私のデータは渡さない! アンチGAFAの新サービス

私のデータは渡さない! アンチGAFAの新サービス
インターネットで表示されたページに、以前検索したことのある商品などに関連した広告が出てきて、自分の個人情報の扱いが気になった経験はないだろうか。
去年は、フェイスブックで最大8700万人分の利用者の個人情報の流出が判明。便利なサービスと引き換えに、自分が知らないところにも情報が使われているおそれがあることを認識させられた。
こうしたなか、プライバシー保護を重視した新しいサービスが登場している。掲げるのは、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)への反旗だ。(経済部記者 野上大輔)

情報が勝手に使われている?

Google(左)とAmazon(右)のAIスピーカー
AI=人工知能を搭載し、声だけで買い物や家電の操作ができる「AIスピーカー」。

グーグルやアマゾンなど各社が投入し、日本でも利用者が増えている。

各社は利用者が話しかけた情報を収集してAIで分析し、精度の高い動作を実現している。消費者が懸念するのは、自分たちの情報がAIスピーカーから会社にわたり、知らないところで勝手に使われているのではないかということだ。

ネットにつながなくても

フランス・パリのベンチャー企業「Snips」は、プライバシーの保護を条件にしたサービスを展開している。

開発中の音声アシスタントは、音声のやりとりの情報を収集・蓄積していない。コンピューターにAIのソフトが組み込まれていて、機器の中で音声認識といった処理が行われる。データはクラウドには上げず、ネットに接続していなくても使える。声の指示だけでコーヒーマシンにエスプレッソを入れさせたり、天気を聞いたり、照明のON/OFFなど家の中の操作ができるのだ。
「巨大IT企業はデータを企業に送る必要があると信じさせている。でもそれは全くの間違いだ。われわれは同じことを5ドルのパソコンで実行できる」
ランド・ヒンディCEO
10歳からプログラミングを始め、フォーブス誌の選ぶ30歳未満の注目の経営者にも選ばれたランド・ヒンディCEOの経営哲学は、これまでのIT企業とは一線を画す。彼にとって膨大なデータを集めるGAFAのような巨大IT企業のビジネスは容認できるものではないという。
「いま世界を席巻するほとんどのインターネット企業が登場し始めた90年代では、データはそれほど大したものではなかった。しかし、世の中がデジタル化されるにつれて、膨大なデータが残されている。使用するアプリはどれもあなたについてのデータを作り出し、個人情報漏洩の影響は増大していく。ついに、われわれはプライバシー侵害が生活を台無しにするところまで来てしまった」(ヒンディCEO)
ランドCEOは、会社を設立した6年前にプライバシー保護の話をしても、誰も関心を持ってくれなかったと振り返る。しかし、ネット上だけではなく、住空間までデータの収集が及ぶこれからは潮目が変わるタイミングが来ると語った。
「巨大IT企業が提供するサービスが狙うのはあなたのデータを入手することで、そうして広告でお金を儲けている。われわれは全く逆の考え方だ。データを利用してお金儲けをするという古い考え方はもう存在すべきでない」

住空間のプライバシーどう守る

不動産販売の「インヴァランス」では去年、部屋にAIを備えたマンションの分譲を始めた。

部屋の壁には複数の音声アシスタントが内蔵され、住む人のライフスタイルに合わせてカーテンの開け閉めや照明のON/OFFができる。
会社が採用したのはアメリカのベンチャー企業「Brain of Things」が開発した「CASPAR」という住宅特化型のAI。データを分析するのは部屋のクローゼット内にあるボックスの中で、データはマンションの外には出さない仕組みだ。

インヴァランスの宇田川大輔取締役は「生活空間の個人情報だからこそ、家の外にデータを出す製品は使えなかった」としている。

履歴を残さない検索エンジン

プライバシー保護の重視は、グーグルが圧倒的な存在感を示す検索エンジンでも。

アメリカのベンチャー企業「Duck Duck Go」。
会社のトップページには「私たちはあなたの個人情報を保存しません。絶対に」との文字が大きく書かれ、広告のために検索履歴の保存、追跡をしないことをうたっている。

日本語版をはじめ主要各国の言語にも対応。フェイスブックの個人情報の流出問題などを受け、最近、利用者が増えているという。広告の追跡を嫌う人などから支持され、サイトの検索件数は1日3000万件以上にのぼっている。

GAFAに風穴を開けられるか

検索内容や買い物履歴など膨大なデータを収集・活用することで巨額の利益を上げてきたGAFAに対する規制強化が世界的に議論されている。

これまで、より便利なサービスを受けられるメリットとトレードオフの関係にあった個人情報の取り扱いが、プライバシー保護の問題からクローズアップされてきている。

これまではプライバシーを重視したサービスが少なすぎた。こうしたサービスが広がってGAFAをはじめとする巨大IT企業の独占に風穴を開けることができるのか注目だ。
経済部
野上大輔
平成22年入局
横浜市出身
金沢局をへて
現在、経済部で情報通信業界を担当