目立つ子どもの“OD” なぜ?

目立つ子どもの“OD” なぜ?
「学校行きたくないので始業式の前の晩にODしよう」「どうしよう もう辛すぎて。9月1日から学校が始まるのでその日からODをはじめる!」
夏休みも終わりに近づいてきた今、ネットにはこんな声が相次いでいます。「OD」は「オーバードーズ」。特定の市販薬などの過剰摂取を意味し、高揚感を得たり疲労感を取り除いたりしようというものですが、たとえ市販薬であっても大きな危険があります。これから再開する学校生活。ゆううつな気持ちにどう向き合えばいいのか探ります。(ネットワーク報道部記者 玉木香代子 田隈佑紀 國仲真一郎)

ネットにあふれるブルーな気持ち

もうすぐ終わる夏休み。ツイッターには学校に行きたくない子どもたちの声が目立っています。
理由はさまざまではっきりとわからないものもあります。こうした中で現実逃避的に“OD”に走っている子どもたちがいるとみられるのです。

おそろしいOD

しかしODには大きな危険があります。依存症になれば乱用がさらに進み不快感や、ふるえ、寒気、妄想などがでるおそれがあると言われています。
ツイッターには娘が病院に運ばれて集中治療室に4日も入ったという母親がその怖さを伝える声もありました。

親はどうすれば?

子どもたちの予期せぬ事態にもつながりかねないこの時期。「学校に行きたくない」と言われたとき、親はどうすればいいのか。

不登校の子どもや親の取材を続ける「不登校新聞」の編集長で、自身も中学2年生の時から不登校だった経験を持つ石井志昂さんに聞きました。

率直に尋ね最後まで聞く

「まずは『子どもに率直に尋ねる』ことが必要です。どんな不安を抱えているのか、聞いてみてください」
「いったん聞き始めたら『最後まで聞く』ことが大事です。子どもが話し始めたら、たとえつじつまがあっていなくても、話が理解できなくても、最後まで聞いてあげてください。子どもは話をしながら自分自身の気持ちを整理しています」

寄り添い、共感

「そして『子どもが“いま”抱えている不安や悩みに寄り添うこと』です。親は子どもの将来を見据えた話や学校へ行かせようという方向での話をしてしまいがちですが、それは子どもを追い詰めてしまう。『つらかったんだね』と共感してあげてください。そして状況が深刻だと判断した場合は子どもが学校に行くと言っても休ませるなどの対応をとってください」

親は“つなぐ”存在に

さらに石井さんは、子どもの不安を親が自分だけで受け止めようとしないことも重要だと指摘します。

「親は子どもから聞いた不安を『つなぐ』存在だと意識してほしい。抱え込むのではなく、不登校の子どもに接した経験の多いフリースクールやメンタルケアの専門家、さらには同じような状況にある親の会などに話をすることで、一緒に考えていくことが大事です」

打ち明けるのはハードルが高い

一方、石井さんによれば、子どもたちにとって「学校に行きたくない」という気持ちを吐露することは、相当大きなハードルなのだそうです。
そうした気持ちをことばにすることができず、抱え込んだままのケースの方が多いといいます。
ただ、そうした子どもたちは表情や体調、あるいは行動の変化で静かにSOSを発信しているそうです。
例えば顔色が悪かったり、食欲がなくなったりというケースがあるといいます。「宿題が終わっていない」と不自然に繰り返すことも、学校への不安が表れたSOSの1つだそうです。

「特に夏休みが終わるこの時期には、子どもの小さな変化にもアンテナを張ってほしい」(石井志昂さん)

気軽にSNSで相談を

新たな形で子どもたちの気持ちを受け止めようという動きも出ています。いま全国の教育委員会で広がっているのが、「LINE」などのSNSを使った相談窓口です。
電話などでの相談はハードルが高いと感じる子どもも多くいることからささいな悩みでも、気軽に相談してもらうのが狙いです。

このうち長野県教育委員会では、全国でもいちはやく去年9月にLINEを使った相談窓口を試行的に設置。学校や名前も名乗る必要は無く、気軽に心理カウンセラーの資格を持つ相談員とやり取りすることができるようにしました。
相談のサンプル画面
すると期間中の2週間で、電話相談で寄せられた1年間の件数の2倍にあたる540件余りの相談が寄せられました。

これを受けてことしは7月から相談を開始。夏休みの前に悩みの芽があるのではないかと考えたからです。
1か月間で345件が寄せられ相談内容は、
▽「交友関係・性格の悩み」に関するものが最も多く20.9%、
▽次いで「学業・進学」が11%、
▽「いじめ・不登校」に関することが7.8%でした。

この中では「勉強のやる気が起きない」、「3人グループのうち、自分を除く2人が仲よくしていて疎外感を感じる」といった“ささいに見える”相談も多かったということです。
しかし深刻な事態につながることも珍しくないということで、相談員は子どもの声に耳を傾けて「どうしたらいいと思う?」と寄り添いながら改めて考えることや悩みを客観視できるよう心がけているということです。

相談した子どもたちからは、「聞いてもらえてうれしかった」「気持ちが楽になった」と感謝する声が寄せられているということです。

学校が始まるのが不安、怖い…。
自分もそうだと、ここまで読んでくれた人もいるかと思います。その気持ち、伝えて和らぐところはいろんなところにあるのかもしれません。