早くも過熱!? 恵方巻商戦 だけど…

早くも過熱!? 恵方巻商戦 だけど…
正月三が日が過ぎて間もないというのに、早くも盛り上がり始めているのが来月の節分に向けた「恵方巻」商戦です。ことしも各地のスーパーやコンビニなどで予約が始まりました。大量廃棄やバイトへの過剰ノルマなども指摘されてきた恵方巻“商戦”。ことしはどうなる?(ネットワーク報道部記者 郡義之 松井晋太郎 伊賀亮人)

始まった恵方巻商戦

「恵方巻」は、節分の日にその年、縁起が良い方角、「恵方」に向かって食べると福が訪れるとされ、もともと関西を中心とした風習でした。

それがここ最近、全国に急速に拡大。クリスマスのケーキやバレンタインデーのチョコレートなどとともに、スーパーやコンビニなどでは、毎年この時期に合わせて、大々的に「恵方巻」の販売を展開するようになりました。

ことしも各社は、すでに予約を開始していてローストビーフやヒレカツを巻くなどした洋風なものやすし店や料亭と連携した高級感のあるものなど趣向を凝らした、独自の恵方巻を競ってPRしています。

すでにノルマ?

しかし、販売競争が激しくなるにつれて、アルバイトなどへの「販売ノルマ」や売れ残った「恵方巻」の大量廃棄の問題なども指摘されるようになりました。

ことしもすでにネット上では従業員と見られる人の「恵方巻」の“ノルマ”をうかがわせるツイートも見られます。

「恵方巻の予約50個とれって言われたんですけど」
「グラフ作ったり、そういうことやっちゃいけないんじゃなかったっけ」
「恵方巻の予約競争が始まったため、また店長がおこモードに入りかかっている模様」
「節分の予約数量の目標がえぐい、たすけて」

1割~2割増える廃棄物

小売店などから排出される食品廃棄物のリサイクルを行っている神奈川県相模原市の日本フードエコロジーセンターでは、1日平均30~35トンの食品廃棄物を受け入れて養豚の餌として販売しています。

これが節分やクリスマスになると1割~2割増えるということです。担当者は「恵方巻の場合は小売店の売れ残りだけでなく、製造工場からの具材の余りなども運ばれてくる」と話していました。

販売目標を引き下げる所も

ことしも始まった恵方巻商戦。スーパーやコンビニの間では売れ残る食品ロスの削減に取り組むのは共通課題のようです。
セブン‐イレブンは「全体で食品ロスをなくしていく取り組みの中で恵方巻の適正発注に努めている。店舗では、予約と当日の販売の2種類で例年の売れ行きを見極めながら商品を売るようにしている」と話しています。
ローソンは「店頭販売よりも、予約販売を中心に売ることや過度な発注はしないように各店舗には指導している」としているほかファミリーマートは「ことしは予約した客にかぎり2本ごとに10%引きをして、予約を推奨して、食品ロスを減少できるようにしている。店頭にも過剰に陳列しないようにしている」とのこと。
一方、関東を中心に展開するスーパーのいなげやは「去年は、店頭に投入し過ぎて過剰な値下げが発生してマイナスの部分もあった。ことしは売り上げ目標を前年に比べて少なくする予定。当然、食品ロスは意識していてムダなものを改善している」と話しています。
イトーヨーカ堂は「商品ラインナップを集約し、去年19種類だったものをことしは13種類程度に減らす。結果的に、種類を見直すことで食品ロスにもつながる」。
イオンは「予約を増やすようにしているうえ、店内で加工することで客足を見ながら陳列するようにしている。店内で生産調整をすることで廃棄を減らすことにしている」と話しています。

「もうやめにしよう」

さらに去年は、過熱する一方の恵方巻商戦に一石を投じるような動きがSNS上で大きな反響を呼びました。

それは兵庫県内で8店舗を運営するスーパー「ヤマダストアー」が去年2月に出したこのチラシです。
「もうやめにしよう」という大きな文字で生産数の増加に疑問を投げかけたうえで、前の年に売れた分だけをつくり、販売することを打ち出したのです。

スーパーの広報担当、松澤敏夫さんは「人口も減る中で消費しきれないのに生産を増やしていくことに疑問を感じて売り切ることを重視しました」と話します。

それまでは前の年よりも5%~10%、生産を増やしてきたそうですがロスを減らそうと踏み切った結果、8店舗中6店舗では完売、ほかの店舗でも売れ残りは大幅に減ったといいます。
広報担当の松澤さんは「企業としては売上を伸ばそうとするのが当たり前かも知れませんが、売り切れるだけの量を生産することで、材料の原価も減るしロスも減って逆に利益にもつながるので、価値観の問題だと思います」と話しています。ことしの恵方巻も去年の販売数と同じ分だけ作るということです。

640万トンもムダに

環境省が去年4月に発表した推計値によると、国内で出された食品廃棄物の量はおよそ2842万トン。このうち、売れ残りや返品など本来は食べられるにもかかわらず、捨てられてしまった「食品ロス」はおよそ646万トンでした。

農林水産省は11日、業界団体を通じて、食品ロスが出ないような生産や販売をするよう呼びかけました。

来月3日の節分の日。福を呼ぶ「恵方巻」を購入するなら環境や人に優しいお店から買いたいものです。