私たちも結婚したい 動き出した“同性婚”

私たちも結婚したい 動き出した“同性婚”
「愛する人と結婚したい」そんな願いがかなえられない人たちがいます。同性どうしのカップルです。今の法律には異性との結婚についての規定しかなく、国は同性婚を認めていません。一方で、最近では、同性カップルをパートナーとして認める自治体や企業も増えています。同性婚は認められないのか-。初めて、司法の判断を問う動きが起きようとしています。(ネットワーク報道部記者 宮脇麻樹)

結婚なんて考えられなかった

埼玉県川越市に住む古積健さん(44)と相場謙治さん(40)は、男性どうしのカップルです。

相場さんは、子どもの頃から自分がゲイだと自覚していました。でもそのころは、同性愛について辞書で調べても、「異常」としか書かれていませんでした。自分が結婚するということは全く考えられなかったそうです。

11年前に共通の友人を通じて古積さんと知り合い、翌年から一緒に暮らし始めましたが、自分たちの「結婚」を考えることはありませんでした。

「行動することで変わることもある」と知った

考えが変わったきっかけは、相場さんが勤務する外資系の会社で、同性カップルに「結婚祝い金」を贈る制度ができたことでした。

「結婚はできないと決めつけていたんですが、意外とそうではない。認められることもあるんだと思ったんです」(相場さん)

そこから両家の顔合わせをして、6年前の11月、2人は都内のホテルで結婚式を挙げました。
古積さん(左)と相場さん
でも、最初からスムーズに進んだわけではありません。はじめは「同性カップルの式は挙げられない」と式場に断られました。

粘り強く交渉して認められましたが、準備に入ると、式場で用意されたものには「新郎」「新婦」の文字ばかり。その表現を1つずつ変えていくところから始めました。

「自分たちが行動することで、少しずつでも変わることがあると思うようになってきました」(相場さん)

社会も変わってきたけれど…

社会も少しずつ変わってきていました。

相場さんの会社のように、社員の同性パートナーに対して配偶者と同じ制度を適用したり、同性カップル向けの商品を提案したりする企業が増えてきました。
さらに、自治体が同性カップルを結婚に相当する関係と認める動きも広がってきました。

しかし、国は、法律の規定を根拠に、同性婚を認めていません。

2人は、「法律だけが変わらず、同性カップルを認めてくれない」と感じるようになっていったといいます。

そんな時、LGBT=性的マイノリティーの人たちを支援している団体を通じて、同じ活動に取り組んでいる弁護団と知り合いました。

「今しかない」

この弁護団は、今から4年前、日弁連=日本弁護士連合会に対して、同性婚の法制化を政府や国会に勧告するよう求める「人権救済の申し立て」を行っています。

しかし、いまだに結論は出ていません。
そこで弁護団が着目したのは、東京オリンピック・パラリンピックです。オリンピック憲章では「性的指向」による差別を禁止しています。

東京都では、去年10月、オリンピック憲章に基づいて、差別をなくすための条例が成立しています。

「機運を盛り上げるには、今しかない」弁護団は国に対して裁判を起こすことを決め、相場さんや古積さんにも加わらないかと呼びかけました。

同性婚を認めない根拠は?

今の法律には異性との結婚についての規定しかありません。

民法や戸籍法には、結婚の当事者は「夫婦」と書かれていて、国は「男である夫」、「女である妻」のことだとしています。
これが、国が同性婚を認めない理由です。

しかし、性的マイノリティーの人たちに対する理解が広がる中、弁護団は、国の対応は憲法で定められた「法の下の平等」に反していると考えています。

声をあげられない人たちのためにも

古積さんと相場さんは、全国にいる性的マイノリティーの人たちのためにも、裁判に参加することを決めました。

「正直、裁判を起こすというのは自分の考えにはありませんでした。でも、自分たちのように周囲にカミングアウトをしていて、名前や顔を出せるカップルは多くありません。声をあげたいけどあげられない人がたくさんいるなら、自分たちができることをしたい。バッシングもあるかもしれませんが、誰かがこういうことをしないと動いていかないと思うので、自分たちが盾となって進んでいきたいと考えました」(古積さん)

2度目の婚姻届

ことしの三が日、2人はそれぞれの親に婚姻届の証人欄にサインをしてもらいました。市役所に婚姻届を提出するためです。

婚姻届を書くのは2度目。最初は結婚披露宴でした。「いつかこれを提出して受理される日が来るように」という願いを込めて。

今回は、受理されないことはわかっていましたが、裁判に向けたステップとして。今月4日、2人は婚姻届を出しに行きましたが、受理されませんでした。

自治体では、国の解釈に基づいて、同性カップルから婚姻届が出されても受理しないという運用になっているのです。

「異性のカップルだったらおめでとうございますと言われるのに、同性ということで受理されないことは、わかってはいましたが、重く感じました」(相場さん)

集団訴訟には10組が参加

古積さんや相場さんが加わる集団訴訟は2月中旬の予定です。全国4つの裁判所で、合わせて10組の同性カップルが、国に賠償を求める訴えを起こします。

国が同性婚を認めないことが憲法違反かどうかを争う集団訴訟は初めてです。

「僕たちだけのためじゃなくて、他にもたくさんいる性的マイノリティーの人たちが男女のカップルと同じように扱ってもらえる未来に向かって突き進んでいきたい」(古積さん)

ネット調査 7割超が同性婚に“賛成”

同性婚をめぐって、大手広告代理店の「電通」は、今月10日、ある調査結果を公表しました。

全国のインターネットのユーザーから無作為に選んだ20代から50代を対象に、去年10月に行った調査で、回答した6000人余りのうち78.4%が「同性婚の合法化に賛成」、または「どちらかというと賛成」と答えたということです。

性的マイノリティーの人たちに対する社会の受け止め方が変わる中で、私たちはこの問題をどう考えていけばいいのでしょうか。これからも同性婚をめぐる動きを取材していきたいと思います。