インドに売り込め!!日本の卵
インドで日本の国民食とも言える「TKG=卵かけご飯」を食べられるかも!? 経済成長著しい人口13億の巨大市場・インド。これまで日本企業は、車や家電などを売り込んできましたが、いま、日本の高品質な「卵」を食べてもらおうと、企業が動き出しています。(ニューデリー支局記者 青山悟/富山放送局記者 佐々木風人)
インドでも卵は人気 でも鮮度は…
インドの街角で見かける屋台。定番はゆで卵や卵焼きをパンに挟んだ卵料理です。インド人にとっても卵は貴重な栄養源として人気の食べ物です。
しかし、生産や流通時の衛生管理が行き届いていないため、新鮮とは言えず、味も薄め。屋台で食べている人に聞いてみると、誰もが「おいしくないから生では絶対食べない」と答えます。
私(青山)は、インドに駐在して3年目。卵は、スーパーや商店でも、日本円で1個10円ほどで販売されていて、時折「卵かけご飯」が無性に恋しくなるときもありますが、おなかを壊したくないので我慢の日々です。
新鮮な卵をインドに
イセ食品の工場
こうしたインドの「卵」市場への進出を目指しているのが、富山県創業で、鶏卵の国内最大手「イセ食品」です。
国内市場が人口減少で縮小する中、アメリカや東南アジア、中国に進出して売り上げを伸ばしていて、インドでも卵の生産を始めようとしています。
国内市場が人口減少で縮小する中、アメリカや東南アジア、中国に進出して売り上げを伸ばしていて、インドでも卵の生産を始めようとしています。
現地に駐在する塚越真太郎さん。かつて中国にも駐在し、日本の卵の売り込みにあたってきました。
塚越さんは「弊社の高品質な卵が商品として並べられたら、現地の卵との差は明確だ。食品に気を遣う富裕層や中間層に買っていただけると思う」と自信を見せています。
インドは最終目標
この会社の卵の「売り」は徹底した衛生管理です。
ヒナは菌やウイルスへの感染を防ぐため、外気に触れないよう設計された鶏舎で育てられます。
うまれた卵は、温度が一定に保たれた工場内で、人の手に触れられることなく自動で洗浄、検査、パック詰めまで行われ、2、3日で全国各地に届けられる仕組みです。
餌も工夫していて、卵の味も濃厚だということです。
うまれた卵は、温度が一定に保たれた工場内で、人の手に触れられることなく自動で洗浄、検査、パック詰めまで行われ、2、3日で全国各地に届けられる仕組みです。
餌も工夫していて、卵の味も濃厚だということです。
生産量は、日本国内だけで、1日1100万個にのぼります。
このシステムを、まるごとインドに導入しようという計画です。
このシステムを、まるごとインドに導入しようという計画です。
イセ食品の伊勢彦信会長は「人口13億のインド市場は、われわれにとって最終目標。食料事情がよくなく、私たちの会社が持っている技術を必要としている国でもある」と話し、インド進出を、創業100年を迎えた会社の集大成と位置づけています。
スズキとタッグ
インド進出の最大の課題が、卵を運ぶ現地の物流網です。
インドでは舗装されていない道路も多く、卵の鮮度を保ったまま運べる保冷車の数も十分ではありません。
インドでは舗装されていない道路も多く、卵の鮮度を保ったまま運べる保冷車の数も十分ではありません。
そこで頼ったのが、インドの自動車市場でおよそ5割と圧倒的なシェアを誇る「スズキ」です。スズキは、インドで乗用車だけでなく商用車も生産・販売しています。提携ではまず、悪路にも強い保冷車を共同で開発する計画を進めることにしています。
スズキの現地法人マルチ・スズキのバルガバ会長は「このビジネスを支援できることはうれしい。我々が長年培ってきたノウハウを提供していきたい」と協力する考えです。
スズキの現地法人マルチ・スズキのバルガバ会長は「このビジネスを支援できることはうれしい。我々が長年培ってきたノウハウを提供していきたい」と協力する考えです。
年内の生産販売開始を目指す
工場の建設予定地
年内にも、卵の生産・販売を開始しようと、イセ食品はすでに北部パンジャブ州に東京ドーム2個分の広大な敷地を確保し、工場の建設を予定しています。ここで、将来的には120万羽の鶏を飼育する計画です。
