渋滞、火災、そして混乱… 豊洲市場 波乱の幕開け

渋滞、火災、そして混乱… 豊洲市場 波乱の幕開け
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東京・築地市場に代わる新たな卸売市場、豊洲市場が11日、開場しました。豊洲市場周辺では、夜明け前から市場を利用する業者の車両などによる渋滞が起き、新たな市場は混乱の中でスタートしました。
開場初日の11日、マグロの卸売場では、集まった水産業界の関係者が手締めをして豊洲市場の開場を祝いました。

そして午前5時半に、鐘の音が鳴り響く中、新しい市場で初めての競りが始まり、威勢のよい掛け声とともに、マグロが次々と競り落とされていきました。

豊洲市場は、今月6日に83年の歴史に幕を閉じた築地市場の移転先として、東京都が5700億円余りをかけて江東区に整備しました。

今回の移転をめぐっては、豊洲市場の土壌や地下水から高い濃度の有害物質が見つかったことやその対策工事に不備があったことなど問題が相次ぎ、都の移転決定から実現まで17年かかりました。

初日の豊洲市場の周辺では、夜明け前から午前中にかけて商品の仕入れで訪れた業者の車両で渋滞が発生するなどしたため、仕入れに通常より時間がかかったという声も相次ぎました。

また、市場ではターレーと呼ばれる小型の運搬車が燃える火事や、ターレーに衝突されてけがをする事故もあり、混乱の中でのスタートとなりました。

都には、渋滞の緩和など、業者の利用しやすい市場にしていくことや、日本の台所とも呼ばれた築地市場のブランド力を豊洲市場に引き継いでいくことが求められています。

徹底した衛生管理

東京・江東区に開場した豊洲市場は、敷地面積は40万7000平方メートルで、築地市場の1.7倍の広さがあり、水産物の競りが行われる水産卸売場棟のあるエリア、仲卸業者の店舗が入る水産仲卸売場棟のエリア、それに野菜や果物などを扱う青果棟のエリアと、大きく3つに分かれています。

豊洲市場の最大の特徴は、壁が少なく開放的な施設だった築地市場とは異なり、建物の閉鎖空間の中で競りなどを行うことで温度や衛生面の管理を強化したところにあります。

建物の中には冷房設備が備え付けられ、例えば、水産卸売場では真夏でも室内の温度が10度程度に保たれるなど、徹底した温度管理を行えるとしています。

また、トラックに荷物を積む場所では、通常のシャッターに加え、搬入口の上部から空気を流して外気やほこりなどが室内に入ることを防ぐエアカーテンなども整備しました。

また、築地市場で人気の高かったマグロの競りの見学については、衛生管理を強化するため、囲いのある特設スペースから見ることになります。

このほか、市場内には、飲食店や、調理器具などを買うことができる物販店も入っていて、一般の人は13日から利用できるようになります。

新市場の安全対策は

豊洲市場は、もともと東京ガスのガス工場の跡地で、土壌や地下水から高い濃度の有害物質が検出されたことから、安全性を懸念する声があります。

さらに、おととし9月には、土壌汚染対策の柱として汚染された土をきれいなものと入れ替える「盛り土」が、主要な建物の地下で行われていなかったことも明らかになりました。

都は、ことし7月までに約38億円をかけて追加の安全対策工事を行い、建物の地下空間の底をコンクリートで覆ったほか、換気設備を新たに導入しました。

また、有害物質が含まれている地下水が上がってこないように、水位を管理する機能を強化しました。

都は、一連の追加工事で安全性は確保されているとしていますが、豊洲市場の開場後も地下水の水位や有害物質の濃度などを継続的に監視していくとしています。

しかし、開場直前の先月には、敷地内で地盤が沈んだことによるひび割れや段差が見つかっていたことが明らかになり、都が緊急の工事を行いました。

都には、引き続き、食品の安全性を確保し、利用する業者が安心して働くことができる市場にしていくことが求められています。

ライバル出現 変わる流通

水産物や野菜などの新たな流通拠点として開場した豊洲市場ですが、その環境は厳しさを増しています。

移転前の築地市場は、去年1年間の水産物の取扱量が38万5000トンと国内最大の市場でしたが、取扱量は、ピークとなる昭和62年の約81万5000トンの半分以下に落ち込んでいます。

背景にあるのは、水産物の消費低迷に加えて、小売りや外食の業界で、卸売市場を通さずに産地から直接、商品を仕入れる動きが広がっているためです。

このうち、東京・羽田空港の敷地内で鮮魚センターを運営するベンチャー企業は、全国各地の漁港で水揚げされた水産物を飛行機で空輸し、小売店や飲食店に運ぶビジネスを展開しています。

