「Vチューバ-」でビジネスが変わる!?

「Vチューバ-」でビジネスが変わる!?
アニメやCGで作ったキャラクターを動かしてユーチューバーのように動画を配信する「Vチューバー」、最近よく見ますよね。去年あたりから流行しはじめ、民間の調査では、すでに7000以上が登場。ファンの数の指標になる「チャンネル登録数」が240万を超えるものもあります。こうした中、Vチューバ-をビジネスに活用しようという取り組みが広がっています。(経済部記者 川瀬直子)

相次ぐ企業公式Vチューバ-

「サントリー」の公式Vチューバ-
まず、増えているのが企業の公式Vチューバ-です。製薬会社や出版社などが相次いで配信していますが、大手飲料メーカー「サントリー」が去年8月から配信を始めたのは、水の国からやってきたという女性のキャラクター。会社の創業と同じ1899年生まれの120歳ということですが、年齢を感じさせないかわいらしさです。

歌を歌ったり、ゲームを実況したり、商品の宣伝だけでない内容で人気を集めていて、誕生から半年で「チャンネル登録数」は7万を超えました。企業の公式ユーチューブとしては異例のスピードだということです。

メーカーの担当者は「これまで様々なSNSを活用して、客との接点作りや情報発信に力を入れてきたが、最近はユーチューバーの影響力の大きさを実感し、情報発信手段としてVチューバ-を使うことを決めた」と話していました。

なぜ企業がVチューバ-

「ロート製薬」の公式Vチューバ-
企業がVチューバ-を起用するメリットはどこにあるのでしょうか。例えば人気タレントが出演する動画の広告を作ろうとすれば、タレントの出演料やスタジオでの制作費など莫大な費用がかかかります。その点、専用のVチューバ-ならメイクや衣装にお金を使う必要もありません。タレントのスケジュールに関わらず、企業がPRしたいときに好きなタイミングで制作できます。

また、日本のアニメ文化は今や世界的に広がっているので、魅力的なキャラクターを作って配信できれば、海外にも一気にファンを増やすことができるのです。

コンサルビジネスも出現

こうした企業の盛り上がりが思わぬビジネスに結びついています。ゲーム会社のグリーには、公式Vチューバーの制作を手伝ってほしいという企業からの相談が相次いでいます。
グリーは去年、100億円を投資して専用の会社を立ち上げ、誰でも簡単にキャラクターを作ってVチューバ-として配信できるアプリを開発。この点が企業の担当者たちの目にとまったのです。

会社では、ことしに入って専門のチームを立ち上げて、企業向けのコンサルティングを事業化することにしました。
グリーの田中良和社長は、そのねらいと未来の姿について、こんな風に話してくれました。
「SNSが発達することで写真や文字で世の中に発信することが簡単になり、今、さらにユーチューバーとして、動画で簡単に発信できるようになった。ただ、ユーチューバーになりたいけど、自分の顔を出したくないという人はいっぱいいると思う。その点、Vチューバ-は匿名でできるので、今後本当に多くの人が使うサービスになるだろう。Instagramのアカウントをいくつも持っている人がいるように、発信用のバーチャルキャラクターをいくつも使い分けることが当たり前の世の中になるのではないか」

ビジネスコンテストにもVチューバー

多くの人がVチューバーになって、情報を発信したり、交流したりするー。田中社長が描く未来を感じさせるようなイベントが開かれました。
通信大手のKDDIが主催したこのイベントは、ベンチャー企業が自社の事業をプレゼンし、賞金を競い合う「ビジネスコンテスト」をバーチャル空間でやろうという試みです。

司会には人気のVチューバ-を起用。発表者たちは、専用の機材を使って、自分自身に似せたキャラクターを動かします。バーチャル空間の会場にはモニターやステージも用意され、キャラクターに扮した観客や審査員の前でプレゼンテーションを行いました。

観客はおよそ3000人。インターネット上で「拍手」や「驚き」などのアクションを起こしたり、コメントすることもでき、とても盛り上がっていました。
参加した子ども向けの知育施設を運営する後藤貴史CEOは「意外にも緊張感があったが、離れた場所にいるお客さんからリアルタイムで反応がもらえるのは楽しかった」と話していました。
さらに、奈良県から参加したロボット開発会社の中野基輝課長は「ビジネス向けのイベントは東京で開かれることが多いが、これが普及すれば自宅からでも参加できる。そうなるとありがたい」と話していました。
主催したKDDIビジネスインキュベーション推進部の中馬和彦部長は「こういうバーチャルな空間を活用すれば、日本の地方はもちろん、海外の企業のプレゼンを見ることができ、投資先を見つけることもできる。また、キャラクターになることで、話す方は羞恥心が取り除かれて自由に表現できるようになるし、審査する方も人物評価ではなく純粋にアイデアを評価しやすくなるのではないか」と話していました。

イベントが好評だったため、第二弾の開催も決めたということです。

未来はどうなる!?

バーチャル空間でのビジネスコンテスト、最初はイメージがわきませんでしたが、実際に見てみると、リアルな世界で行われているものに比べて、企業の事業内容を楽しく知ることができて、引き込まれるような感じがしました。

また、Vチューバ-などインターネットで展開するキャラクターは、距離も世代も一気に超えることができます。誰もがキャラクターになりきって自分のアイデアを表現して配信する、そんな将来が来れば、遠く離れた人々を結ぶビジネスやコミュニケーションがもっと盛んになるかもしれません。
経済部記者
川瀬直子

平成23年入局
新潟局 札幌局をへて
現在 情報通信業界を担当