子ども服がギフト券に!?

子ども服がギフト券に!?
私は今、3歳の子どもを育てています。家には、買ったり、プレゼントしてもらったりしてほとんど使わないまま押し入れで眠っている子ども服やおもちゃがたくさんあります。思い入れもあるので捨てるのは抵抗が…、子育て中の家庭の多くが経験したことがあるのでは無いでしょうか?こうした悩みを、今はやりの「シェア」で解決しようというサービスが人気になっているということで、取材しました。(ネットワーク報道部記者 吉永なつみ)

ブランド服も“お下がり”で

東京 世田谷区に住む親子。1歳9か月の男の子が着ているのは、上下ともおしゃれなブランドの服、実は“お下がり”です。

中古の子ども服をネット上で売買するサービスを利用して定価の半額ほどで購入しました。スマホ1つで買い物を済ませられます。
「子どもが毎日着るものにブランド服なんて無理だと思っていましたが、買ってみると生地が丈夫で洗濯にも強く、破れて何度も買い直すということがないので、かえって財布に優しく、エコでもあります」(母親)
このサービスの最大の特長が出品の手軽さです。専用の袋に、着られなくなった子ども服を入れて送り返すだけ。送料を負担する必要もありません。

別の服を購入できるポイントや、図書カード、ギフト券などに換えられます。
長男の服を処分できずに困っていた5年ほど前から利用するようになり、1歳9か月の次男の服はこのサイトでそろえることも多いといいます。
「自分で子ども服の写真を撮ってサイトにアップしたり、値段交渉をしたりするのは忙しい毎日の中ではとてもできません。会社が間に入ってくれる安心感もあります。誰かが大事に着ていた服なら抵抗がありませんし、この子のお下がりをほしい人がいるなら役立ててほしいと思っています」(母親)

買い取った子ども服は30万点

運営しているのは、7年前に設立された東京 港区の会社です。およそ30人の従業員の多くは子育て中の母親です。
届いた服は、汚れやほつれがないか1点ずつ手作業でチェック。名前が記入されていた場合は、無地のテープを貼って目立たないようにします。

ユーザー目線にこだわり「フードの取り外しはできるか」「ウエストはゴムかどうか」といった情報も詳しく公開しています。

高級な子ども服がきれいな状態で、しかも割安で手に入るとSNSなどを中心に評判が広がり、無料で登録できる会員数は3万人に達しました。これまでに買い取った子ども服は、30万点を超えています。
「利用者は“安く買って高く売りたい”のではなく、大切に着た子ども服を誰かに役立ててほしい、という思いを託して出品しています。ここ数年で、リユース文化は着実に広がり、『売れるモノを買い、売れるように着る』消費者も増えていると感じます。一度使ったモノに付加価値をつけて循環させる考えを社会に広げていきたいです」

おもちゃもシェア

新たに広がりつつあるのが、知育おもちゃを「シェア」するサービスです。

運営している東京 中野区の会社は、海外のものも含めて1300種類、1万2000点余りのおもちゃを取りそろえています。3歳までの子どもを対象に、月齢に合わせて最大6点を選び、利用者の自宅に定期的に届けます。
東京 渋谷区の中台慎也さん(33)沙也香さん(30)夫婦と1歳6か月の長男樹君です。自宅の収納スペースが限られることに加え、知育おもちゃが比較的高額なこともあり、8か月前からサービスを利用しています。

取材した日、樹君は木製の電車のおもちゃで熱心に遊んでいました。2か月前には、遊び方が分からず戸惑っていましたが、今では坂の上に置いて滑らせることも覚え、成長が感じられるといいます。
料金は月額で3240円。子どもが気に入ってそのまま使いたい場合は、貸し出し期間を延長したり、中古価格で購入したりすることもできます。
「自分たちが選ぶおもちゃはどうしても好みが偏りがちで、せっかく買っても子どもは見向きもせずお蔵入りすることもありました。これなら月齢に合ったおもちゃをいろいろ試すことができるし、『この子はこんな遊びが好きなんだ』と新しい発見もあって楽しいです」(母親の沙也香さん)
おもちゃの衛生管理は徹底しています。素材に合わせて消毒液を使い分けてきれいに磨き、わずかな隙間の汚れも見逃しません。

種類が豊富なことも受けて、設立から4年で会員は全国に1700人。新規の利用者も増えているといいます。
「売ったら売りっぱなしではなく、レンタルだと、どんなおもちゃを子どもが本当に気に入って遊んでいるかよくわかる強みがあります。おもちゃを通じて子どもたちの成長に役立てていることが実感できてうれしいです」

支えるのは”子育て中の母親”

この会社の従業員のほとんどが子育て中の母親たち。保育園に預ける前の子どもたちが事務所の中を走り回るのも、日常の光景です。
短時間のシフト制やリモートワーク、子連れ出勤も可能にするなど、母親たちが無理なく働けるよう体制を整えています。

2児の母親で、パートとして働く野々下さわ子さんは「結婚を機に仕事を辞めて10年近く専業主婦でした。ここでは同じ境遇の人が多く子育ての悩みを相談することもできるし、何より、大勢の子どもたちに喜んでもらえることにやりがいを感じます」と話していました。

子育て世代とシェアサービスは相性がよい!?

シェアサービスを利用したことがあるかどうか、去年コンサルティング会社が行った調査で、「利用したことがある」と回答した割合は、就学前の子どもがいる世帯が子どもがいない世帯を10ポイント以上上回りました。

シェアリングエコノミーの調査・分析をしている情報通信総合研究所の山本悠介主任研究員は、次のように話しています。
「不用になったものなどを個人間で売買できるフリマアプリが、近年急速に拡大したことから、若者を中心に“売ることを前提に買う”消費行動が当たり前になりつつある。中でも育児に関するモノのニーズは短期間で変わるので、シェアサービスと親和性が高く、今後、子ども服だけでなくベビーカーなど、ますます拡大することが見込まれる」
若い世代の人たちを中心に、所有にこだわらず“必要なモノを必要な時に”という価値観が着実に根づきつつあることを実感し、自分の消費行動を振り返る機会にもなりました。

私も2人目の子どもの出産を数か月後に控えています。こうしたサービスをうまく活用しつつ、少し肩の力を抜いて楽しみながら子育てしていこうと思っています。
ネットワーク報道部記者
吉永なつみ
平成21年入局
松江局、札幌局をへて平成29年からネットワーク報道部