トヨタ HV車の特許 他社に無償提供へ 市場拡大目指す

トヨタ HV車の特許 他社に無償提供へ 市場拡大目指す
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「トヨタ自動車」は、長年、開発に力を入れてきたハイブリッド車に関連する特許を他社に無償で提供します。燃費規制が世界的に強まる中、強みを持つハイブリッド車の市場拡大を目指します。
発表によりますと、トヨタは、ハイブリッド車に使われるモーターや電力制御装置などに関する2万3000件余りの特許を使う権利を他社に無償で提供します。

燃費規制が世界的に強まる中、特許を無償で提供することで、ハイブリッド車をつくるメーカーを増やし、当面はトヨタが強みを持つ分野の市場拡大を目指します。さらに将来は需要が拡大すると見込まれる電気自動車の分野でも競争力を高めるねらいもあるとみられています。

ハイブリッド車は電気自動車と主要部品が共通であるため、生産コストを削減し、グループ企業からの部品供給などを通じて全体で優位に立とうというねらいです。

トヨタは、他社に技術的な支援を行う事業にも乗り出すとしています。

トヨタ自動車の寺師茂樹副社長は名古屋市で開いた記者会見で「トヨタのハイブリッド技術は、電気自動車などにも活用が可能で、将来の電動車の普及に大きく貢献できる。これを機に二酸化炭素排出量の削減スピードが速まることに期待したい」と述べました。

20年以上にわたる開発でHVけん引

トヨタは22年前、量産型としては世界で初めてハイブリッド車の「プリウス」を発売しました。

同じクラスの車の燃費を2倍に向上させることを目標に掲げて開発されました。

低速に強いモーターと、一定の速度以上で効率が高まるエンジンの、それぞれの特徴を生かしたことで燃費を大幅に改善させました。

トヨタは20年以上にわたる開発を通じてハイブリッド車に関するモーターやシステム、充電機器などの2万3740件の特許を取得し、ハイブリッド技術をけん引してきました。

去年、トヨタとレクサスのブランドで世界で販売した954万台のうち、ハイブリッド車などの電動車が163万台と全体の17%を占めています。

有償によるハイブリッド技術の他社への提供は、
これまで、日産自動車、マツダ、SUBARU、スズキ、アメリカのフォードに対して行われてきました。

世界はEVが席けん HV広がるか

トヨタがハイブリッド技術の特許を開放する背景には、EV=電気自動車の勢いが増す中で、市場の拡大を目指すねらいがあります。

世界最大の自動車市場である中国はEVなどを一定の比率で生産するようメーカーに求めるNEV規制をことしから導入しています。

また、イギリスやフランスは環境規制を強化するために、2040年までにガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載する車の販売を禁止すると発表しています。

こうした環境規制の強化を受けて、世界の自動車メーカーでは排ガスを出さないEVの開発を強化する動きが広がっています。

調査会社の「富士経済」によりますと、EVの世界の販売台数は、2035年には、2017年の時点と比べて14.8倍の1125万台に拡大すると予測されています。

一方、ハイブリッド車の主要な特許を保有しているトヨタは、当初、技術の囲い込みを重視したうえに、他のメーカーには契約に基づき有償で技術を提供してきたため、技術を持たないほかのメーカーの間で開発が進まない現状がありました。

こうした中、中国、アメリカ、ヨーロッパでは「CAFE規制」と呼ばれる自動車メーカー別に燃費の平均値を規制する方式の環境規制が強化されています。

トヨタでは、EVが本格的に普及する前の今がハイブリッド車の市場を拡大する最後の機会として捉え、虎の子とも言えるハイブリッド技術の特許の開放に踏み切った形です。

課題はトヨタが思い描くようにハイブリッド車の市場が広がるかどうかです。

特許を無償で提供してもハイブリッドシステムは複雑で生産コストが高いというデメリットがあります。

すでに海外では電気自動車の開発に大きくかじを切ったメーカーも数多く登場しており、市場をどのようにつくりだしていくのかが問われそうです。