アメリカ 中国を為替操作国と認定
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アメリカ政府は5日、中国が自国の輸出に有利になるよう人民元を意図的に安く誘導しているとして、「為替操作国」に認定したと発表しました。アメリカが中国を為替操作国に認定するのは25年ぶりで、両国の対立がさらに深まりそうです。
アメリカ財務省は5日、法律に基づいて中国を通貨を意図的に安く誘導する「為替操作国」に認定したと発表しました。理由についてアメリカ財務省は、中国が最近、自国の輸出に有利になるよう人民元を安く誘導し、貿易における競争で優位に立つための為替操作はしないとする国際ルールを守っていないからだと説明し、中国を批判しています。
人民元をめぐっては、トランプ大統領が今月1日に表明した、中国からの輸入品に対する追加の関税の上乗せ措置の影響への懸念から、5日、中国・上海の外国為替市場でおよそ11年ぶりに1ドル=7人民元台の元安・ドル高水準をつけました。
トランプ大統領は中国政府がアメリカへの対抗措置として、自国の輸出に有利になる人民元安を誘導したという疑いを強めて、急きょ、認定に踏み切ったものとみられています。
アメリカが中国を為替操作国に認定するのは、1994年以来25年ぶりです。
アメリカ財務省は今回、取り引きの制限などには言及せず、中国に対して為替レートの透明性を高めるよう是正を求めるとしていますが、中国側は反発するものとみられ、両国の対立がさらに深まりそうです。
人民元をめぐっては、トランプ大統領が今月1日に表明した、中国からの輸入品に対する追加の関税の上乗せ措置の影響への懸念から、5日、中国・上海の外国為替市場でおよそ11年ぶりに1ドル=7人民元台の元安・ドル高水準をつけました。
トランプ大統領は中国政府がアメリカへの対抗措置として、自国の輸出に有利になる人民元安を誘導したという疑いを強めて、急きょ、認定に踏み切ったものとみられています。
アメリカが中国を為替操作国に認定するのは、1994年以来25年ぶりです。
アメリカ財務省は今回、取り引きの制限などには言及せず、中国に対して為替レートの透明性を高めるよう是正を求めるとしていますが、中国側は反発するものとみられ、両国の対立がさらに深まりそうです。
トランプ大統領「為替操作 大きな違反だ」
トランプ大統領は5日、ツイッターに「中国は通貨を歴史的な安値まで引き下げた。これは為替操作と呼ばれる。大きな違反だ」と投稿し、元安・ドル高は中国政府が操作したものだと、批判しました。
トランプ大統領は、中国政府が自国の輸出に有利になる元安を誘導していると批判し続けてきましたが、今回の元安水準についてもアメリカの追加の関税措置に対抗したものだという主張を持ち出した形です。
中国に対する追加の関税措置の方針は世界的な株安などを引き起こしていますが、トランプ大統領による中国への批判が、対立を一層深めることになりそうです。
トランプ大統領は、中国政府が自国の輸出に有利になる元安を誘導していると批判し続けてきましたが、今回の元安水準についてもアメリカの追加の関税措置に対抗したものだという主張を持ち出した形です。
中国に対する追加の関税措置の方針は世界的な株安などを引き起こしていますが、トランプ大統領による中国への批判が、対立を一層深めることになりそうです。
11年3か月ぶりの元安ドル高水準に
中国の通貨、人民元が、アメリカとの貿易摩擦を背景に、元安ドル高が進むなか、中国当局が6日朝発表した、取り引きの目安となる基準値は、5日より0.6%程度下がって、1ドル=6.9683人民元となり、2008年5月以来およそ11年3か月ぶりの元安ドル高水準となりました。
上海の外国為替市場での実際の取り引きでは、5日、すでに1ドル=7人民元台の元安ドル高水準になっており、発表された基準値は、これに比べればいくぶん元高になっています。
市場関係者は「人民元の基準値はきのうに比べ値下がりしたものの、1ドル=7人民元台の元安にはならなかったため、中国当局が行きすぎた元安を警戒しているとも受け止められる。きょうの外国為替市場の動きを注意深く見ていく必要がある」としています。
上海の外国為替市場での実際の取り引きでは、5日、すでに1ドル=7人民元台の元安ドル高水準になっており、発表された基準値は、これに比べればいくぶん元高になっています。
市場関係者は「人民元の基準値はきのうに比べ値下がりしたものの、1ドル=7人民元台の元安にはならなかったため、中国当局が行きすぎた元安を警戒しているとも受け止められる。きょうの外国為替市場の動きを注意深く見ていく必要がある」としています。
安倍首相「リスク顕在化の場合は機動的に対策」
安倍総理大臣は、広島市で開かれた平和記念式典に出席したあとの記者会見で、「米中の貿易摩擦など海外発の下方リスクには十分に目配りし、経済運営に万全を期していきたい。仮にリスクが顕在化する場合には、ちゅうちょすることなく、機動的かつ万全な対策を講じていく」と述べました。
