中古スマホどうですか?

中古スマホどうですか?
中古スマホを買ったことがある人…4.3%
日本では、スマホは新品で購入する人が圧倒的で、中古の活用はまだまだ少ない。その中古スマホへの注目がここに来て高まっている。きっかけは、国が携帯各社に、端末料金と通信料金の分離を義務づけたこと。端末の価格が意識されるようになり、割安な中古スマホのニーズが高まるとみられているからだ。(経済部記者 川瀬直子)

中古スマホはどこで?

中古スマホは、買い取り販売の専門店やインターネットを通じて売買されている。その最大の魅力、割安さはどの程度か。

全国チェーンの「ゲオ」の都内の店舗に行ってみると、2年半前に9万円ほどで発売されたスマホが状態がよいもので3万円余り、少しだけ傷があるもので3万円弱と発売当時の3分の1程度の価格で販売されていた。

担当者に話を聞くと、最近は端末をケースに入れて使う人が多いから、数年使われていても状態がよいものが多いという。

店を訪れた男子大学生は「スマホの価格が高くなっているので、中古端末を買いに来た。中古でも十分かなと思う」と話す。店には外国人の旅行客も出入りしていて、日本で売られているものは質がよいと人気があるという。

なぜ普及しない?

調査会社「MM総研」によると、2016年度の国内の中古の携帯端末の販売台数は180万台。新品と合わせたスマホ全体の販売台数の5%にとどまっている。

北米での中古の割合が16%とも言われる中、世界と比べても低い水準と言える。MM総研の調査(17年10月)によると、中古スマホを買ったことがある人は4.3%にとどまっている。

中古を買わない理由としては「中古端末が売られていることを知らない」「前の利用者が不明」「生理的に受け付けない」といった声があがった。

さらに、普及しない背景には、国内流通量の少なさがある。同じ調査によると、使っていたスマホを携帯会社や中古業者に下取りに出したことがある人は9.4%にとどまった。
利用されずに自宅で保管されているスマホは6737万台、いわゆる「ガラケー」と合わせると1億7607万台で、市場価値は1兆2000億円に上る可能性があるという。また、下取りに出した端末も、国内では出回りにくいという事情もある。

携帯大手3社による、端末の下取りの規模は年間600万台ほどと言われている。その大部分は商社や卸売り会社を介して新興国などの海外市場へ販売されていて、日本の市場に出回る端末は極端に少ない。

各社は「国内流通を制限しているわけではない」としているが、中古の市場が育っている海外では、日本に比べて高額で大量に買い取ってくれるので、海外に流れやすいという。つまり、国内ではこれまで中古のニーズが高くないので出回らず、出回らないので市場も育たないという悪循環になっているのだ。

ガイドラインで安心して売買できる環境を

中古端末の普及には、安心して売買できる環境が必要だ。そう考えた中古端末の買い取り販売の業者や修理業者の団体は、ことし3月、買い取りや販売の際のガイドラインを作成した。

データ消去
データ流出の懸念を払拭(ふっしょく)し、安心して売ってもらえるよう、データ消去の方法を定めた。売る人に自分でデータを消去してもらったうえで、業者側が意味のない乱数字を上書きしてからもう一度データを消去する「上書き消去」を原則として行うことを義務づけた。イメージとしては、書類を黒いマジックで塗りつぶしてからシュレッダーにかけるような作業。データがきちんと消去できているかは第三者が確認し、それができなかった端末は、携帯として売らず、部品のみを販売するとしている。

品質を格付け
中古端末の品質を示す「格付け」の基準を各社で統一し、客に明示する。
機能面では、ボタンが反応するか、カメラに異常がないかなど13の項目について検査し、OKかNGで示す。
外装面も以下の5つのランクで表す。
さらに、保証期間を設けることも業者に求めた。

ガイドラインは10月ごろに発効する予定で、決まりを守っている事業者を認定する制度も始める予定だ。

一方、今回のガイドラインでは、「バッテリーの持ちが心配」という声には対応できなかった。スマホはバッテリーが内蔵されているために検品しにくく、端末によって仕様が異なるため、統一基準づくりが間に合わなかったという。

団体では、バッテリーについても盛り込んだガイドラインの改良に向けて、議論を続けることにしている。
「注目を集めている今だからこそ、安心して売買できる環境を整えて市場拡大を目指したい。まずはガイドラインの存在を知ってもらいたい」

当たり前の選択肢になるか

携帯大手各社に、通信料金と端末代金の分離を義務づけた法律が、5月10日に成立した。これに対応した各社の新たな料金制度では、通信料金が安くなる代わりに、端末代金の負担が増える見通しになっている。
通信料金との分離によって、消費者は、端末の価格を意識するようになるため、今後は価格を抑えた端末の需要が増えるだろう。

各社が力を入れる3万円台から4万円台の「中価格帯」の新品のスマホを使うのも一つの手だが、中古スマホへのニーズも高まると見られる。

中古の車や衣類、家具のように、中古スマホが広く流通し、消費者にとって当たり前の選択肢になっていくのか。普及に向けた業界をあげた取り組み、そして中古スマホに対する消費者の意識の変化に注目していきたい。
経済部記者
川瀬直子

平成23年入局
新潟局 札幌局をへて
現在 情報通信業界を担当