危険なブロック塀が7割弱 公立学校の全国調査

危険なブロック塀が7割弱 公立学校の全国調査
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ことし6月、大阪府北部の地震で学校のブロック塀が倒れて女子児童が死亡したことを受けて、文部科学省が全国の公立学校を調査した結果、安全性に問題があるブロック塀が7割近い1万校以上に上ることがわかりました。
ことし6月に震度6弱の揺れを観測した大阪府北部の地震では、大阪高槻市の小学校で、登校中の女子児童が倒れたブロック塀の下敷きとなり死亡しました。

文部科学省が教育委員会などを通じて、ブロック塀がある公立の幼稚園から高校、1万4692校を調査した結果、法律が定めた高さや形状を満たしていない塀が見つかったところは全体の69.3%にあたる1万186校に上りました。

多かった都道府県を見ますと沖縄県が92.4%(406校)、和歌山県が84%(205校)、福岡県が83.2%などと(643校)なっています。

東京八王子市では、33校で問題のあるブロック塀が見つかりました。教育委員会によりますといずれも法律が改正される昭和56年以前に目隠しや防音などのため設置されましたが、校舎などの耐震化やエアコンや防犯カメラの設置を優先させる中、対策が後回しになったということです。

市はこれらの塀を年度内に撤去して、新たにフェンスなどを設置することにしています。

一方、今回の調査では、さらなる課題も見つかりました。

法律ではブロック塀に使われる鉄筋の配置など内部の点検も義務づけていますが、それが実施されていない学校は全体の80%余りの5207校に上っていました。

東京 東大和市では、独自に金属探知機を購入して学校のブロック塀の内部調査をしたところ、鉄筋の工法に問題がある塀が見つかったということです。

文部科学省はブロック塀の撤去など必要な予算措置を検討するとともに、今後も対策が進んでいるか継続調査することにしています。

都道府県別の割合

安全性に問題あったブロック塀の割合が多かった都道府県です。多い順に、沖縄県が92.4%で406校、和歌山県が84%で205校、福岡県が83.2%で643校、徳島県が82.3%で177校、群馬県が81.9%で273校となっています。

一方で、割合が低かったのは、岩手県が41.3%で24校、広島県が46.8%で191校、青森県が48.7%で58校、島根県が50%で37校、長野県が52.3%で34校となっています。

東京 八王子市の対応

東京都八王子市では市内の小中学校のうち、33校で問題のあるブロック塀が見つかりました。

中には、学校のプールを囲う塀が基準の高さ2.2メートルを超えており、そのすぐ脇が通学路になっていた場所もありました。市は塀を撤去したうえで仮のフェンスを立てたということです。

八王子市によりますと今回、基準を満たしていなかった学校すべてが昭和56年に法律ができる前に目隠しや防音などのため、ブロック塀を建設していたということです。その後、学校の校舎や体育館は阪神・淡路大震災や新潟県中越地震、さらに東日本大震災などを経て、耐震化や補修が進められてきましたが、ブロック塀については劣化した部分が補強されただけでした。

また、予算の面でも熱中症対策ですべての学校に29億円をかけてエアコンを設置するなど、優先すべき事業を進める中で、ブロック塀の対策が後回しになっていたということです。

市は今回の調査結果をうけ、基準を満たしていないブロック塀を撤去したうえで、今年度中に目隠し用のフェンスなどを設置する予定です。

八王子市教育委員会施設管理課の松土和広課長は「子どもたちが生活するうえで今回、ブロック塀が危険だと改めてわかったので速やかに対応したい」と話していました。

金属探知機で独自に内部調査

東京 東大和市は独自に金属探知機を購入し、ブロック塀の内部調査を行いました。その結果、ブロック塀に入っている鉄筋に一部、縦と横でつながっていないところが見つかったということです。市では新たな対応を検討することにしています。

東大和市学校教育部の中橋健副参事は「そんなに高くない塀なので危険性があると感じていなかったが、調査してみると安全ではないとわかったので対策が必要だと思った。見た目でわからないこともあるので検査してよかったと思う」と話していました。

過去のブロック塀事故

文部科学省によりますと学校内のブロック塀による死亡事故はことし6月の大阪府北部の地震以外は把握していないということです。

一方で、昭和53年の宮城県沖地震では民家などのブロック塀の倒壊が相次ぎ、下校中の小学生と中学生、合わせて2人が死亡しました。

この地震のあと、建築基準法の施行令が改正され、ブロック塀の設置基準が見直されましたが、それ以前に作られたものが残されたり、基準が守られずに設置されたりするケースもあるということです。

文部科学省は「ブロック塀の安全対策については、校舎の耐震化と比べ国も自治体も意識が低かった。結果的に多くのブロック塀が建築基準法に適合しないまま放置されていた」としています。

専門家「事故は今回限りとする対策を」

建築物の構造に詳しく大阪府北部の地震でも、現地でブロック塀を調査した福岡大学工学部建築学科の古賀一八教授は、「これまでの地震でもブロック塀が倒れて被害が出ているが多くの人が自分のこととして捉えていなかった。今回は、学校でそこの児童が亡くなったということで影響が大きかったと思うし、今回限りとするような対策をすべきだ」と述べました。

さらに、ブロック塀の内部点検がいまだ多くの学校で実施されていないことについては「これまで被災地を見ていると見た目はなんともなくても、倒れているブロック塀がある。外観上、大丈夫と判断されたものでも倒れてくるおそれはあり、内部点検は必要だ」と指摘しました。

そのうえで「撤去もいいが補強するほうが安くすむ場合もある。補強によりかなり丈夫になるので、それも視野に入れて対策をしてほしい」と呼びかけています。