「時短」ここまで 洗濯物もたたまない!?

「時短」ここまで 洗濯物もたたまない!?
乾燥機能付き洗濯機、ロボット掃除機、調理家電。共働き世帯が年々増加する中、家事に割く時間を減らす「時短」をキーワードにした家電が人気を集めています。こうした家電を使ってみると、もっと「時短」できないか、ニーズはますます高まるもの。そんな中、ことしは、新たに”洗濯物をたたむ”家電が、日本から登場しそうです。(経済部記者 加藤陽平)

“衣類の整理からの解放”

開発中の製品
開発中の製品は、幅約90cm×高さ2m以上×奥行き60cm超と、大型の冷蔵庫ほどの大きさ。

乾かした洗濯物を本体下部の引き出しに入れます。すると、ロボットアームが1枚ずつ引き上げて、カメラで認識。AIでどんな衣類か判別して、適切な方法でたたみ、本体の中の棚にしまいます。
1枚あたり10分強の時間がかかりますが、例えば、夜、洗濯した服をまとめて入れれば、朝出かける時にはたたまれているといった使い方を想定しています。「衣類の整理からの解放」を目指しているということです。

この自動で洗濯物をたたむ家電の、今年度中の発売を目指しているのが、ベンチャー企業の「セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ」。完成すれば、「世界初」だとしています。
阪根信一社長
「自動化のニーズはとても強い。これまで時間をとられていたものから解放されれば、新しい時間が生まれる。趣味や家族との時間など、価値あるものに使えるようにしたい」

ポイントは目・腕・AI

開発で苦労したのは、洗濯物を、どんな衣類か自動で判断できるようにすることだったといいます。

人間なら、洗濯物の山の中からでも、一目でTシャツなのかズボンなのか、判断できます。しかし、AIにとって、柔らかくて、丸まっていることもある衣類を見分けることは、簡単ではありません。
認識できるようロボットアームで衣類を広げる技術が必要になりました。
「どこまで広げれば、ちゃんと認識できるか。そもそもどうやって広げるか。ここがいちばん難しかった。アームと画像認識、メカとソフトの組み合わせの技術が必要だった。まだまだ内容は言えないけれど、若手技術者のアイデアで、どんな衣類でも狙った形に展開できるようになった」阪根社長は開発の苦労をこう話します。

服データのプラットフォーマーに

阪根社長は、製品を売るだけでなく、得られるデータをビジネスにつなげることも目指しています。

専用アプリと連携させることで、どの服が誰のものか登録できます。すると、誰がどの服を、どのくらい着たか、データを集められるのです。

外部の企業と連携して、例えば、よく着る服をもとにコーディネートを提案したり、あまり着なくなった服をフリマアプリで売ったりできるようにしたいと考えています。
「アパレル産業という巨大マーケットで、そのデータを使ったビジネスをしている人は、まだいない。大きなブルーオーシャンだ」
ただ、品質や見た目にもこだわり高級な素材を使うなどした結果、最初に発売するモデルの価格は185万円から、になる見込みです。
「世界初の製品を安売りする必要はない」という判断ですが、一般家庭にとっては高額です。

低価格で普及を目指す

一方で、30~50万円の価格帯で、新たな市場の開拓に挑むベンチャー企業もあります。

従業員6人ほどの「アスティナ」です。もともと、IoTやVRなどの分野の製品の設計や、受託開発をしています。
開発中の製品
ことし中の予約受付の開始を目指す製品は、幅・高さが約1m30cm×奥行き約60cmの、タンスのような見た目で、カゴに入れた洗濯物を自動でたたみ、棚にしまうという基本的な機能は同じです。

一方で、ロボットアームを使う複雑な工程を減らし、誰の服かを判別するなどの高度な機能は付けない予定です。機能を絞ったうえで、中国から安価な基板やセンサーといった部品を仕入れたりして、コストを抑えようとしています。

儀間匠社長は、まずは手に取りやすい製品にすることこそが重要だと考えています。
「クオリティーや機能を追求していると、どんどん価格は高くなる。ひとつ家事をなくすための、コアの機能だけをシンプルに打ち出す。決してオーバースペックにはならないよう、家庭になじむ実用性を重視した」

新たな家電 市場は生まれるか

海外でも、人がセットをすることで、Tシャツだけを自動で素早くたたむ家電の開発が進められるなど、ことしは、「自動洗濯物たたみ機」の“元年”になりそうです。

日本発の2つの製品は、価格が決して安くはなく、日本の住宅にとってはサイズが大きいことは、普及に向けた課題になると見られます。

それでも、そのハードルは、これまでにない製品だからこそ。日本発で新たな家電の市場が生まれるか、注目です。
経済部記者
加藤 陽平

平成20年入局
富山局、千葉局などへて
現在は電機業界を担当