大飯原発3・4号機の運転停止求める仮処分 きょう判断

大飯原発3・4号機の運転停止求める仮処分 きょう判断
福井県にある関西電力・大飯原子力発電所3号機と4号機の運転を止めるよう京都府の住民が求めた仮処分の申し立てについて、大阪地方裁判所が28日判断を示します。大飯原発3号機と4号機は運転を続けていますが、仮処分は直ちに効力が生じることから裁判所の判断が注目されます。
福井県おおい町にある大飯原発3号機と4号機について、隣接する京都府南丹市の男性がおととし「巨大地震に対する安全性を欠いていて、住民の命や生活に危険がある」として、運転しないよう求める仮処分を大阪地方裁判所に申し立てました。

裁判所は関西電力が算出した大飯原発で起こりうる最大規模の地震の揺れ、「基準地震動」が妥当かどうかを審理してきました。

申し立てた男性側が「地震の規模が過小評価されてしまう計算式を使っている」と主張したのに対し、関西電力は「震源となる断層の長さや地震の規模などを現実的な想定よりも厳しく設定している」と反論していました。

この仮処分の申し立てについて、大阪地方裁判所は28日午後3時に判断を示すことにしています。大飯原発の3号機と4号機は営業運転が行われていて、仮処分の決定は直ちに効力が生じることから裁判所の判断が注目されます。

審理での双方の主張

今回の仮処分の審理では、巨大地震が起きたときに原発の安全性が確保されるのかが争われました。

各地の原発は、将来起こりうる最大規模の地震の揺れ「基準地震動」を算出し、その値に十分耐えうるよう設計されています。

関西電力は大飯原発の基準地震動を最大856ガルとして、施設の補強をしていますが、この数値が妥当かどうかが争われました。

仮処分を申し立てた男性側は、原子力規制委員会で委員長代理を務めた島崎邦彦元委員が「基準地震動の算出に使われている計算式は、実際に地震が起きたときにその規模を算出するのには有効だが、地震が起きる前の予測に使う場合には規模が過小評価されてしまう」と証言していることを根拠に、地震の揺れの想定が小さすぎると主張しました。

また、地震規模などの設定について国の地震調査研究推進本部は2とおりの方法を示しているのに、大飯原発は1つの方法しか用いておらず不十分だと主張しました。

これに対して関西電力は、指摘された計算式は原子力規制委員会も認めているものだとしたうえで、基準地震動の算出では震源となる断層の長さや面積を大きめに設定し、現実的には考えにくい、大飯原発の南北にある3つの活断層が連動することまで想定していると反論しました。

また、1つの方法しか用いていないことについても、過去の地震記録や地形や地質の調査で得た情報を直接反映できる合理的な方法で問題ないと主張していました。

原発めぐる仮処分と裁判

原発の運転に対する仮処分や裁判は全国で起こされていて、裁判所が運転しないよう命じたケースもありますが、その後、いずれも取り消されています。

8年前の福島第一原発の事故のあと、原発を運転しないよう求める仮処分や裁判が相次いで起こされ、住民の弁護団によりますと、現在、全国で30件余りに上っているということです。

福井県にある関西電力・高浜原発3号機と4号機に対する仮処分では、平成27年に福井地方裁判所が「地震に関する国の規制基準が緩やかすぎる」などとして再稼働を認めない決定を出しました。

しかし、改めて審理した福井地裁の別の裁判長が「規制基準の内容と審査の判断は合理的だ」としてこの決定を取り消したため、3号機と4号機は再稼働しました。

その翌年、滋賀県の住民が申し立てた別の仮処分で、大津地方裁判所が再び高浜原発3号機と4号機を運転しないよう命じる決定を出しました。

稼働中の原発が司法判断で停止したのはこれが初めてでしたが、翌年、大阪高等裁判所がこの決定を取り消しました。

また、愛媛県にある四国電力・伊方原発3号機に対する仮処分では、おととし、広島高等裁判所が、熊本県にある阿蘇山の噴火の危険性を指摘して、去年9月までの期限つきで運転しないよう命じる決定を出しました。

伊方原発3号機は再稼働できなくなりましたが、去年9月、広島高裁の別の裁判長が「巨大噴火の可能性が根拠を持って示されているとは認められない」などとしてこの決定を取り消したため、10月に再稼働しました。

大飯原発3号機と4号機については、住民が起こした裁判で、平成26年に福井地方裁判所が「地震の揺れの想定が楽観的だ」などとして運転しないよう命じる判決を言い渡しました。

しかし、仮処分ではなく、通常の裁判だったため、すぐに効力が生じることはなく、3号機と4号機は原子力規制委員会の審査に合格して去年再稼働しました。

その後2審の判決が言い渡され、名古屋高等裁判所金沢支部は「規制委員会が行った審査に不合理な点は認められない」として福井地裁の判決を取り消しました。

住民が上告しなかったため、この判決は確定しています。このほかの仮処分や裁判では、いずれも住民の申し立てや訴えが退けられています。