米中貿易摩擦の経緯
アメリカと中国は、去年7月以降、互いの輸入品に高い関税を上乗せする措置を繰り返し、これまでにアメリカが中国からの輸入品のほぼ半分、中国がアメリカからの輸入品の7割に関税を上乗せする事態となっています。
両国は去年12月にアルゼンチンで行われた首脳会談で関税の引き上げを、一時、見送って貿易問題について閣僚級の交渉を行うことで合意。
ことし1月からアメリカのライトハイザー通商代表とムニューシン財務長官、中国の劉鶴副首相がワシントンと北京を相互に訪ねる形で交渉を重ねてきました。
しかし、交渉はことし5月にワシントンで開かれた会合でとん挫します。
アメリカ側は150ページに及ぶ合意文書の案に中国が大幅な修正を求めてきたためだとしています。
中国に合意内容を着実に履行させるため法律の改正まで求めたところ、中国側が主権に関わる問題だとして法的拘束力のある合意を拒んだということです。
これを受けてトランプ大統領は中国からの2000億ドル分の輸入品に上乗せする関税を25%に引き上げました。
さらに、まだ関税が上乗せされていない3000億ドル分の輸入品に対しても関税を上乗せする手続きに入りました。
また、中国の通信機器大手ファーウェイと、アメリカ企業が政府の許可なしに取り引きすることを禁止するなどハイテク分野でも締め付けを強化しました。
一方、中国も6月、アメリカからの600億ドル分の輸入品に上乗せする関税を最大25%まで引き上げる対抗措置に踏み切りました。
米中両国が、再び関税の引き上げを繰り返す状況に陥るおそれが高まる中、トランプ大統領と習近平国家主席はG20大阪サミットにあわせて首脳会談を開催。
ここでアメリカが中国からの輸入品に対する追加の関税の上乗せを見送った上で5月以降、こう着状態に陥っていた閣僚級の交渉を再開させることで一致しました。
両国は7月末、中国の上海で直接対面する形での交渉をおよそ2か月半ぶりに再開し、中国側は「友好的な雰囲気だった」と強調していました。
ところがトランプ大統領は1日、中国が先の首脳会談で合意したアメリカの農産品の購入を進めていない、などとして、9月1日から、中国からの3000億ドル分の輸入品に10%の追加関税をかけることを表明しました。
これに対して中国側は5日夕方、政府当局の幹部が国営メディアで中国企業がこれまでにアメリカから1400万トンの大豆を購入する契約を結んだことなどを説明し、アメリカ側の理解を求める姿勢を示しました。
しかし、6日未明になって、今月3日以降、当面の間、中国企業がアメリカの農産品の輸入を見合わせていると発表。一転してアメリカと対抗する姿勢を示し、来月の追加関税の発動を前に両国の駆け引きがいっそう激しさを増しています。
両国は去年12月にアルゼンチンで行われた首脳会談で関税の引き上げを、一時、見送って貿易問題について閣僚級の交渉を行うことで合意。
ことし1月からアメリカのライトハイザー通商代表とムニューシン財務長官、中国の劉鶴副首相がワシントンと北京を相互に訪ねる形で交渉を重ねてきました。
しかし、交渉はことし5月にワシントンで開かれた会合でとん挫します。
アメリカ側は150ページに及ぶ合意文書の案に中国が大幅な修正を求めてきたためだとしています。
中国に合意内容を着実に履行させるため法律の改正まで求めたところ、中国側が主権に関わる問題だとして法的拘束力のある合意を拒んだということです。
これを受けてトランプ大統領は中国からの2000億ドル分の輸入品に上乗せする関税を25%に引き上げました。
さらに、まだ関税が上乗せされていない3000億ドル分の輸入品に対しても関税を上乗せする手続きに入りました。
また、中国の通信機器大手ファーウェイと、アメリカ企業が政府の許可なしに取り引きすることを禁止するなどハイテク分野でも締め付けを強化しました。
一方、中国も6月、アメリカからの600億ドル分の輸入品に上乗せする関税を最大25%まで引き上げる対抗措置に踏み切りました。
米中両国が、再び関税の引き上げを繰り返す状況に陥るおそれが高まる中、トランプ大統領と習近平国家主席はG20大阪サミットにあわせて首脳会談を開催。
ここでアメリカが中国からの輸入品に対する追加の関税の上乗せを見送った上で5月以降、こう着状態に陥っていた閣僚級の交渉を再開させることで一致しました。
両国は7月末、中国の上海で直接対面する形での交渉をおよそ2か月半ぶりに再開し、中国側は「友好的な雰囲気だった」と強調していました。
ところがトランプ大統領は1日、中国が先の首脳会談で合意したアメリカの農産品の購入を進めていない、などとして、9月1日から、中国からの3000億ドル分の輸入品に10%の追加関税をかけることを表明しました。
