児童など19人刺される 女児ら2人死亡 容疑者を特定

児童など19人刺される 女児ら2人死亡 容疑者を特定
28日朝、川崎市の路上でスクールバスを待っていた小学生や大人が男に次々と包丁で刺され、警察によりますと2人が死亡し17人がけがをしました。警察は、小学生たちを刺したあとみずから首を刺して死亡したのは川崎市の51歳の男と特定し、殺人の疑いで捜査しています。
28日午前7時45分ごろ、川崎市多摩区登戸新町の公園近くの路上で、私立「カリタス小学校」に通う小学生17人と、大人の男女2人の合わせて19人が男に次々と包丁で刺されたり切りつけられたりしました。

警察によりますと、このうち東京 多摩市に住む小学6年生の栗林華子さん(11)と、東京 世田谷区に住む外務省職員、小山智史さん(39)の2人が死亡し、ほかの17人も重軽傷を負いました。

男はまもなく現場付近で警察に身柄を確保されましたが、みずから首を刺していて意識不明の重体となり、その後、搬送先の病院で死亡しました。

警察によりますと、その後の捜査で男は川崎市麻生区多摩美に住む岩崎隆一容疑者(51)と確認されたということです。

当時、スクールバスを待っていた小学生らに両手に包丁を持って近づき、次々と襲う様子が目撃されていたということです。

現場付近の植え込みに事件に使われたとみられる包丁2本が落ちていたほか、近くにあった岩崎容疑者のリュックサックには別の包丁2本が入っていたということで、警察は殺人の疑いで捜査し動機の解明を進めることにしています。

現場は、JRや小田急線が乗り入れている登戸駅から北西におよそ250メートル離れた住宅地の一角で、周辺には学校や病院も建ち並んでいます。

男の同級生「怒りやすい性格」

事件を起こしたとみられる51歳の男の小学校と中学校の同級生によりますと、男は子どものころ、怒りやすい性格だったということです。そのため校内で頻繁に暴れて教師から指導を受けていたほか、同級生からもからかわれていたということです。

また、別の小学校の同級生は、男が小学校時代に友人を鉛筆で刺したことがあると聞いたということです。

いずれの同級生も男が中学校を卒業したあとの進学や生活の状況は知らないとしたうえで、当時の様子を振り返って「男が事件に関わったと聞いても特に驚きはなかった」と話していました。

亡くなった女児「いろんな話しをしてくれるかわいい子」

亡くなった東京 多摩市に住む小学6年生、栗林華子さん(11)の家の近くに住む女性は「華子さんは会うといろんな話をしてくれるかわいい子でした。最近は小学校から家に帰ってくる様子を見ているだけでしたが、事件に巻き込まれたと聞いてショックです」と話していました。

また「ご両親ともほぼ毎日近所の掃除などであいさつを交わす仲でした。ご両親の気持ちを思うととてもいたたまれません」と話していました。

けが人は川崎市内の4病院に搬送

NHKが各地の病院に取材したところ、けがをした人たちは、いずれも川崎市で、▽宮前区にある聖マリアンナ医科大学病院、▽麻生区にある新百合ヶ丘総合病院、▽多摩区にある川崎市立多摩病院、それに、▽中原区の日本医科大学武蔵小杉病院に搬送されているということです。

<聖マリアンナ医科大学病院>
午前11時すぎから会見した聖マリアンナ医科大学病院によりますと、50代の男性1人が心肺停止の状態で運び込まれ、午前10時38分に死亡が確認されたということです。

また、40代の女性1人と、6歳とみられる女の子3人の合わせて4人が胸などを切られ重傷だということです。

4人は搬送時には会話ができる状態だったということで、手術室で治療を受けていて、手術後は集中治療室にうつされることになっているということです。

<新百合ヶ丘総合病院>
新百合ヶ丘総合病院では午前8時40分ごろから午前9時55分にかけて、いずれも小学校低学年の女の子5人が救急搬送されたということです。5人とも、病院で手当てをうけているということです。

<川崎市立多摩病院>
5人が搬送された川崎市立多摩病院では医師が記者会見し、搬送された人たちのけがの状況を説明しました。搬送されたのは中等症と軽症のいずれも女の子で、6歳が3人、7歳が1人、12歳が1人です。いずれも刃物によるとみられる切り傷があり、このうち1人は肩の切り傷とじん帯の断裂で、手術と入院が必要な状況だということです。そのほかの4人は、耳や肩、顔などに切り傷がありますが、入院の必要はないということです。

また、PTSD=心的外傷後ストレス障害の疑いもあることから病院では子どもたちの心のケアにも当たることにしています。

川崎市立多摩病院救急災害医療センターの長島悟郎センター長は「子どもたちやご家族の気持ち思うと言葉にならない。精神面でも子どもたちに対して適切なケアをしていきたい」と話しています。

<日本医科大学武蔵小杉病院>
日本医科大学武蔵小杉病院は正午から会見を開き、この病院に搬送された4人のうち女の子と39歳の男性が死亡したことを明らかにしました。

死亡した2人には首のあたりに刺し傷があり、現場に医師が到着した時にはすでに心肺停止の状態で、病院に搬送して治療を続けていました。

このほか6歳の女の子2人も処置を受けているということですが、命に別状はないということです。

現場と小学校の位置関係

事件が起きたのは登戸駅から西におよそ200メートルほど離れた住宅街の一角で、公園がある付近です。

近所の人の話によりますと、この公園の近くには現場からおよそ1.3キロ離れた川崎市多摩区にあるカリタス小学校に到着する通学バスのバス停があり、事件が起きた時間は児童の登校時間帯だったということです。

カリタス小学校「児童に申し訳ない」

カリタス小学校を運営する学校法人の高松広明事務局長は午前11時すぎに学校前で取材に応じ、「保護者への説明会は午後5時から、報道各社への記者会見は午後6時から開催する」と述べました。

また「1人亡くなり、16人は病院で手当てを受けているという情報だけ入っています。被害にあったのは登戸駅と学校を往復している小学生が乗るバスです。きょうは小学校と幼稚園も休校に、中学校と高校も午前中で生徒を帰宅させる対応を取った。児童に申し訳ない気持ちです」と話しました。

カリタス小学校とは

けが人の情報があるカリタス小学校は川崎市多摩区にある私立の小学校でホームページによりますと、平成29年の児童の数は648人、教員は51人だということです。昭和36年にカナダのケベック・カリタス修道女会がカトリック学校としてカリタス女子中学高等学校を開設し、その2年後の昭和38年にカリタス小学校が開設されたということです。

幼稚園から小学校・中学校、高校まであり、川崎市内の唯一のカトリック校としてカトリック教育の理念に基づいた一貫教育を行っているとしています。

保護者「バスには教員も付き添い」

小学2年の子どもがカリタス小学校に通っている保護者の女性によりますと、カリタス小学校では登戸駅近くのバス停から学校に向かうスクールバスを毎朝7時すぎからおよそ6便、運行していて、去年からは学年ごとに乗ることができるバスの時間帯を分けていたということです。

登戸駅を利用する教員は子どもに合わせて駅からバス停まで付き添い一緒に通学しているということで、バス1便ごとに1人か2人は教員が同乗しているということです。

また、小学1年生の場合は、通学に慣れる5月くらいまで保護者がバス停まで見送りに来るケースも多いということです。

保護者の女性は「私の子どもは被害にあったバスの1便前に乗って通学していました。いつもは穏やかな通学の際にこのような事件が起きたことが信じられず、とても怖いです」と話していました。