チケット不正転売禁止法 きょう施行

チケット不正転売禁止法 きょう施行
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コンサートやスポーツなどのチケットの不正な転売を禁止する新たな法律が14日に施行され、もとの価格よりも高い値段で繰り返し転売することなどが禁止されます。インターネット上で相次ぐチケットの高額転売に一定の歯止めがかかることが期待されます。
14日に施行された「チケット不正転売禁止法」は、コンサートやスポーツなどのチケットを主催者の同意がないまま、もとの価格よりも高い値段で繰り返し転売したり、転売目的で譲り受けたりすることを禁止しています。

会場周辺などでチケットを転売する「ダフ屋行為」に加え、インターネット上での不正転売も対象となり、違反した場合、1年以下の懲役や100万円以下の罰金が科されます。

人気チケットの転売をめぐっては、近年、販売開始と同時に買い占められ、インターネット上の「転売サイト」で定価を大幅に上回る金額で取り引きされるケースが多発し、業界団体などから法整備を求める声が上がっていました。

この法律によって、こうした高額転売に一定の歯止めがかかることが期待されます。

電子チケットも対象

今回の法律の対象は不特定、または多数の人が見たり聞いたりする音楽や演劇、映画、スポーツなどの「興行」のチケットで、紙のチケットだけでなく、QRコードのような電子チケットも含まれます。

日時や場所などが指定されていることや、主催者の同意のない転売の禁止が明示されていることなどの条件が定められています。

また、今回の法律が禁止する不正転売は「業として」行う定価を超えた転売にかぎられています。「業として」は反復継続して行う行為のことで、定価以上での転売を何度も繰り返した場合には、商売目的ではなくても違法となります。

一方、買う側は、のちにそのチケットを転売する目的で手に入れた場合、処罰の対象となります。

これまでの経緯

人気チケットの高額転売は、売りたい人と買いたい人を仲介する「転売サイト」が普及したことで、ここ数年、急速に増加しました。

転売サイトには音楽や舞台、スポーツなど幅広いチケットが出品され、特に人気のチケットは定価の10倍以上の価格で売り買いされるケースも見られるようになりました。

さらに、短時間で自動的にチケットを購入することができる「ボット」と呼ばれるプログラムを使って、チケットが発売と同時に大量に買い占められる事態も起き、問題が深刻化していきました。

公共の場所で行われる「ダフ屋行為」は、自治体が定める迷惑防止条例で取り締まることができますが、インターネット上での転売は「公共の場所」にあたるかどうか明確な判断が示されておらず、積極的な取締りが難しい状況が続いていました。

こうした状況を問題視して、3年前には国内の音楽業界の団体と100組を超えるアーティストなどが、高額転売に反対する共同声明を発表し、その後、東京オリンピック・パラリンピックを見据えて法整備が進められてきました。

今回、新たな法律が施行されたことについて、コンサートプロモーターズ協会、総務委員の石川篤さんは「本来なら10回や20回も参加できるような金額を1回のコンサートで使ってしまう状況が普通にあったので、少しでも解消されれば本当に喜ばしく思います。一方で、業界としては行けなくなった人のチケットをどのように救済するのかということも、今後の大きな課題だと考えています」と話しています。

トラブル相談も急増

国民生活センターによりますと、コンサートやスポーツ観戦のチケットが転売仲介サイトやSNSなどで取り引きされることが増えているのにともなって、全国の消費生活センターに寄せられるトラブルの相談も急増しています。

昨年度は2067件と、前の年度の2.4倍に上ったほか、今年度も先月末までの2か月間で、すでに576件に達しています。

この中にはインターネットの掲示板で演劇のチケットを購入して代金を振り込んだところ、ファミリーレストランのクーポン券が送られてきたり、サーカスのチケットを公式サイトで買おうとしたら、実は海外の転売仲介サイトで、正規の料金より高額で買わされたりといったケースも報告されています。

国民生活センターは14日から新たな法律が施行され、不正な転売は罰則の対象となることがあるとしたうえで、転売のチケットを買う際は高値で売られていないかや、規約で転売が禁止されていないかなどを十分に確認するよう呼びかけています。

専門家「抑止力になる」

新たな法律について、チケット転売の問題に詳しい福井健策弁護士は「買い占めによる高額転売が当たり前になり、われわれもそれにまひして諦めていたような空気が変わっていく1つのきっかけになり、高額転売でもうけるようなことはやめようという抑止力になると思います」と期待を語っています。

また、今後、不正転売を摘発するためには、転売サイト側の協力も欠かせないとして、「転売サイトにはユーザーの匿名性を売りにするものも少なくないので、売り手が過去にどれくらい転売を繰り返しているかは、サイト側の協力を得ないと分からないというケースも少なくないと思います」と指摘しています。

一方、今回の法律では、業界側に対してもチケットが適正に流通するために必要な措置を講じるよう努力義務を明記しています。

音楽業界ではおととし、「転売サイト」に代わる選択肢として、定価での取り引きに限定してチケットの売り買いができる公式サイトが開設されましたが、利便性などの面で改善の余地があるとされています。

福井弁護士は不正転売対策の1つとして、電子チケットの普及を上げ、「スマートフォンのような端末にひもづいた電子チケットは、不正転売が非常にしづらい。一方で安全性を高めようとするほど利用者の不便さが増す可能性もあるので、利便性を害さずに電子チケットにしていくバランスが重要になると思います」と指摘しています。

文科相「不正転売防止で消費者庁と連携」

柴山文部科学大臣は、記者会見で「文部科学省としては、法律の周知に努めているほか、文化庁に相談窓口を設置して興業主などからの相談に対応している」と述べました。

そして、来週20日に、東京オリンピックの観戦チケットの抽せん結果が発表されることから、チケットが不正に転売されないよう消費者庁などと連携して対応していく考えを示しました。