トランプ大統領「イランとの戦争は望んでいない」

トランプ大統領「イランとの戦争は望んでいない」
アメリカのトランプ大統領は、大型の無人偵察機を撃墜したイランに対する報復攻撃を直前に中止した理由について、攻撃に踏み切れば150人が死亡する可能性があったとしたうえで「私は戦争は望んでいない」とも述べ、イランとの戦争は回避したいという考えを強調しました。
イランの精鋭部隊、革命防衛隊がアメリカ軍の大型の無人偵察機を撃墜したことをめぐり、トランプ大統領は21日、ツイッターで、イランに対する報復攻撃を20日夜に予定していたものの、攻撃の10分前に中止を指示したと明らかにしました。

また、アメリカのNBCテレビのインタビューで、トランプ大統領は攻撃の最終的な承認は与えていなかったとしたうえで「何人のイラン人が死ぬか尋ねたところ、軍の高官はおよそ150人だと答えた。私がゴーサインを出せば30分以内に150人が死ぬことになる。それは嫌だった。釣り合いが取れないと思った」と説明しました。

そのうえで「私は戦争は望んでいない。もし戦争になれば、かつて目にしたことのないほどの破壊を目にすることになる」と述べ、イランとの戦争は回避したいという考えを強調しました。

来年秋の大統領選挙での再選を目指すトランプ大統領としては、中東有数の軍事力を誇るイランと戦争になれば好調なアメリカ経済への打撃は避けられず、戦争は避けたいというのが本音だとみられています。

しかし今回、トランプ大統領が一時的とはいえ攻撃を承認するなど、それとは裏腹な対応を取っていることで、イラン情勢はますます展望が見通せない状況となっています。

専門家「厳しい条件吹っかけ相手の妥協を待っている」

イランへの軍事攻撃をめぐるトランプ大統領の一連の発言について、アメリカ政治と安全保障政策に詳しい笹川平和財団の渡部恒雄上席研究員は、NHKの取材に対し「トランプ大統領はイランと戦争をしたくないと思っているはずだ」と指摘したうえで、「相手に厳しい条件を吹っかけて相手が妥協してくるのを待っている。トランプ大統領は『戦争を止めたヒーロー』になりたいと思っている」と述べ、イランに妥協を迫るため、緊張を高めるねらいがあったという見方を示しました。

また、トランプ大統領の対応が変化した背景について「トランプ政権内には去年までは、ケリー大統領首席補佐官やマティス国防長官といった現実的な考え方をする人物がいたが、トランプ大統領によって辞めさせられた。その後、政権内からはトランプ大統領に対し異論が出なくなり、調整機能が失われている。非常に混乱した状況になっている」と指摘しました。

そのうえで渡部氏はトランプ大統領の対応がイラン側に与える影響について「イランとしても簡単には妥協できず強硬な姿勢を続けるしかない。今後、イランがあらゆる手段で対抗することも考えられ、結局、緊張が高まるのではないか」と述べ、イランの強硬な態度を招き、緊張が高まる可能性があるという見通しを示しました。

イラン市民「対話で解決を」「アメリカは傲慢」

トランプ大統領がイランに対する報復攻撃を予定していたものの、直前に中止を指示したと明らかにしたことについて、イランでは、今後戦争が起きるのではないかと懸念する声やアメリカに対する怒りの声が聞かれました。

このうち市場で働く67歳の男性は「われわれは忍耐力を発揮して戦争を望まない姿勢を示してきた。今後も戦争を回避し、対話によって解決してほしい。イランはイラクとの間で8年におよぶ戦争を経験しており、繰り返したくはない」と述べ、外交による解決を求めていました。

32歳の会社員の男性は「アメリカの行動は傲慢だ。領土や領海が侵された場合は報復を行い、国際法規を尊重するよう理解させなければならない」と述べ、アメリカ軍の無人偵察機を撃墜したイランの対応は当然だという考えを示しました。そのうえで、この男性は「アメリカが攻撃するのであれば、われわれも攻撃するまでだ」と述べました。

また30歳のエンジニアの男性は「アメリカはイラン核合意に対し不誠実な対応をしてきた。対話をすることがよい考えだとは思わない」と述べ、イランの核開発をめぐる国際的な枠組みから一方的に離脱したトランプ政権を信用すべきではないという考えを示しました。