米中 閣僚級貿易交渉が再開 前進するかは不透明

米中 閣僚級貿易交渉が再開 前進するかは不透明
アメリカと中国の閣僚級の貿易交渉が、30日夜、直接、対面する形ではほぼ2か月半ぶりに再開しました。交渉では中国の通信機器大手、ファーウェイに対する締めつけの緩和などをめぐる隔たりは依然として大きく合意に向けて前進するかどうか不透明な状況になっています。
アメリカと中国の貿易交渉は、ことし5月以降、こう着状態に陥っていましたが、トランプ大統領と習近平国家主席が、先月の首脳会談で、交渉を再開させることで合意しました。

これを受けて、30日午後、アメリカの代表団が上海に到着し、日本時間の30日夜8時ごろにかけて、まず中国側が、そのあとアメリカ側の代表団が会場のホテルに入りました。

そして双方が直接、対面する形での閣僚級の交渉がほぼ2か月半ぶりに再開しました。

今回の交渉には、中国の劉鶴副首相とアメリカのライトハイザー通商代表、それにムニューシン財務長官が出席しています。

交渉は31日まで行われ、中国側が、アメリカ産の大豆や、豚肉、それに小麦などの輸入を実行するかわりに、ファーウェイへの締めつけの緩和を求めるものとみられます。

一方、アメリカ側は、中国による知的財産権の侵害への対応や国有企業への優遇の見直しを求めるとともに、交渉が合意に達した場合でも、中国からの輸入品に対して、上乗せしている関税の一部を撤廃しない考えを示しています。

こうした一連の問題をめぐって、両国の隔たりは依然として大きく、交渉が再開しても、合意に向けて前進するかどうか不透明な状況になっています。

米中貿易摩擦の経緯

アメリカと中国は去年7月以降、互いの輸入品に高い関税を上乗せする措置を繰り返し、これまでにアメリカが中国からの輸入品のほぼ半分、中国がアメリカからの輸入品の7割に関税を上乗せする事態となっています。

両国は去年12月にアルゼンチンで行われた首脳会談で関税の引き上げを一時、見送って貿易問題について閣僚級の交渉を行うことで合意。

ことし1月からアメリカのライトハイザー通商代表とムニューシン財務長官、中国の劉鶴副首相がワシントンと北京を相互に訪ねる形で交渉を重ねてきました。

しかし、交渉はことし5月にワシントンで開かれた会合でとん挫します。アメリカ側は150ページに及ぶ合意文書の案に中国が大幅な修正を求めてきたためだとしています。

中国に合意内容を着実に履行させるため法律の改正まで求めたところ、中国側が主権に関わる問題だとして法的拘束力のある合意を拒んだということです。

これを受けてトランプ大統領は中国からの2000億ドル分の輸入品に上乗せする関税を25%に引き上げました。さらに、まだ関税が上乗せされていない3000億ドル分の輸入品に対しても関税を上乗せする手続きに入りました。

また、中国の通信機器大手ファーウェイと、アメリカ企業が政府の許可なしに取り引きすることを禁止するなどハイテク分野でも締めつけを強化しました。

一方、中国も先月、アメリカからの600億ドル分の輸入品に上乗せする関税を最大25%まで引き上げる対抗措置に踏み切りました。

米中両国が再び関税の引き上げを繰り返す状況に陥るおそれが高まる中、トランプ大統領と習近平国家主席は先月下旬、G20大阪サミットにあ合わせて首脳会談を開催。

ここでアメリカが中国からの輸入品に対する追加の関税の上乗せを見送ったうえで5月以降、こう着状態に陥っていた閣僚級の交渉を再開させることで一致しました。

米中の対立が両国だけでなく世界経済の成長も減速させるという懸念が高まるなか、交渉の決裂という最悪の事態はひとまず回避されました。

米中貿易交渉の課題

先月行われたトランプ大統領と習近平国家主席との首脳会談ではアメリカが中国からのおよそ3000億ドル分の輸入品に対する関税の上乗せを見送ったうえで、5月以降、途絶えていた貿易交渉を再開させることで一致しました。

トランプ大統領は会談のあとに行われた記者会見で、中国がアメリカの農産品を大量に購入する代わりに追加の関税の上乗せを見送ったと説明しています。

一方、中国は、今回の交渉を前に中国企業が、アメリカ産の大豆を数百万トン買い付けたと国営メディアが報じています。

中国側には、先の首脳会談での合意内容を着実に実行する姿勢をアピールしアメリカにも歩み寄りを求める狙いがあるとみられます。

しかし、米中の間には中国側が求める中国の通信機器大手、ファーウェイに対するアメリカの締めつけ緩和など多くの課題で依然として大きな隔たりが残されています。

トランプ大統領は、先月の米中首脳会談のあと、ファーウェイとアメリカ企業が政府の許可なく取り引きすることを禁止する措置について、一部の電子部品などの販売を認める方針を示しています。

しかし、輸出審査を所管するロス商務長官は今月9日、ファーウェイへの一部の製品の販売を認める考えを示す一方で、原則として輸出は認めない考えを強調しています。

また、5月までの交渉で懸案となっていた、中国による知的財産権の保護や国有企業への過剰な優遇といった問題についても、これまでのところ大きな進展は見られていません。

さらに、交渉が合意した場合の関税の取り扱いをめぐっても、アメリカ側が中国が合意内容を着実に履行するか見極めるため、一部の関税を残す意向を示していることに対して、中国は関税の撤廃を強く求める姿勢を崩していません。

トランプ大統領が中国との貿易交渉について決着を急がない考えを示す一方、中国側も「貿易摩擦の解消は簡単なことではない」などとして、交渉には時間が必要だという認識を示しており、米中が互いの輸入品に高い関税を上乗せする状況は当面、続くという見方が強まっています。

ソニーの製品に高い関税をかけるのは米国経済にマイナス

アメリカと中国の閣僚級の貿易交渉が30日から再開することに関連して、ソニーの十時裕樹最高財務責任者は、30日の決算発表の記者会見で「もしアメリカが今後中国に追加の関税措置を発動した場合には、ソニーのゲーム機やカメラ、オーディオ機器などの製品が対象になるとみられ、これらに高い関税をかけるのは最終的に米国経済にとってマイナスになると思う」と述べました。

そのうえで自社の対応として「現在、価格への転嫁や継続販売の是非など、いろいろな対策のシミュレーションをしているところで、予断を持たず、できるだけビジネスに対するネガティブなインパクトを緩和していきたい」と述べました。