『先生死ぬかも…』

『先生死ぬかも…』
深夜の電話があったのは1年前。私はまだ大学院生だった。電話の相手はかつての恩師。泥酔していた。恩師が口にした言葉、それは「死んだら楽になるかな」だった…。(おはよう日本ディレクター 高松奈々)

疲弊する教員たち

数日後、恩師に会った。お互いとてもつらかった。こんな弱い姿を教え子に見られたくないという先生、どうしていいか分からない私。

先生は、学校説明会の仕事や、子どもたちのトラブル対応で見たことがないほど疲弊していた。その姿を見て、胸が締めつけられた。
でも、もやもやしながらも、何もできない自分がいた。
「お笑いの力で教育を変えたい!」
私はそんな思いで学生時代から、お笑い芸人として活動しながら、全国の学校に出向いて、子どもたちに出張授業を続けてきた。そんな中で、おのずと教員たちと接するなかで、強く感じることがあった。

「このままじゃ先生死ぬかも」
時代は次々と教員に新しいことを要求する。英語、道徳などの新たな教育。不登校、いじめ、そして保護者への対応など…。
それらに追われて、疲弊する先生たちの姿をこの目で見てきた。
文部科学省の調査では、うつ病などの精神的な病気で休職した公立学校の教員数は、この10年、毎年5000人前後にも上っている。

おととし国が行った調査。中学校の教員の6割、小学校の教員の3割が過労死ラインとされる80時間を超えて働いていた。

先生たちの悲痛な声

私はこれまで数多くの先生たちと接してきた。その声の一部です。

「いつも朝起きたら、突然死していないことに感謝。出退勤のタイムカードないので生存確認の出勤簿をきょうも押します」(30代)

「スマホによるSNSトラブル。夜7時を回っていても、保護者からすぐ学校に連絡が入ります。『何かあったら責任とれ!』『すぐ対処してくれないと、心配で学校に送り出せない』精いっぱい対処しますが…」(20代)

「やりがいあったって、土日休みなく、部活させられ、平日12時間以上勤務してた。体を壊し、入院しました。退院後『大丈夫ですか?』と言ってくれた保護者は1人だけ」(40代)

遺族の悲痛な訴え

過労死で亡くなった教員の遺族にも直接話をうかがった。嶋田友生さん、享年27。福井県の新人教員だった4年前、みずから命を絶っていた。
父親の富士男さんが遺書を見せてくれた。
「疲れました。迷惑をかけてすみません」
友生さんの死は公務災害に認定されている。亡くなる前、最大で月161時間の残業をしていた。過労死ラインの2倍以上だった。
富士男さんは私につぶやいた。
「正直異常でしかないですよね。抜本的な取り組みをしないと、第2、第3の友生が生まれてしまう」

このまま放置していいのか

取材をすればするほど、闇が深い学校現場。文部科学省は来年4月、働き方改革関連法が施行されるのを前に、年明けにも教員の新たな働き方について、方向性をとりまとめる予定だ。
そこで導入が検討されているのが平日の勤務時間を延長する代わり夏休みにまとまった休みをとる「変形労働時間制」という新たな制度。
たしかに見かけ上の残業は減るが実際の働いた時間は変わらない。しかも、夏休みは教員にとり、全然休める期間でない。プールの指導、部活動、教科の研修などがあるからだ。専門家からも、「大幅な業務の削減、そして教員を増やすといった抜本的な見直しが欠かせない」といった声が相次ぐ。

ぜひ私たちに声を

恩師から「死にたい」と電話がかかってくる事態。そんな教育現場は異常だ。疲れ果てた先生に学ぶことは子どもたちにとっても不幸だ。私たちは今後も教員の働き方の問題について取材を続けます。

先生方、保護者の皆さんの意見を以下にお寄せください。
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