“お金がかからない” 学校づくり進む 教材レンタルも

“お金がかからない” 学校づくり進む 教材レンタルも
小中学校の授業で使う教材を、個人で買うのではなく学校で一括して購入して貸し出したり、個人で購入する際も多くの業者から見積もりをとったりするなど、保護者の負担を減らすお金のかからない学校作りの取り組みが各地で進んでいます。
義務教育は無償とされていますが実際は教材の購入費などがかかり、国の調査によりますと家庭の年間の負担額は小学校でおよそ10万円、中学校でおよそ17万円に上ります。

インターネット上でも新学期となるこの時期には、「学用品の準備にお金がかかる」などといった書き込みが多く見られます。

こうした中、工夫して保護者の負担を減らそうという取り組みが各地で進んでいて、福岡県古賀市では以前は個人で購入していたおはじきや時計、計算カードなどが入った「算数の教材セット」、教科書や教材などをしまう道具箱も市や学校が購入して子どもに貸し出すようになりました。
また中学校では卒業生から制服を譲ってもらう取り組みを進めていて、教育委員会の廊下には、無料で受け取れる制服が並べられています。

また埼玉県川口市の小谷場中学校では授業で使うすべての副教材の見直しを毎年行っていて、効果が思わしくないものは購入を取りやめたり、新たに教材を購入する場合も、10社程度から見積もりを取って比べる工夫をしていて、以前と比べて教材費にかかる家庭の負担を1万円ほど減らせたということです。

学校教育費の実態に詳しい千葉大学国際教養学部の白川優治准教授は「家庭が負担する費用はひとつひとつは高額ではないが、積み重なって大きな負担となっている。いろいろな工夫で負担が減らせることを自治体や教職員、保護者で共有し、実践していくことが必要だ」と話していました。

教材のレンタルも

自治体をあげてお金のかからない学校作りに取り組んでいるのが福岡県古賀市です。

教育長を務める長谷川清孝さんが、中学校の校長を務めていた10年ほど前、新入生の保護者から「制服を買うお金がない」と相談を受け、業者と掛け合って月賦で支払うことになったのが、お金のかからない学校を作りを目指すきっかけとなりました。

各学校には市から予算が配分されますが校舎などの維持費や、備品の購入費、紙やゴミ袋など消耗品の購入費が大半を占め、教材の購入などに回せないため保護者が教材費を負担する形になっていました。

長谷川さんは教育委員会に勤務するようになってから保護者の負担を減らす施策を進め、9年ほど前から各家庭ごとに購入していた教材を、市や学校が一括して購入し、子どもたちに貸し出す取り組みを始めました。

これまで保護者の負担で購入していた教科書や教材などをしまう1000円ほどの「道具箱」やおはじきや時計、足し算や引き算を学ぶ計算カードなどが入った3000円ほどの「算数の教材セット」を市や学校が購入して子どもに貸し出す形にしています。

制服 無料で譲り受けも

また中学校になると男女ともにおよそ3万円前後の制服の購入費がかかりますが、負担を減らそうと卒業生から制服を譲ってもらう取り組みを10年以上進めていて、教育委員会の廊下には、専用のコーナーが設けられ、常時100着以上の制服が並べられています。サイズが合えば無料で譲り受けることができます。
教材などの購入費用は、10万円以上する子どもの発達を学ぶための模型や、10万円近くした妊婦の体験セットなど、これまで各学校ごとに購入していたものを見直し、学校間でレンタルする方式に変えるなど、むだな支出がないか徹底して検証することで捻出しました。

古賀市では小学校入学時にかかる教材費の保護者負担は10年前に比べて4千円ほど減ったということです。

小学校に子どもが入学するという母親は「机やランドセル、体操着など買わなくてはならない物が多くあり4月は節約して過ごしていました。取り組みは非常にありがたく、使わずに済んだお金は、子どもの将来のために使ってあげたい」と話していました。

古賀市教育委員会の長谷川清孝教育長は「経済的に厳しい世帯がまだまだ多いのが実情だ。お金を気にせず安心して学べるようサポートしていきたい」と話していました。

「費用対効果」を検証

全国の小中学校から視察が相次いでいる学校があります。

埼玉県川口市の小谷場中学校で、ことし2月にも沖縄県の学校から事務職員などが訪れました。

小谷場中学校では年間およそ630万円の予算が市から配分され、半分近くが校舎など建物の修繕費に充てられます。

残りの予算で備品や消耗品、それに教材などを購入していますが、足りない分が保護者の負担になっています。

そこで学校が教材の購入費を減らすために導入したのが「費用対効果検証シート」で、すべての副教材について授業で役立ったかどうかを教員と予算を管理する事務職員が検証し、毎年見直しを進めています。

その結果、保護者が購入していた問題集をやめて教育委員会が作ったプリントを使うようになったり社会科の資料集を教室のモニターに映して使うことで、生徒全員分を購入するのをやめたりしたということです。

さらに新たに教材を購入する際も10社程度から見積もりを取って比べ、より安く、使いやすいものを選ぶ工夫もしています。

また学校の経費を減らして教材費などにまわす取り組みも進めていて、業者に委託していた教室のカーテンのクリーニングも、洗濯機を購入し、生徒たちがみずから洗うことにしたということです。

昨年度の1年生1人当たりの教材費の負担は取り組みを始めた4年前より1万円ほど減り、およそ1万7000円になりました。

小谷場中学校の事務職員の※柳澤靖明さんは「保護者に負担をかけてしまうと子どもに考えさせないように、お金がかからない学校を目指して取り組みを続けたい」と話しています。

※柳澤の柳の真ん中がタ。