白血病から立ち上がる

白血病から立ち上がる
「白血病」。競泳の池江璃花子選手がみずからの病名を発表したことにSNSでは励ましの声が相次いでいます。目立つのは、病魔を経験した人や今も闘っている若い人たち。さらに多くの患者の役に立とうという動きも広がっています。(ネットワーク報道部記者 後藤岳彦 玉木香代子 飯田耕太 千葉局記者 山下哲平)

SNSにあふれる声

「私も18歳で白血病になりました。人生の転機となりましたが私の人生で欠かせない経験でした。ひとごとじゃない気がしてずっと池江選手のことを考えています」
「去年5月に白血病になりました。仕事がしたい、好きな趣味をしたいという気持ちで治療し、いまは普通に日常生活を送っています」(29歳男性)
ツイッターに投稿された経験者たちの声の数々。今回の取材ではこうした人たちにアクセスし、病気になったときの状況や支えになったことを聞きました。

耐えた分だけ強くなった

愛知県に住む24歳の女性は4歳の時に急性リンパ性白血病と診断され抗がん剤治療など苦痛を伴うつらい入院生活が1年間続きました。退院後も食事制限があったほか小学校では運動は控えなければならない状況でした。

完治したのは11歳になった時。大きな支えになったのは「つらいのに治療頑張ってえらいね」と励ましてくれる家族や周囲の人たちの言葉だったそうです。

女性は「痛みに耐えた分だけ強くなれた気がします。治療は決して楽なものではありませんがハードな練習をこなしてきた池江選手なら乗り越えられると思います。1日も早い回復を願っています」

早期発見 焦らず治療

神奈川県に住む42歳の男性は4年前の健康診断で白血病がわかり、今も治療は続いているということです。抗がん剤でだるさや疲れが出やすく、激しい運動などが制限された時期もあったそうですが早期発見もあり順調に改善しているということです。

男性は「家族や友人、会社の同僚の存在が大きな支えとなっています。これからも焦らずに医師の指示に従って治療に向き合っていきたいです」と話しています。

当事者で支える

患者どうしのつながりを広げてお互い支え合っていこうという取り組みもあります。
関東を中心に活動している患者団体「STAND UP!!」は若い世代を中心にネットワークを作ろうと35歳以下でがんにかかった患者約600人が会員となっています。

情報誌では闘病中の不安や心の支えについてつづった体験談やカウンセリングの紹介をはじめ恋や就活といった若い世代ならではの悩みごとを特集したものまで、幅広く発信しています。

また、各地で開いている交流会では、支えとなっている趣味のほか抗がん剤の影響による脱毛への対処法など周囲に打ち明けづらい悩みもテーマとしていて、当事者どうしが寄り添い合える場になるようにしているということです。
事務局長の熊耳宏介さん(36)も、高校3年生の17歳で急性リンパ性白血病に診断され、大学時代に再発も経験しながら5年間闘病しました。病院では年配のがん患者が多く悩みをなかなか打ち明けられない中で、同世代の患者がひとりいたことが自身の闘病の大きな支えになったといいます。

「悩みを打ち明けたりどう乗り切ったかを話したりしたことで前向きになれることもたくさんありました。病を克服した人は世の中たくさんいるのであきらめないでほしいです」(熊耳さん)

何ができるか1 骨髄バンク

患者を支えるためにできることがあります。
そのひとつが「骨髄バンク」です。

抗がん剤による治療が難しくなった場合などに用いられる「骨髄移植」で、白血球の型が合う人を結びつけるために設けられたものです。都内にある「日本骨髄バンク」の事務所には12日からドナー登録の方法などを問い合わせる電話がひっきりなしに。ふだん5件ほどの資料請求は1日でおよそ270件にのぼったということです。

バンクでは先月末時点で、およそ49万4000人がドナー登録を行っていますが、血縁者ではない場合、白血球の型が合う確率は、数百から数万分の1とされています。

また登録できるのは、18歳から54歳までで、10代と20代の登録者が全体のおよそ16%と少ないことから若い世代の登録者をいかに増やすかが課題だということです。

「白血病というのはいつ誰が発病するかわかりません。移植を待っている患者は国内におよそ1500人います。型が適合するドナーが現れるということは、生きる望みがつながることになります。ぜひ1人でも多くの人に登録してほしい」(「日本骨髄バンク」大久保英彦 広報渉外部長)

何ができるか2 献血

患者を支えるためにできること。もうひとつが「献血」です。

白血病をはじめ血液の病気や、抗がん剤などの薬の副作用により赤血球や血小板をつくることができなくなることがあります。

治療には多くの血液が必要になることから日本赤十字社では、献血を呼びかけています。
「私も闘病中に献血をしてくれたたくさんの人に支えられて治療を克服できました」
こう話すのは長崎大学医学部の熊谷知香さん(25)。中学生で白血病と診断され、3年間の闘病を乗り越えたあと、同じ病気を治していこうと医師の道に進む決心をしました。

またボランティアで献血を呼びかけてきました。
「ひとりでも多くの人に命を助ける活動があることを知ってもらい、無理のない範囲で行動に移してほしいです」