4月~6月のGDP 2期ぶりにプラス

4月~6月のGDP 2期ぶりにプラス
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内閣府が発表した、ことし4月から6月までのGDP=国内総生産は、物価の変動を除いた実質の伸び率が前の3か月と比べてプラス0.5%、年率に換算してプラス1.9%となりました。GDPの伸び率がプラスになるのは2期ぶりで、日本経済は緩やかな成長が続いていることを示す結果となりました。
内閣府が先ほど発表した、ことし4月から6月までのGDPの速報値は、物価の変動を除いた実質の伸び率が、前の3か月と比べてプラス0.5%でした。

これが1年間続いた場合の年率に換算するとプラス1.9%となり、2期ぶりにプラスに転じました。

主な項目をみますと、「個人消費」は、前の3か月間が大雪の影響などで振るいませんでしたが、今回はこうした要因がなくなったことに加え、自動車や家電の販売が伸びたことなどから、プラス0.7%と持ち直しました。

また、企業の「設備投資」も、好調な企業業績を背景に建設用の機械や人手不足に対応するための投資が増えたためプラス1.3%になり、GDPを押し上げました。

「輸出」も船舶などを中心に増加し、プラス0.2%でした。

一方、「住宅投資」は、これまでの着工戸数の落ち込みが影響し、マイナス2.7%でした。

今回のGDPは、日本経済の緩やかな成長が続いていることを示す結果となりましたが、豪雨災害や激しさを増す貿易摩擦など先行きは不透明感も増しています。

猛暑はGDPにプラスとマイナスの効果が

猛暑は一般的に消費を押し上げる効果があると考えられています。

スーパーで飲料やアイスがよく売れたり、家電量販店でエアコンや扇風機の売れ行きが好調になったりするためです。
また、エアコンを頻繁に使えば、電気代の支払いの増加にもつながります。

シンクタンクの「みずほ総合研究所」が過去に猛暑となった年を分析したところ、前の年に比べて、それぞれ夏場の個人消費を0.2%から1.6%程度押し上げる効果が確認されたということです。

ただ、ことしの記録的な暑さは、逆に消費の足を引っ張るのではないかという指摘も出ています。

8日に発表された内閣府の先月の「景気ウォッチャー調査」では、レストランや百貨店の従業員などから「猛暑で外出する人が減りお客の数も減った」という声が寄せられ、豪雨の影響も加わって、景気の現状を示す指数は悪化しました。

この調査では、景気の先行きについても猛暑の影響で野菜が値上がりし、家計の節約志向が強まるのではないかという懸念の声が上がっています。

氷のメーカーはフル稼働

記録的な猛暑が続き、コンビニでアイスコーヒーや袋詰めされた氷の販売が伸びる中、取引先の氷メーカーは事務や営業の社員も動員してフル稼働で生産に当たっています。

このうち、大手コンビニエンスストアのファミリーマートの取引先で、千葉県酒々井町にある氷メーカーの「エフケイ」は、昼夜を問わず工場を稼働させています。
独自の技術で製造した氷は、透明度が高く、溶けにくいということで、工場では、大小さまざまな氷を毎日およそ90トン生産しています。

このメーカーは、長期予報からことしの夏が厳しい暑さになることを見込み例年より2か月早い3月から、夏場のかき入れ時に向けた生産体制を取ってきました。
今シーズンは生産量を去年の同じ時期より10%ほど増やしていますが、次々と舞い込む取引先からの注文に応じるのがやっとだということです。

また、産部門におよそ40人いる従業員だけでは人手が足りないため、事務や営業担当の社員も動員してお盆休み返上で操業を続けることにしています。

エフケイの辻本直幸工場長は「目が回るくらい忙しく、私たちにとってはありがたい夏になっています。人手の確保は大変ですが、会社を挙げて生産していきたい」と話していました。

体感温度下げる女性ジャケットに人気

衣料品の専門店では、特殊加工によって体に感じる温度を下げる女性用のジャケットが、特に好調な売れ行きを見せています。

東京 池袋にある「洋服の青山」の店舗では、最も目立つ入り口近くに夏物の衣料品コーナーを設けていて、この夏は特に女性用のジャケットの売れ行きが好調だということです。
ジャケットには太陽の熱を吸収しにくくするための特殊加工が施されていて、体に感じる温度を下げる効果があるということです。

ことし4月の発売からすでに1万着余りを売り上げたということで、夏物のジャケットとしては異例のヒット商品になっています。
会社では女性の管理職が増えていることが背景にあると見ていて、この夏が猛暑続きでもビジネス用の上着を着用しようというニーズを捉えた形です。

