学校と家庭のやり取り機械化する新システム試験導入 横浜

学校と家庭のやり取り機械化する新システム試験導入 横浜
教員の長時間勤務が深刻な問題となる中、横浜市教育委員会は、学校と家庭のやり取りを機械化する新たなシステムを来月、試験的に導入することを決めました。教員1人当たり、年間36時間分の業務削減を見込んでいて、成果が注目されます。
教員の長時間勤務は、時間外労働が「過労死ライン」とされる月80時間を超えるおそれがあるケースが、中学校でおよそ6割に上るとされ、深刻な問題となっています。

横浜市教育委員会が平均的な規模の中学校で実態を調べたところ、生徒の欠席連絡の電話を受け、報告資料を作成する作業や配布物を印刷したり、回答を集計したりといった日常的な家庭とのやり取りに、教員1人当たり1日平均13分、年間で44時間以上かかっていることが分かりました。

横浜市はこれらの業務を効率化するため、来月、市内の6つの小中学校や高校などに新たなシステムを試験的に導入することを決めました。

このシステムでは、欠席連絡は電話で24時間、多言語の自動音声で受け付け、保護者は理由を番号で入力するほか、学校からの配布物はメールで配信し、回答は自動的に集計されます。

これによって、横浜市教育委員会は、教員1人当たり年間36時間の業務を削減できると見込んでいて、効果を検証したうえで全校への導入も検討する方針で、成果が注目されます。

今も“アナログ”な学校現場

横浜市内の学校現場では、保護者からの欠席連絡は電話や連絡帳で行われ、学校からは子どもを通じて文書で伝えるなど、家庭とのやり取りに時間がかかる現状があります。

新しいシステムが導入される横浜市緑区の鴨居中学校には、試験導入を前に、教育委員会や業者の担当者が新たなシステムについて説明に訪れました。

この学校では、現在は生徒の欠席確認だけでも、保護者からの電話受け、担任への伝言メモの作成、掲示板への記入、登校していない生徒がいないか靴箱の確認、また、出席簿やパソコンへの転記など多くの手間がかかっています。職員室では朝から次々と電話が鳴る中、教員たちが対応に追われていました。

また、家庭への配布物は、資料を印刷して生徒に配り、回答の回収状況の確認、返信の無い保護者に提出を求める電話や、データ集計などの対応があるといいます。

この日は、教育委員会や業者の担当者が、新たなシステムの導入によりこうした業務が機械化され、自動音声で受け付けたり一括集計したりできるようになると説明しました。

説明を受けた横田智恵子教務主任は、「学校現場は、とにかく何でもやらなくてはという意識があり、むだに感じていてもスマホも携帯もない時代のやり方を変えられずにいた。一つ一つは小さくても改善されていくことは大きい」と話していました。

専門家「減った時間は本来の仕事に」

ICT=情報通信技術を使った働き方改革に詳しい柏市立教育研究所の西田光昭教育専門アドバイザーは「学校現場では、通常の会話との違いから虐待やいじめに気付くなど、日常的に連絡できるメリットもあり、個々の対応を大事にする傾向があるが、ICTを使うことですべてなくなってしまうわけではない。業務が減った時間の分、授業や子どもの状況把握など教員が本当にやるべきことに力を注げるようになる」と指摘しています。