プロ注目の佐々木朗希投手 決勝での登板回避に野球界は

プロ注目の佐々木朗希投手 決勝での登板回避に野球界は
多くの野球ファンが注目した25日の全国高校野球岩手大会決勝は、花巻東高校が大船渡高校に勝って2年連続の甲子園出場を決めました。
その一方で、さまざまな議論を生んだのは、「故障を防ぐため」として最速163キロのエース佐々木朗希投手を出場させなかった大船渡高校の監督の判断でした。
将来ある選手たちをどう守るか、今後議論が加速するきっかけになるかもしれません。
(スポーツニュース部 野球担当記者 武田善宏)
佐々木投手は、24日の準決勝までの5試合のうち4試合に登板して計435球を投げました。今月21日の4回戦は延長12回で194球。準決勝は中2日で129球を投げました。
準決勝のあと佐々木投手は「次、勝たないと1回戦敗退と一緒。全力で行きたい」と話していましたが、決勝では打者としての出場もありませんでした。

勝てば甲子園という大一番で、なぜエースの佐々木投手が登板しなかったのか。
そこには佐々木投手の将来を見据えた國保陽平監督の決断がありました。
身長1メートル90センチ、体重86キロと細身の佐々木投手について、國保監督は医師から骨や筋肉、じん帯などが球速に耐えられるほど成長していないと診断を受けたとして、できるだけ連投を避けたりするなど、これまで慎重な起用を続けてきました。

決勝のあと國保監督は「本人が投げたいと言えば投げさせたかもしれない」としたうえで「今大会の疲労が大きく、故障を防ぐための判断だった」と説明しました。
佐々木投手も「投げたい気持ちはあった」と複雑な思いを明かしましたが「監督の判断なのでしかたがない」と理解を示しました。

この國保監督の決断について、野球界からはさまざま意見が聞かれました。

巨人 原監督「決断は正しかった」

プロ野球 巨人の原辰徳監督は「本人、監督も苦渋の決断だったんじゃないかな。どういう決断をしても、その決断が正しかったのだと思う」と話しました。

松坂投手「監督は判断が難しかった」

横浜高校時代に春夏連覇を達成し、夏の大会では準々決勝で延長17回、250球を投げ抜き、決勝ではノーヒットノーランを達成した中日の松坂大輔投手は「甲子園にはもちろん行きたかっただろうし、佐々木君という宝物を壊すわけにもいかない。監督はすごく判断が難しかったと思う」と話しました。

渡辺 前横浜高校監督「一石を投じた」

松坂投手を指導した横浜高校の前の監督、渡辺元智さんは自身も肩を壊して野球をやめた経験があり、故障予防という観点で登板を回避することは理解できるとしたうえで、「準々決勝で登板しなかったので準決勝、決勝は連投するものだと思っていた。勝利至上主義ではなく、投げられる状態であれば連投して我慢することで覚えることもある。いろんな意見があると思うが、國保監督の決断で、さらに議論が生まれるので一石を投じた」と話しました。

ピッチャーの負担軽減策 議論加速につながるか

ピッチャーの投げすぎによるけがの予防をめぐっては、去年12月、新潟県高校野球連盟がことし春の県大会で1試合100球の球数制限の導入を表明したことで議論が加速しました。

日本高校野球連盟はことし4月から有識者会議を発足させピッチャーの負担軽減策について具体的な検討を始めています。

高野連は有識者会議からの提言をもとに来年度からのルール作りを行う予定です。

さらに小学生年代でみると、神宮球場などで来月開催される軟式野球の全国大会では、ピッチャーの1日の投球数を70球までに制限する新たなルールが導入されるなど、高校生より下の世代ではけが予防の取り組みが進んできています。

「勝てば甲子園」という大一番で絶対的なエースを登板させなかった大船渡の國保監督の今回の判断。球児のけが予防についての議論が今後、加速するきっかけになるかもしれません。
佐々木投手は甲子園出場の夢は断たれましたが、8月末から始まる18歳以下のワールドカップの日本代表の1次候補に選ばれています。

夏の甲子園が終わった直後に発表される最終メンバーに入れば、世界の同世代の強打者を相手にどのような投球を見せるのか。今から期待が高まります。