また、南部の州や、首都ニューデリー近郊でも土地の確保を進めていて、ゆくゆくはインドの全29州すべてに工場を建設したい考えです。
インドで販売する卵の値段は、現地のものより2~3倍高い、1個30円程度とする計画ですが、富裕層、中間層に受け入れられると期待しています。
さらに、現地の食品加工メーカーとも提携し、材料に卵を使った「総菜」や「スイーツ」なども手がけていく予定です。
また、南部の州や、首都ニューデリー近郊でも土地の確保を進めていて、ゆくゆくはインドの全29州すべてに工場を建設したい考えです。
インドで販売する卵の値段は、現地のものより2~3倍高い、1個30円程度とする計画ですが、富裕層、中間層に受け入れられると期待しています。
さらに、現地の食品加工メーカーとも提携し、材料に卵を使った「総菜」や「スイーツ」なども手がけていく予定です。
食品ビジネス拡大の可能性
食品展示会で日本産食品をPR(ニューデリー 2017年)
経済成長に人口の増加も加わり、インドの食品産業の市場規模は年々、拡大しています。
インド商工会議所連合会によりますと、来年2020年には、現地企業も含む食品産業の投資額が、年間およそ53兆円に達するとみられています。
インド商工会議所連合会によりますと、来年2020年には、現地企業も含む食品産業の投資額が、年間およそ53兆円に達するとみられています。
すでに、日本からも飲料メーカーの「ヤクルト」や、食品メーカーの「日清食品」などが進出し、それぞれ乳酸菌飲料や即席麺を現地で生産・販売していて、店頭でもよく製品を目にします。
また、日本食への関心も高まっていて、居酒屋グループなどが都市部を中心に飲食店をオープンさせています。
進出した企業の多くは、現地の人に受け入れてもらえるよう、スパイスをきかせたり、インド人に多いベジタリアンに配慮したりして、独自に商品開発に取り組んでいます。
また、日本食への関心も高まっていて、居酒屋グループなどが都市部を中心に飲食店をオープンさせています。
進出した企業の多くは、現地の人に受け入れてもらえるよう、スパイスをきかせたり、インド人に多いベジタリアンに配慮したりして、独自に商品開発に取り組んでいます。
官民一体で後押しの動き
官民が協力して、日本の食品関連企業のインド進出を後押しする動きも始まっています。
去年、設立された「日印フードビジネス協議会」。メンバーには、イセ食品やスズキ、農林水産省、経済産業省などが名を連ねています。
去年、設立された「日印フードビジネス協議会」。メンバーには、イセ食品やスズキ、農林水産省、経済産業省などが名を連ねています。
経済産業省の元経済産業審議官で、協議会の日下一正理事長は「『インドで卵かけご飯を』と言っても、それを実現するためには米やしょうゆも必要になるし、もっと大きく言えば、物流網やインフラの整備も必要になる。スローガンが意味することは、インドの生活水準そのものを上げることでもある」と話しています。
食習慣の違いなどもあって、新鮮な卵がインドで広く販売されるようになっても、「卵かけご飯」が、インドの人たちに浸透するかどうか、定かではありません。ただ「卵かけご飯にもできるような新鮮な卵」には、大きな可能性が込められているように感じます。
食習慣の違いなどもあって、新鮮な卵がインドで広く販売されるようになっても、「卵かけご飯」が、インドの人たちに浸透するかどうか、定かではありません。ただ「卵かけご飯にもできるような新鮮な卵」には、大きな可能性が込められているように感じます。
ニューデリー支局記者
青山 悟
平成13年入局
甲府局 名古屋局
国際部などを経て
2016年からニューデリー支局
青山 悟
平成13年入局
甲府局 名古屋局
国際部などを経て
2016年からニューデリー支局
富山放送局記者
佐々木 風人
平成30年 新聞社からNHK入局
経済・富山市政を担当
佐々木 風人
平成30年 新聞社からNHK入局
経済・富山市政を担当