泣いて歌って、カーシェアリング

泣いて歌って、カーシェアリング
1台の車を複数の人で共有するカーシェアリング。近場の買い物や家族の送迎に車でビューッとひとっ走りと、重宝されています。
しかし、最近、運営会社でさえ驚くような新たな使い方が登場しています。それは「運転しない」カーシェアです。
(ネットワーク報道部記者 郡義之 國仲真一郎)

その中で、、、泣くの

いずれもカーシェアリングの利用者からのツイッターの投稿です。

車の維持費がかからず、10分程度の短い時間から数百円で借りられる利便性などで人気を集めるカーシェアリング。その広がりとともに、利用者の中には意外な使い方をする人が現れ始めています。

それは、運転せずにその場にとどまって、思い思いの時間を過ごすという使い方です。

ネット上には、「仮眠」や「カラオケ」、「静かな車内でWEB会議」「コインロッカーが空いていないときの荷物置き場として」。

中には「会社でいじめられたとき、会社を抜け出して近所のカーシェアを借りてその中で泣くの」というつぶやきもありました。

走行距離ゼロに「あれ?」

こうした使い方を、カーシェアリングの会社はどう受け止めているのでしょうか。

国内大手の「オリックス自動車」を統括するオリックスグループの広報部は「びっくりしました」と素直に驚きを表現しました。

会社が「運転しない」利用者に気づいたのはことしに入ってから。カーシェアリングを利用しているのに、走行距離がゼロという車をたびたび目にしたことがきっかけでした。

この会社では、通常、利用時間と走行距離で料金が決まります。お金を払ってカーシェアリングを利用しているのに、なぜ運転しないで車が戻ってくるのか。不思議に思って走行距離“0”の利用者の追跡調査を行ったところ、運転以外の目的で使っている利用者の存在がわかったのです。

会社によりますと、割合としては全体の数%ということですが、「運転しない」使い方は確実に定着してきているとみています。

会社では「アイドリングストップなど環境の観点からも、運転しない状況での利用はお勧めしていませんが、ルールを守ってもらったうえで適切に利用していただければ」と話しています。

夫婦げんかの後にもカーシェア

全国で2万台余りのカーシェアリングを展開する「タイムズカープラス」の運営会社も、「運転しない」使い方の広がりを実感していると言います。

この会社は、カーシェアリングの使い方を知ってもらおうと、5年前からSNSを通して活用方法を会員から募っています。

そこで、「子どもの送り迎え」や「電車が止まったとき」などという事例に混じって寄せられたのが、「運転しない」使い方でした。
営業で外回り中、得意先に電話するとき、街なかではなく静かな車の中からかける」とか「団地に住む母親が、夜泣きが止まらない子どもと一緒に車に座る」。このほか、「終電を逃したあとに寝る場所として」や「夫婦げんかのあと頭を冷やすため」という使い方もあったということです。

この会社でも、「予想外の使い方だ」としたうえで、「ルールの範囲内で、ぜひ思い思いの形でご利用いただきたい」と話しています。

小顔体操に、ラップ練習?!

カーシェアリングの予約・決済サービスを手がけるNTTドコモは、ことし1月、首都圏在住の400人を対象に「カーシェアリングの利用法」について調査を行いました。

その結果、調査対象の1割を超える50人が運転以外の目的で使ったことがあると答えました。
多くは「仮眠」や「電話」など車内の静かな環境を生かした利用方法ですが、これ以外にも「読書」や「カラオケ」、中には「小顔体操」、「ラップの練習」などという答えもあったそうです。

そして、調査では、カーシェアリングの利用経験がある人の4割が、こうした“運転以外”の使い方をしてみたいと答えていたということで、潜在的なニーズは高そうです。

調査を行ったNTTドコモの中村誠さんは「レンタカーと比較して短い時間で利用できることが、用途を広げることにつながっている」と分析したうえで、「車を1人になれるパーソナルスペースの一つとしてとらえているのではないか」と話していました。

1人になりたい、そんな時

誰にも聞かれてはいけない、大事なビジネスの話がある。
忘年会で歌わないといけないので人知れず練習したい。
そして、仕事で疲れて、少しだけ目を閉じて心と体を休めたい。
特に理由はないけれど、ちょっとだけ、ひとりになりたいーー。

そんな時に気軽に「パーソナル」な空間を手に入れられる手段としての「カーシェアリング」。さらに、広がっていくのでしょうか?