はないのでしょうか。取材をしてみるとお父さん、お母さんたちをサポートする動きが広がっていました。
まずは、宿題サポート。東京 千代田区にある千代田区立図書館では、小中学校などに勤務する司書11人が親子のサポートに乗り出していました。その名も「調べもの戦隊レファレンジャー」。夏休みの期間中、無料で、自由研究などの宿題についてアドバイスする取り組みを行っています。

取材に訪れた日、小学5年の女子児童と母親は、授業に出てきて興味を持った都内の上水路の模型を自由研究でつくりたいと考えていました。しかし、方法が分からず「レファレンジャー」に相談しました。
対応した「レファレンジャー」は女子児童と一緒に上水路の歴史が書かれた本を探します。本を見つけると参考となる地質などを調べていました。

参加した女子児童は、「難しいことも楽しく学ぶことができました」と話していました。図書館によりますと自由研究などにどう対応してよいのか分からないと悩む保護者も多いということでこの図書館では休館日を除いてほぼ毎日対応し、区外に住む子どもたちも利用できるということです。
「保護者にも調べ方をアドバイスしているので、ぜひ図書館にきてほしいです」

“夏休みのたたかうごはん”

そして毎日の食事・弁当作りへのサポートはあるのか。生鮮食品の宅配サービスを展開する都内の会社では、ことしからあるキャンペーンをはじめました。その名も「夏休みのたたかうごはん」。
その内容は、加工した食材と調味料など、短時間に調理できるセットや火を使わずに電子レンジで温めるだけの食品などを宅配するというものです。このサービスを利用している都内に住む林有希さんに話を聞きました。
林さんは小学2年の長男と保育園児の長女の2人の子どもの母親で、長男が夏休み中で、自宅での昼食の回数が増えたため、このサービスを利用しています。取材に伺った日は、昼すぎに届いたばかりの食材を取り出し、昼食を作りました。
林さんは、20分ほどで肉野菜炒めと和え物の2品を完成させました。長男と2人での昼食です。林さんは、「夏休みは本当に大変ですが、献立を考えることなく作れて、とても助かります」と話していました。
「週の何回か、このセットを取り入れるだけでも、お母さんたちの負担が減ると思うので、少しでも毎日のごはんづくりが楽になればと思います」

ネットで発注!学童宅配弁当も登場

そして働く親たちにもサポートの動きが出ていました。

親が日中働いている間に小学生を預かる学童保育の施設。昼食もあるため夏休みもお弁当作りが必要です。このため都内の施設では、インターネットで簡単に注文できる宅配弁当を取り入れました。
導入したのは、東京 中野区の「白桜学童クラブ」です。小学1年生から3年生のおよそ60人が親が日中働いている間に、この施設で遊んだり宿題をしたりしてすごしています。

新しく取り入れた宅配弁当のシステム。注文からキャンセルまで保護者がすべてインターネット上でできます。また、アレルギーの表示を確認したり、ごはんの量も調整したりできます。施設によりますと保護者も「衛生面でも安心だ」ということで今では7割ほどが利用しているということです。
「共働きだったり、体調が悪かったりする場合に、宅配弁当を1つの選択肢として、ぜひ利用してもらいたいです」

完璧を目指さなくてよい

さまざまなサポートも出てきていますが、取材をしていて、多くの親からは「自分がやらないと周囲の人に迷惑がかかるし子どもにも悪い」という声も聞かれました。

どうしたら夏休みが楽しくなるのか?働く母親や専業主婦をとりまく環境などについて詳しいジャーナリストの中野円佳さんに聞きました。強調していたのは「完璧を目指さなくてよい」ということばでした。

中野さんは夏休みに親の負担が増えることについて「夏休みは、期間が長く、父親の働き方が変わるものでもない」と述べました。

また、サポートを受けることをためらう親がいることについては「母親なのに『子育てがしんどい』と声をあげることは、母親の資格がないと批判する人もいると思います」と指摘しました。

そのうえで、家族にとっての楽しい夏休みにつなげるために、次のようなメッセージを強調しました。
「助けてほしいと手を上げることはとても大事だと思う。完璧を目指さなくてよいので、頼れるものは頼ってほしい。お母さん一人一人が力を抜いて、少しは休める時間を確保してほしい」
私自身も小学生の子どもがいて、夏休みの弁当作りなどに大変さを感じています。しかし、つい、「何かに頼ったら甘えじゃないのか」などと考えてしまいます。今回の取材を通じて、同じような思いをしているお母さんたちに出会えたことで安心できました。

夏休みはまだまだ続きますが、私も心に少し余裕を持って子どもと向き合いたいと思いました。
映像センター
大河原恵理子

平成17年入局