4年前に設立されたこの企業は、各地の漁協や水産会社などとあらかじめ契約を結び、朝に水揚げされた水産物をその日のうちに小売店や飲食店に出荷します。

10日は、宮崎県で朝に水揚げされたカンパチやタチウオなどが、午前10時半すぎに羽田空港にある鮮魚センターに到着し、そのまま飲食店や小売店に向けて出荷されていました。

購入を希望する魚を取れたての状態で仕入れることができるため、中小の小売店や飲食店だけではなく、大手回転寿司チェーンやデパートも利用しているということで、ことし9月の取り引き件数は1年前と比べて2倍に増えたということです。

「羽田市場」の野本良平会長は「中間の流通を省くことで鮮度のある魚を消費者に届けることができる。ニーズの高まりを感じているので、今後も取引量を増やしていきたい」と話していました。

豊洲市場には、築地市場で培った伝統を引き継ぎながらも、流通の在り方の変化に対応していくことも求められています。

大丈夫?渋滞対策

東京の臨海部の埋め立て地にある豊洲市場は、海に囲まれているため、市場と都心などを結ぶルートが限られていて、周辺の道路の渋滞が懸念されていました。

東京都は、築地市場の跡地を通って臨海部と都心をつなぐアクセス道路として、「環状2号線」の整備を進めてきましたが、市場の移転が延期された影響で整備が間に合わず、全線開通は2022年度の見通しとなっています。

このため都は、築地市場の跡地周辺にう回路を整備して、築地と豊洲の区間を暫定的に開通させる計画ですが、開場には間に合わず、開通は1か月程度、遅れる見通しです。

また、都は11日から、市場に関係する車両に限って環状2号線の一部区間を利用できるようにする対策をとりましたが、周知が不足したため、利用する車両は多くなかったということです。

都は、豊洲市場周辺で利用できる道路の周知を徹底するとともに、業者への協力を呼びかけ、少しでも渋滞緩和につなげたいとしています。

ネット上では…

ネット上では、歓迎や懸念の声が出ているほか、利用する業者からは、市場周辺の渋滞を解消する手立てを講じるよう求める声もあがっています。

ネット上では、豊洲市場の開場について「いろいろと問題はあるだろうけど、スタートしたからには築地以上の発展を願いたい」、「開場おめでとうございます。慣れるまで不便かと思いますが世界から『豊洲はいいね』と言われるように頑張ってほしい」など、歓迎の声が出ています。

一方、豊洲市場への移転に反対する業者がいることを踏まえ、「反対される方々の気持ちはすごくわかる。思い入れがあるほど簡単に割り切れない」、「豊洲に行った魚屋さんも、『築地に残る』と言っている魚屋さんも、気の毒でならない。しなくてもいいけんかをし、しなくてもいいかつての仲間の悪口さえ言わなければならない」などと、今後の市場運営を懸念する声も出ています。

また、市場を利用する業者からは「とにかく道路を増やさなきゃあの渋滞は解消されない」、「豊洲まで30分で着くはずなのに、渋滞でおよそ1時間かかった。市場の中に入っても渋滞。鮮魚棟と青果棟は離れ過ぎて遠いし、迷う」として、市場周辺の渋滞を解消する手立てを講じるよう求める声もあがっています。

これに関連して、ネット上では「駐車場を借りたけど高すぎる。高級店なら痛くもかゆくもないだろうけど、うちみたいなすし屋には大打撃。築地では気持ち程度しか払っていなかった駐車場代。遠い店は車でなければ仕入れができないのに」といった書き込みもあります。

さらに、「豊洲の地下水の話はどうなったの?小池知事の権限であれだけ騒いだのだから、どう解決して移転を認めたのかぐらいの説明はあったのか」など、移転をめぐる一連の経緯についての説明が不十分ではないかと指摘する声も出ています。

また、豊洲市場について東京都は、開放的な建物だった築地市場とは異なり、建物の閉鎖空間の中で取り引きを行うことで温度や衛生面の管理を強化したとしています。

これに対し、ネット上では「空調、動いている?というくらい暑い。あれだけの人たちが来てるんだから温度下げなきゃ、熱気でヤバい」、「室温も湿度も高くて鮮魚傷まない?大丈夫?不安しか覚えない」などと温度や衛生管理への不安の声が上がっています。