福島第一原発の核燃料取り出しは2号機から 計画案公表

福島第一原発の核燃料取り出しは2号機から 計画案公表
福島第一原子力発電所の事故で溶け落ちた核燃料の取り出しについて、廃炉の技術的な方針を検討している国の専門機関は、調査で格納容器内部の状況がもっともわかっている2号機から始めるべきとする計画案を公表しました。国と東京電力は、この内容を踏まえて今年度中に取り出し方針を最終決定することにしています。
メルトダウンを起こした福島第一原発の1号機から3号機では、溶け落ちた核燃料を含むいわゆる「燃料デブリ」が原子炉を覆う格納容器の底に達しているとみられています。

これを取り出すことが廃炉を進める最大の難関とされ、国と東京電力は、2021年からの取り出しの開始を目指しています。これに関して廃炉の技術的な支援を行うため国がつくった「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」は、8日、「戦略プラン」と呼ばれる計画の案を公表し、溶け落ちた核燃料は2号機から少量ずつ始めるべきとしました。

理由としてはこれまでの調査で格納容器内部の状況がもっとも分かっていて、ロボットを入れるルートも構築されているなどとして、他の号機に比べて、安全を確保しながら確実に取り出しが開始できると説明しました。

また、取り出した核燃料については、これまで格納容器に水を注入し続けたことなどから十分に温度が下がっているとして、専用の金属製の容器をつくりその中に入れて空冷で一時保管するべきだとしています。

国と東京電力は、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」の計画を踏まえて、今年度中に溶け落ちた核燃料の取り出し方針について、最終決定することにしています。

核燃料の取り出し方法は

強い放射線を放つ溶け落ちた核燃料をどう取り出すか。廃炉を進める上で最大の難関とされています。

最初に着手するべきとの案が示された福島第一原発2号機ではいったいどのような取り出し方法が考えられるのか。先月2号機と似た構造をしていて、メルトダウンを起こしていない5号機の内部で経済産業省の担当者に説明をしてもらいました。

原子炉を覆っている格納容器は高さおよそ30メートル。鋼鉄製で厚さは3センチ前後あります。この格納容器の底などに溶け落ちた核燃料がまじった「燃料デブリ」がたまっているとみられています。

格納容器には側面に直径60センチほどの作業用の穴があいていて、2号機では穴の周辺の放射線量が比較的低く作業場所が確保しやすいということで、ロボットを穴から格納容器の中に入れることが可能だといいます。

格納容器の中には、鉄製の足場があり、ロボットを底まで降ろす際には障害になります。2号機は事故の影響でこの足場の一部が落ちて無くなっていることがこれまでの調査でわかっています。

このため作業用の穴から入れたロボットは、足場がない部分から格納容器の底に近づくことが可能で、溶け落ちた核燃料をつかんだり、吸引したりして少量ずつ取り出す方法が検討できるということです。

経済産業省の木野正登廃炉・汚染水対策官は「1号機は内部の様子がよくわからず調査の段階で、3号機は、格納容器内のさまざまな構造物が下に落ちていて取り出しの邪魔になるおそれがある。2号機がアクセスしやすいと考えている」と話しています。

2号機を選んだ理由と課題

「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が2号機を選んだ理由は、1号機と3号機に比べて格納容器内部の調査が進み、内部の状況がもっともわかっているためです。

格納容器の底にむけて直接アクセスができる作業用の穴が利用でき、ここから調査の装置を入れ、溶け落ちた核燃料がまざった「燃料デブリ」とみられる堆積物を確認しています。

またロボットでこの堆積物に触れて、動かしたり、つかんだりすることにも成功しています。

こうした調査結果を踏まえて取り出しに向けた装置の開発も進んでいます。

「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」は2号機で先行して取り出し作業を行い、ノウハウを蓄積したうえで、その後の1号機と3号機の取り出しにつなげるべきとしました。

一方、強い放射線を出す核燃料を扱う作業は、水を張って放射線を遮りながら行うのが一般的ですが、事故で損傷した格納容器の修理は難しく、水をためることは困難とみられ、現時点では空気中で取り出す「気中工法」と呼ばれる方法で始めるとした方針に変更はありませんでした。

「気中工法」は、各国の廃炉の作業でも前例がなく、放射性物質の飛散や放射線をどう防いで安全に作業を進めることができるか、今後の技術的な課題となります。