ウーバーイーツ配達員 労組結成めざす けが補償など求め

ウーバーイーツ配達員 労組結成めざす けが補償など求め
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飲食店の従業員に代わって、あらかじめ登録した一般の人が料理を客のもとに配達する代行サービス「ウーバーイーツ」をめぐり、配達員たちが労働組合の結成を目指すことになりました。
12日に東京 渋谷で開かれた会合には、配達代行のサービス「ウーバーイーツ」の配達員で労働組合の結成に関心のある人のほか、既存の労働組合の役員や弁護士など合わせておよそ30人が集まりました。

サービスをめぐっては、配達員が従業員ではなく「個人事業主」として働くため、配達中にけがをしたり事故を起こしたりしても補償を受けられないことが課題として指摘されているほか、報酬額が加算される基準や仕事の依頼の基準が明らかになっていないという声も上がっています。

参加した配達員からは、こうした現状を交渉によって変えることができるのかという質問が相次ぎました。

これに対して弁護士は、労働組合を結成して会社側と団体交渉をすれば改善する可能性が高まると答えていました。

参加した30代の配達員の男性は「待遇改善を求めて会社と話し合えればと思うので組合への参加を考えたい」と話していました。

労働組合の結成を呼びかけた全国ユニオンの関口達矢事務局長は「個人が個別に会社に課題を訴えてもなかなか変わらない。引き続き会合を開いてことし夏には組合の結成につなげたい」と話していました。

ウーバーイーツとは

ウーバーイーツは、アメリカのライドシェア大手「ウーバー」が運営するサービスです。

3年前に日本でサービスを開始して、現在は首都圏の各都市や大阪、名古屋、福岡など9つの都府県で展開し、提携している飲食店は1万を超えています。

客がスマートフォンのアプリで提携している飲食店の料理などを注文すると、配達員として登録した一般の人が飲食店の従業員に代わってバイクや自転車などで料理や飲み物を配達してくれます。

支払いはクレジットカードなどによる決済が中心ですが、ことしに入って一部の地域で現金での支払いもできるようになりました。

配達員は会社と雇用契約を結ばない「個人事業主」として働くことになりますが、1回の配達の距離に応じて報酬を受け取ることができ、好きな時間に働けるメリットがあるといいます。

ウーバーは登録している配達員の人数を公表していませんが、3年前のサービス開始以降、配達員は増え続けているとしていて、人手不足のなかでの新たな働き方として注目されています。

配達員のリスクは

配達員として働く人たちが増えている一方で、課題だと指摘されていることの1つが交通事故のリスクです。

ウーバーイーツに登録していた東京都内に住む30歳の男性は去年11月、自転車で飲食店に料理を受け取りに行く途中、タクシーとの接触事故で右手首を骨折する大けがを負い、全治2か月と診断されました。

治療費はタクシー会社の保険で支払われましたが、登録していた会社の「ウーバー」からの補償はなかったといいます。

「ウーバー」によりますと、配達員が事故を起こした場合、相手のけがなどに対して補償する保険には加入しているものの、配達員は雇用契約を結んでいない「個人事業主」にあたるため、配達員の被害を補償する仕組みはないということです。

また、会社で配達員に個人で保険に加入するよう勧めているということですが、実際にどのくらいの人たちが加入しているかは把握していないということです。

当時、フリーランスのカメラマンとして働き、その仕事の合間に配達員の仕事をしていた男性は、およそ2か月間、けがの治療のため仕事ができず、全く収入がない状態になりました。

男性は「自分が働きたいときに働けるすごく便利な仕事ですが、自分が事故に遭うとは思っていませんでした。2か月も無収入になって、ようやく配達代行の働き方のリスクに気がつきました」と話しました。

そのうえで「会社は事故のリスクをしっかり配達員に説明しておく必要があると思います。また今、働いている配達員も、自転車保険にきちんと入るなどリスクを認識して働いてほしいです」と話していました。

外食産業「配達代行は欠かせない」

全国に350店舗を展開する定食チェーンの「大戸屋ホールディングス」は3年前の平成28年8月からウーバーイーツと提携し、現在98の店舗で配達代行サービスを導入しています。

配達代行を利用した注文数は年々増え、現在、多い店舗で売り上げの10%から15%を占めるまでになっているということです。

このうち東京 渋谷にある店舗では1日平均20件ほどの配達代行を利用した注文が入り、多いときには50件を超える日もあるということです。

客からの注文が入ると店舗内の専用タブレットの音が鳴り、店員が注文内容を確認して調理を開始します。

注文は店舗の近くにいる配達員にも知らされ、おおむね20分以内で店に料理を受け取りに来てくれるということです。

料理を受け取りに来た26歳のベトナム人留学生の男性は「きょうは3~4時間くらい働きます。暇なときにできるのがいいです」と話していました。

外食産業では人手不足が深刻で、配達員を自力で確保することが難しく、配達代行サービスは欠かせなくなっているということで、「大戸屋ホールディングス」の広報担当者は「少子高齢化や単身世帯の増加で今後もさらにニーズは増えていくと思っています。都心や繁忙店だけでなく、地方の店舗でも拡充できるようにサービスの拡充をせつに望んでいます」と話していました。

ウーバー「安全に配達する機能強化に努めたい」

ウーバーは「配達員は『個人事業主』という働き方を選択し、柔軟に働けることを評価してもらっていると考えている。今後もその柔軟さは維持しながら、テクノロジーも活用して安全に配達するための機能の強化に努めたい」と話しています。

弁護士「働く人を保護するルールや規制を」

配達員たちの労働相談に応じている川上資人弁護士は「個人事業主として働く人には労災保険などの保障がない。こうした個人事業主の労働力でサービスを運営して利益を得ている会社は、働く人のことをもう少し考えてほしい。弱い立場の人たちが安全・安心して働くには、労働組合を結成して会社と交渉することが必要だ。ウーバーイーツのような働き方が急速に広がっているが弱い立場の働く人を保護するルールや規制も必要になるのではないか」と話しています。