日本からのプラスチックごみ 太平洋の広範囲に影響

日本からのプラスチックごみ 太平洋の広範囲に影響
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日本から大量のプラスチックごみが海に流出した場合、アメリカ西海岸や東南アジアに漂着するなど、太平洋の広い範囲に影響を及ぼすことが、専門家のシミュレーションで明らかになりました。プラスチックごみの問題は、今週末から長野県で始まるG20=主要20か国のエネルギーや環境を担当する閣僚による会合でも議論される予定で、専門家は地球規模の対策が必要だと指摘しています。
土木研究所寒地土木研究所の岩崎慎介研究員は、北日本と東日本、それに西日本の主要都市から、合わせておよそ6300トンのプラスチックごみが海に流れ出したと想定し、シミュレーションしました。

その結果、海流や風などの影響で、多くのごみが太平洋を帯状に漂ったあと、アメリカの西海岸やカナダ、アラスカに漂着することがわかりました。また一部は、フィリピンなど東南アジアにまで漂着するほか、日本の沿岸部にもとどまり、広範囲に影響を及ぼすことが明らかになりました。

レジ袋やペットボトルといったプラスチックごみによる海洋汚染が進むと、クジラやウミガメ、魚などが餌と間違えて食べてしまうなど、生態系への深刻な影響が懸念されていて、15日から長野県軽井沢町で始まる主要20か国の環境などの関係閣僚会合でも議論される予定です。

岩崎研究員は「日本から出たごみが遠くの国にも迷惑をかけるという認識を持ってほしい。もっと多くの国がより早くプラスチックの削減に取り組まないといけない」と述べ、地球規模の早急な対策が必要だと指摘しています。

専門家「とてもインパクトある結果」

今回のシミュレーションについて、プラスチックの海洋汚染の問題に詳しい九州大学応用力学研究所の磯辺篤彦教授は、「海流は複雑で速いため、日本から出たごみは、数か月であっという間に太平洋にたどりつくということがわかる。一人一人がごみを出し海にたまった結果、多くの国に影響を与える、地球全体の問題だということがわかると思う。こうしたごみの動きを実際に目にすることはなかなかないので、プラスチックごみの問題を知るためにも、とてもインパクトのあるシミュレーションだ」と話しています。

推計の量と対策は

国連によりますと、世界では年間800万トンを超えるプラスチックがごみとして海に流れ込んでいるという推計があります。
また、アメリカの大学の研究者などが、2010年のデータをもとに行った別の推計では、世界全体で最大で1年間におよそ1200万トン余りのプラスチックが海に流れ出し、このうち6万トンが日本から出ているとみられています。

こうしたプラスチックごみによる海洋汚染を防ぐための対策としてUNEP=国連環境計画は、使い捨てプラスチックの「排出削減」や「回収」などを呼びかけています。

このうち、「排出削減」について各国は、リサイクルを促したり、紙や微生物によって分解される特殊なプラスチックを素材に使用する取り組みを進めています。

日本でも先月31日に、政府が策定した「プラスチック資源循環戦略」で、レジ袋の有料化を小売店に義務づけたり、再生可能な素材への代替を進めたりして、使い捨てプラスチックの排出量を2030年までに25%抑制する目標を掲げています。

また、同じ日に策定された政府のアクションプランには、ポイ捨てや不法投棄を防止するため、国や自治体などがパトロールを集中的に行い、監視することが盛り込まれています。

さらに、プラスチックごみの回収の推進も盛り込まれていて、海岸に漂着したものは自治体に、海上で見つかったものは、漁業者に回収してもらい、その後の処分にかかる費用を国が補助するとしています。