子どもの病気じゃないの?~戦慄!大人の手足口病~

子どもの病気じゃないの?~戦慄!大人の手足口病~
「触るものすべてが痛い」
「シャワーがまるで拷問」
「殺してくれと思うほどの痛み」

経験者たちが語るのはこの10年で最大の流行となっている手足口病の症状です。
幼い子どもがかかる単なる発疹の病気だと思っていませんか?
侮っていると“地獄の苦しみ”を味わうことになるかもしれません。その怖さとは…(ネットワーク報道部記者 鮎合真介 藤目琴実)

相次ぐ大人の悲鳴

ネット上では手足口病を経験した人たちによる想像を絶する痛みやかゆみへの悲鳴が相次いでいます。

「娘からもらった手足口病、これはほんと地獄です。口と手と足がブッツブツです。飯食うのも歩くのも何かを手で触るのも痛い…大人にはうつらないと思ってたからショック」

「口の中はニキビみたいなデキモノだらけです。食べ物も痛すぎて食べられず、ナチュラルダイエット状態です」

「悪寒と吐き気、頭痛と酷いことだらけで本当にこれは大人かかっちゃダメです…」

「シャワーが拷問のようだし洗った気がしない」

「かゆすぎる、手も足も発疹できたとこすべてかゆい」

手足口…爪さえも!

手足口病に感染し「爪が剥がれた」という人の声も多く、さらに戦慄が広がっています。

「爪の先の部分が作られてない状態で剥がれるからとにかく痛い…服着るのもヒィヒィ叫んだし水とかお湯も刺激が強かった…大人の手足口病の本領発揮は爪だと思った方がいい…手足爪病に改名すべき」

「手足も痛すぎて歩けなくて仕事3日位休んだし、症状収まりかけた頃に爪が剥がれる」

「次々爪が剥がれてるよ。大人がなると歩行すらできないよ」

実録!夫婦で発症

夫婦で手足口病に感染したという福岡県に住む30歳の女性に話を聞くことができました。
「インフルエンザ以上に恐ろしい」と振り返った手足口病の症状を、当時の日記をもとに紹介してくれました。

ことし3月、2歳の子どもが手足口病にかかった数日後に夫婦そろって発症。まず、およそ39度の発熱に続き全身のけん怠感や悪寒、それに関節痛が襲いました。

2日後、手と足にぶつぶつが出始めます。発疹は眉間や口の周りのほか、鼻の中にまで広がったそうです。発疹の激しい痛みとかゆみでなかなか寝れず、睡眠不足になりました。
当然、日常生活にも支障が出ました。
痛みで指を曲げることができず、食事もままならないばかりか風呂では頭を洗えない。歯磨き粉のキャップを開けることさえ難しかったといいます。

さらにトイレに行こうにも激痛が伴い、
「ドアノブを回す」
「ズボンとパンツを下げる」
「手を洗う」という一連の動作に10分以上もかかりました。

おむつ替えやだっこなど子どもの世話もできず、実家に帰省して身の回りの世話を母親にお願いすることになりました。

やっと治ったと思ったら…

発症から5日。発疹は残っているものの、痛みやかゆみはようやくおさまりました。

しかし、手の指先が分厚くなり、グローブをはめているかのような感覚が1~2週間続いて、夫はスマートフォンの指紋認証にも手間取っていたといいます。手の指の第1関節より上の皮はすべて剥がれました。
さらに発症から2か月がたったころ、手の爪が剥がれてほとんどの指で「2枚爪」になったそうです。

「治ったと思っていても手足口病の“爪痕”が、苦い記憶をなかなか忘れさせてくれませんでした」と振り返りました。

つらい症状を、どうしのいだのか?
ひとつだけ役に立ったのが、保冷剤だったと言います。
薄手のハンカチに保冷剤をくるんであてると、ひんやりとして痛みやかゆみが和らいだと言います。

手足口病にかかっていた子どもの食べ残しを食べてしまったという女性。「大人が手足口病にかかるとひどい症状になることを身をもって体験して本当に大変でした。当時は地獄のようで、できれば思い出したくないです」と話しています。

繰り返し感染するおそれも

主に幼い子どもがかかる手足口病。

東京・足立区にある江北ファミリークリニックの杉村久理院長によりますと、この2週間ほどは特に患者が増えていて、子どもの7割ほどが手足口病と診断されたということです。

中には大人の患者もいて、ほとんどのケースが子どもからの感染だそうです。
「手足口病はいわゆる『子どもの夏かぜ』で、免疫力の高い大人はかかりにくいのですが、ストレスや体力の低下、アレルギーやほかの病気など免疫力が下がっている場合は感染しやすく、大人でも注意が必要です」
杉村院長によると、手足口病は原因となるウイルスが複数あり、一度、感染した人でも繰り返しかかる可能性があるそうです。

想像を絶する痛み…かかったらどうすれば?

残念ながら手足口病の特効薬や特別な治療法はなく、発症したら1週間ほどかけて自然治癒に任せるしかありません。

絶望しそうになったあなたへの救いは、対症療法はあるということです。
「医療機関にもよりますが、痛みやかゆみを薬で抑えたり、口の中が痛くて水分もとれないような場合は脱水症状を防ぐために点滴をすることもあります」(杉村院長)
記者(藤目)の夫は数日間痛みにもん絶したあげく、耐えきれず受診した病院で鎮痛剤を打ってもらうと、痛みが劇的に改善。
「もっと早く病院に行けばよかった…」とひどく後悔していました。

かからないためにはどうすれば?

地獄の苦しみを避けるには、1に予防、2に予防、とにかく予防するしかありません。

東京都の『感染症マニュアル』によると、手足口病の主な感染経路はせきやくしゃみなどのほか便に含まれるウイルスということで、予防の基本はこまめな手洗い。
インフルエンザの対策と同じように、
▽洗い残しがないよう指輪や腕時計を外す、
▽流水で両手を十分ぬらしてせっけんを泡立てて洗う、特に子どものおむつを替えたあとはしっかり手を洗うことが大切です。
また、
▽手足口病を発症している家族がいる場合はタオルを一人一人分けたり、ペーパータオルを使ったりするのがよいということです。
▽固形せっけんは共有せず、液体せっけんも詰め替えずに、そのつど新しいボトルを使うとさらに効果的だということです。
▽発疹が消えたあとも1か月近くは便にウイルスが残っているため、油断は禁物です。
また、
▽免疫力が下がるようなことはNG。睡眠不足や暴飲暴食のほか、意外なところでは日焼けにも注意しましょう。
「子どもの病気」と侮らないで家族みんなで予防して、楽しい夏休みを迎えたいですね。