WTO理事会で韓国への輸出規制議論へ

WTO理事会で韓国への輸出規制議論へ
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スイスで23日から開かれるWTO=世界貿易機関の実質的な最高機関である一般理事会で、日本の韓国に対する輸出規制が正式な議題として取り上げられ、日韓両政府は160以上の国と地域から出席する大使らを前に、それぞれの主張への理解を求めて議論を展開する見通しです。
WTOの一般理事会の会合は日本時間の23日午後5時から、スイスのジュネーブにある本部で開かれる予定で、日本政府が半導体の原材料などの韓国向けの輸出規制を厳しくしたことが、韓国政府の要請で正式な議題として取り上げられます。

日本からは外務省の山上信吾経済局長が出席し、安全保障に関わる輸出管理の国際的な枠組みでは運用は各国に委ねられていて、今回の措置は軍事転用も可能な品目で不適切な事例があったことなどを受けた運用の見直しであることや、WTOのルールでも安全保障上、必要な場合には例外が認められていることからWTOのルール違反にはあたらないなどと説明することにしています。

WTOの一般理事会は2年に1度の閣僚会議を除くと実質的な最高機関ですが、貿易をめぐる紛争について判断を下す場ではなく、日本としては国際的なルールに沿った措置だと各国に理解を求める方針です。

一方、外務省と経済産業省は、22日、東京の各国の大使館の職員およそ20人を外務省に集め、今回の措置を含めた日本の輸出管理制度について事務的な説明を行ったということです。

韓国政府は会合にWTOを所管するキム・スンホ(金勝鎬)新通商秩序戦略室長を首席代表として派遣し、日本の措置は不当だと訴えることにしています。

今回取り上げられる議題は14あり、日本の韓国に対する輸出規制は11番目に扱われる予定です。早ければ日本時間の23日夜にも議論される見通しですが、進行次第では2日目の24日の会合にずれ込む可能性もあります。

WTOでの議論提案 韓国のねらいと主張

WTO=世界貿易機関での議論を提案した韓国政府としては、日本の措置の「問題点と不当性を積極的に説明する」としていて、164の国と地域のすべてが出席する実質的な最高機関「一般理事会」の場で、みずからの主張への理解と協力を求めるねらいがあります。

今月9日、WTOの別の会合で、韓国は「日本は信頼が損なわれたことを理由にしているが、WTO協定には、それを理由に輸出を規制する根拠はない」と述べており、日本の措置は、国際的な貿易ルールに反すると訴えるものとみられます。

また、「韓国の産業だけではなく、日本企業を含む世界的な供給網や産業に悪影響となる」ともしていて、各国にも影響が及びかねないと主張することが予想されます。

韓国は、輸出規制をめぐって、局長級協議の開催を繰り返し日本に求めていますが、日本側は応じる姿勢を示しておらず、2国間での事態の打開は難しい情勢です。

このため、韓国は、WTOなどを活用して積極的に発言し、国際社会に対して働きかけることで、みずからに有利な環境を整え、日本側の措置の撤回につなげたいものとみられます。

韓国は、今回の「一般理事会」に、キム・スンホ(金勝鎬)新通商秩序戦略室長を首席代表として派遣すると発表しました。

キム室長は、ことし4月、韓国が福島など8県の水産物の輸入を禁止していることについて、WTOが日本の主張を退けて逆転勝訴した際に、大きな役割を果たしたとされており、韓国産業通商資源省は「快挙を引き出した通商通だ」としています。

一般理事会で議論される意味は

WTO=世界貿易機関の一般理事会は、加盟する164の国と地域のすべての大使らが出席する常設の機関で、2年に1度開かれる閣僚会議を除くとWTOの実質的な最高機関です。

そのもとには、分野別の理事会や委員会、紛争解決にあたる機関などが設けられています。一般理事会は年に5回程度会合が開かれ、会合を取り仕切る議長は現在、タイの大使が務めています。その前はジュネーブ国際機関日本政府代表部の伊原純一大使が務めました。

一般理事会では、加盟する国や地域の要請に基づいて貿易に関するさまざまな議論が行われます。今回の会合で取り上げられる議題は14あり、韓国が要請した「日本の輸出規制について」は、11番目に議論される予定です。

一般理事会では日本の韓国に対する輸出規制の措置について、何らかの決議が行われるわけではありませんが、日本と韓国のいずれにとっても、自国の立場を世界から集まる大使らに直接、訴えることができる貴重な機会となります。

また、一般理事会で述べられた内容は重要な扱いを受け、今後、韓国がWTOでの紛争解決の手続きに踏み切った場合、両国による発言が審理で判断材料とされる可能性があります。

WTOは自由で開かれた貿易体制の基盤となる国際機関で、スイスのジュネーブに本部があります。保護主義的な貿易政策が第二次世界大戦につながったという反省から、自由貿易を推進しようと戦後発足したガット体制の流れを引き継ぎ、1995年に設立されました。