海越える“ガンプラ”

海越える“ガンプラ”
プラモデルの中でも大ヒット作と言われる「ガンプラ」。人気アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデルです。本棚に飾った「モビルスーツ」をうっとり眺めた思い出のある方も少なくないかも知れません。そのガンプラブームが再び巻き起こっています。しかし、かつてのように、多くの子どもたちが、まちの「模型店」に走ったころとは、やや様相は異なるようです。(ネットワーク報道部記者 目見田健)

経済統計で見るプラモブーム

「うちの子どもはゲームばかりで、プラモデルブームという感じはないが…」ーーーそう思われる方も多いことでしょう。しかし、エビデンスは経済統計にありました。

経済産業省が毎月発表している鉱工業指数。企業の生産や出荷の動向を示す経済統計です。実は、この統計に「プラスチックモデル」という項目があるのです。プラモデルの出荷動向を2010年を100として表した指数で見ると、2018年の第2四半期は155.6と高水準になっています。
経済産業省によりますと、プラモデルには、これまでにも何回かブームの時期がありました。1回目は1980年代。テレビアニメの「機動戦士ガンダム」が放送され、小中学生の間でガンプラが大ブームとなったころです。「ミニ四駆」ブームも相まって、工業統計によると、1989年のプラモデルの出荷額は470億円を超えました。

しかし、1990年代に入るとテレビゲーム人気におされて出荷額は落ち込みます。1996年ごろに「ミニ四駆」ブームの再来で300億円程度まで回復。しかし2000年代に入ると下落傾向が続き、2007年には、ピーク時の4分の1ほどの113億円まで出荷額は落ち込みました。ところが、その後、再び徐々に出荷額は増え始め、2016年には190億円程度まで回復しました。190億円を上回るのは2008年以来です。鉱工業指数の最近の動きを見る限り、ブームはさらに続いていると見られます。

町の玩具店は消えている?

しかし、「近所のおもちゃ店がなくなった」「最近、模型店を見ない」などと感じている方は少なくないかも知れません。店内に所狭しと積まれたプラモデルの箱が懐かしい、まちの模型店。プラモデルブームは追い風のように思えますが…。
総務省によりますと、全国の個人経営の玩具店の数は、統計を取り始めた1996年は7800余りでした。ところが年々、減少を続けていて、2014年には2600ほどと3分の1に減っているのです。やはり、近年のオンラインゲーム全盛期の中、まちの「おもちゃ店」は、少しずつ姿を消しているようなのです。では、どこでプラモデルが売れているのか?

ガンプラブームの再来

台湾で開かれたガンダムのイベント
経済産業省の担当者が指摘するのは「海外の人気」です。経済産業省が貿易統計をもとに推計したところ、2016年のプラモデルの輸出額はおよそ98億円。この年のプラモデルの出荷額のおよそ半分が輸出されていたと見られます。輸出先は韓国、香港、中国、台湾、アメリカ、タイなどで、日本での観光消費支出の多い国や地域と重なっているとのこと。経済産業省は「クールジャパンの成功例」と胸を張ります。そしてプラモデルの海外人気を後押ししているのがガンプラブームの再来だというのです。

ガンプラを製造・販売している「BANDAI SPIRITS」に話を聞いてみました。

海外シェアは4割

「販売額は拡大傾向です。その理由の1つは海外市場です」ーーー担当者はそう言います。

海外の人たちをガンプラに夢中にさせる戦略があるそうです。会社では専用サイトを設けて、2011年からアジアを中心に無料でガンダムのアニメを配信。対応する言語も中国語や英語など8か国語以上。配信している地域はおよそ60の国と地域に上っているそうです。そして、現地でアニメの知名度が広がり、人気が出てくると、その国でのガンプラの販売体制を整えていくというのです。

海外での「ガンプラ」の直営店は、ことし8月に上海にオープンさせるなど、これまでに韓国と中国などで12店舗。公式のインターネットサイトによる販売も2012年から順次進めていて、今では北米やヨーロッパの国のほか、フィリピンやチリ、ラオスなど18の国と地域でガンプラは販売されています。
上海の直営店
会社によると海外の販売の割合は2017年くらいから特に伸びているそうで、海外の直営店の展開やイベントなどを積極的に行った時期に重なります。会社によると「ガンプラの海外のシェアは、おととしはおよそ3割。去年は4割にまで上昇した」ということです。

ただ、国内でもガンダムブーム全盛期に子どもだった親たちが子どもと一緒にガンプラを楽しむ人も少なくないそう。最近、増えている訪日外国人も日本でガンプラを買うことにプライオリティを感じている人もいるということです。

クールジャパン、世界に

かつて小中学生を夢中にさせたガンプラが今や海外で人気を集めている。確かに海外でテレビ放映されていることやインターネットの普及を考えれば、不思議ではないかもしれません。人口減少や少子化が進み、縮小傾向の日本の市場。海外の市場に活路を見いだす企業は多くありますが、プラモデルも例外ではありません。子どもだけでなく大人も夢中になるプラモデル。町の「模型店」が徐々に減っているのはさみしくもありますが、精巧さやアニメとのコラボレーションによって、プラモデルは日本を代表する輸出品としての地位を固めつつあるのです。