店舗を訪れた42歳の女性会社員は「まだまだ暑いので、少しでも涼しく感じられるような仕事用の服を探しにきました」と話していました。

「洋服の青山」の田中美穂マネジャーは「猛暑で客足が遠のく心配もありましたが、きっちりとしたスーツを求める女性が増えていると実感しています。秋に向けても働く女性を意識した商品を投入していきたい」と話していました。

猛暑が“重荷”の現場も

一方、記録的な猛暑が重荷となって消費の足を引っ張っている現場もあります。

その一つが「蚊」に代表される夏の虫の「虫よけ」や「殺虫剤」です。
例年、夏の訪れとともに売り上げが伸び、6月から9月までに年間の7割を売り上げます。
本来、夏はかき入れ時のはずですが、大手殺虫剤メーカーの「フマキラー」によりますと、ことしの虫よけや殺虫剤の今月5日までの店頭での売り上げは、業界全体で前の年の同じ時期を7%下回っています。

メーカーによりますと、あまりの暑さで、虫よけが必要な公園などに出かける人が少ないことに加え、蚊の活動量が落ち、殺虫剤の必要性を感じにくかったためではないかとみています。

フマキラーの戸村彰マーケティング部長は「気温が35度を超えると人に寄ってくる蚊が少なくなる傾向があり、気温が上がりすぎて苦戦している状況です。ただ今後、気温が少し落ち着いた時に活動が活発になる可能性もあるのでしっかり対策をとってもらえれば」と話しています。

猛暑の影響で、家計の負担が増している部分もあります。

食卓に欠かせない野菜の高値が続いています。
高温が続いたことで、生育不良となり出荷量が少なくなっているためです。
東京足立区のスーパーでは、8日の時点でレタスが1玉198円と例年の2倍近く、キャベツが1玉298円と例年の1.5倍ほどに値上がりしています。

買い物客からは「値段が高くて頭が痛いです。野菜は安売りを狙って買っています」とか「早く異常気象がおさまっていつもの天気に戻ってほしいです」といった声が上がっていました。

ベニースーパーの青果担当の大木正仁さんは「今後も、しばらく野菜の卸売価格が高い状況が続くという話も聞こえてきていて、心配しています」と話していました。

菅官房長官 「緩やかな回復続くだろう」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「個人消費、設備投資、民需の増加に支えられた成長となっており、今後も、雇用や所得環境の改善が続く中で、緩やかな回復が続いていくだろうと思う。引き続きあらゆる政策を総動員し、経済の好循環を確かなものにしていきたい」と述べました。

麻生副総理兼財務相「米中貿易摩擦など不確定要素も」

ことし4月から6月までのGDP=国内総生産が、2期ぶりのプラスになったことについて、麻生副総理兼財務大臣は閣議のあと記者団に対し、「よい流れになってきたとは思う。ただ、中国とアメリカの貿易摩擦などの影響もあるのでこの流れがずっと続くかどうかはなかなか不確定な要素もある」と述べ、激化する貿易摩擦が景気に与える影響などを注視していく考えを示しました。

茂木経済再生担当相「先行きも景気回復期待」

今回のGDPについて、茂木経済再生担当大臣は「民間需要の増加に支えられた成長となっており、景気についてはゆるやかに回復していると認識している。先行きについても、雇用・所得環境の改善が続くなかで、景気回復が期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響などに留意する必要がある」とするコメントを出しました。

専門家「プラスだが懸念も」

2期ぶりのプラスとなった今回のGDPについて、みずほ総合研究所の市川雄介主任エコノミストは「1月から3月のマイナス成長が、一時的なものだったことが確認できた。国内にマイナス要因はなく見通しとしては、戦後最長の景気拡大を達成する可能性がある」と評価しました。

一方、現在の猛暑が景気に与える影響については「飲み物やエアコンなどの支出が増えるので普通はプラスに働くがその効果は一時的だ。酷暑で外出を控えたり、野菜の値上がりで財布の紐が締まったりする可能性がある」として、マイナスの影響に注意すべきだと指摘しました。

先行きについては、アメリカのトランプ政権が進める保護主義的な貿易政策をリスク要因に挙げた上で「日本の経営者から見て何をするかわからない不透明感があるので、設備投資計画の先延ばしなどにつながり、GDPが押し下げられる可能性がある。また輸入車への関税が引き上げられれば、自動車輸出が減って企業収益がマイナスになり設備投資、賃金、消費も減る悪循環になる懸念がある」と指摘しています。