これに対して中国側は5日夕方、政府当局の幹部が国営メディアで中国企業がこれまでにアメリカから1400万トンの大豆を購入する契約を結んだことなどを説明し、アメリカ側の理解を求める姿勢を示しました。
しかし、6日未明になって、今月3日以降、当面の間、中国企業がアメリカの農産品の輸入を見合わせていると発表。一転してアメリカと対抗する姿勢を示し、来月の追加関税の発動を前に両国の駆け引きがいっそう激しさを増しています。
人民元「基準値」と貿易摩擦
中国の為替相場については中央銀行の中国人民銀行が毎朝、人民元と外国通貨との取り引きの目安となる「基準値」を発表しています。
当日の人民元の取り引きはこの基準値の上下2%以内の範囲で行われることになっています。
基準値の設定は前の営業日の取り引きの値などを参考にするとしているものの、設定の方法はしばしば変更されるうえ情報開示も十分でないことから、設定にあたっては当局の意図が働いているのではないかと指摘されています。
基準値は、アメリカのトランプ大統領が中国からの輸入品に対する一連の関税上乗せの措置を最初に発表した日の前の去年3月22日には、1ドル=6.3167人民元でした。
しかし、米中双方が互いの輸入品に関税を上乗せする措置を繰り返し貿易摩擦が激しさを増すにつれて人民元安の方向に推移し、去年11月1日には1ドル=6.9670人民元まで元安ドル高が進みました。
こうした状況にトランプ大統領が「中国が輸出に有利に働くようにするため意図的に人民元安に誘導している」と批判を強めたのに対し、中国は李克強首相が「為替レートの切り下げを通じて輸出を増やす方法はとらない」と述べるなど、トランプ大統領の批判を繰り返し否定してきました。
人民元の基準値はその後、米中が閣僚級の貿易交渉を進めるなかで、合意に達するのではないかと、一時、期待が高まり、ことし2月には、1ドル=6.6人民元台まで元高ドル安が進みました。
ところがことし5月にワシントンで行われた両国の閣僚級の交渉が物別れに終わると、一転して、6.8人民元台の元安ドル高の水準になりました。
そしてトランプ大統領が先週、中国からの輸入品に対する追加関税の発動を表明し、5日公表された基準値は、一ドル=6.9人民元台となり、これを受けて上海の外国為替市場の実際の取り引きでは11年ぶりに1ドル=7人民元台の元安ドル高水準となりました。
中国は意図的に元安に誘導することはないと否定していますが、市場関係者の間では、トランプ大統領が中国製品に対する追加の関税上乗せ措置の発動を表明したことを受け、中国の輸出企業を下支えするために当局が一定程度の元安を容認しているという見方も出ています。
ただ、行きすぎた元安ドル高は、中国からの資本の流出につながるおそれもあり、中国当局は為替の動向を見極めながら対応をしていくものとみられます。
当日の人民元の取り引きはこの基準値の上下2%以内の範囲で行われることになっています。
基準値の設定は前の営業日の取り引きの値などを参考にするとしているものの、設定の方法はしばしば変更されるうえ情報開示も十分でないことから、設定にあたっては当局の意図が働いているのではないかと指摘されています。
基準値は、アメリカのトランプ大統領が中国からの輸入品に対する一連の関税上乗せの措置を最初に発表した日の前の去年3月22日には、1ドル=6.3167人民元でした。
しかし、米中双方が互いの輸入品に関税を上乗せする措置を繰り返し貿易摩擦が激しさを増すにつれて人民元安の方向に推移し、去年11月1日には1ドル=6.9670人民元まで元安ドル高が進みました。
こうした状況にトランプ大統領が「中国が輸出に有利に働くようにするため意図的に人民元安に誘導している」と批判を強めたのに対し、中国は李克強首相が「為替レートの切り下げを通じて輸出を増やす方法はとらない」と述べるなど、トランプ大統領の批判を繰り返し否定してきました。
人民元の基準値はその後、米中が閣僚級の貿易交渉を進めるなかで、合意に達するのではないかと、一時、期待が高まり、ことし2月には、1ドル=6.6人民元台まで元高ドル安が進みました。
ところがことし5月にワシントンで行われた両国の閣僚級の交渉が物別れに終わると、一転して、6.8人民元台の元安ドル高の水準になりました。
そしてトランプ大統領が先週、中国からの輸入品に対する追加関税の発動を表明し、5日公表された基準値は、一ドル=6.9人民元台となり、これを受けて上海の外国為替市場の実際の取り引きでは11年ぶりに1ドル=7人民元台の元安ドル高水準となりました。
中国は意図的に元安に誘導することはないと否定していますが、市場関係者の間では、トランプ大統領が中国製品に対する追加の関税上乗せ措置の発動を表明したことを受け、中国の輸出企業を下支えするために当局が一定程度の元安を容認しているという見方も出ています。
ただ、行きすぎた元安ドル高は、中国からの資本の流出につながるおそれもあり、中国当局は為替の動向を見極めながら対応をしていくものとみられます。