日傘が男子を救う

日傘が男子を救う
まだ6月というのに強い日ざしが照りつける日が続いています。SNSを見ていると話題になっていたのが「日傘男子」でした。恥ずかしがらずに男子も日傘を使おうという呼びかけに、賛同の声が集まっているのです。でも、もはや恥ずかしがっている場合ではありません。日本の夏、男子を救うのは日傘です。(ネットワーク報道部記者 佐藤滋 大窪奈緒子)
まずは、ネット上で今、注目されている日傘男子のツイート。

「昨年来、日傘を使ってる。えぇ、おっさんが恥ずかしくない。皆で日傘をさそう。そうすれば恥ずかしがらずにすむ、私が」
「認識が変わりました!日焼け防止のイメージしかなかったのですが、体感温度が変わるのですね。真夏の体調がイマイチの日にはぜひ利用しようと思います」
「近いうちに自分のための日傘を買う(これまでは嫁さんのを借りてたので)」

日傘に目覚めた男子たちがこの夏、街を闊歩(かっぽ)しそうです。

みんなで使えば怖くない?

まずは、ネット上で今、注目されている日傘男子のツイート。

「昨年来、日傘を使ってる。えぇ、おっさんが恥ずかしくない。皆で日傘をさそう。そうすれば恥ずかしがらずにすむ、私が」
「認識が変わりました!日焼け防止のイメージしかなかったのですが、体感温度が変わるのですね。真夏の体調がイマイチの日にはぜひ利用しようと思います」
「近いうちに自分のための日傘を買う(これまでは嫁さんのを借りてたので)」

日傘に目覚めた男子たちがこの夏、街を闊歩(かっぽ)しそうです。

案外古い日傘男子

でも「日傘男子」の歴史は案外古いのです。

NHKが注目し始めたのは8年前。猛暑だったこの年の夏、「日傘男子は本当にいるのか」というテーマで、ニュースとして放送していました。
取材の舞台は、サラリーマンの街、東京 新橋。探すこと30分、日傘をさしている男性が3人も見つかりました。

さらにその3年前から日傘を使っている会社員も取材。
男性用がないため女性用を購入し、やや恥ずかしい思いをしながらも、手放せなくなっている様子を伝えたうえで「男性も当たり前のように持ち歩く日は近いのかも?しれません」というコメントで締めくくっていました。

流行語大賞にもノミネート

5年前には「日傘男子」という言葉が「新語・流行語大賞」にノミネートされたこともありました。

大賞に選ばれたのは、
「今でしょ!」
「じぇじぇじぇ」
「倍返し」
「お・も・て・な・し」

「日傘男子」は大賞からはもれたものの、けっこう前から「日傘男子」に注目が集まっていたことがわかります。

傘専門店で聞いてみた

現在、男性用の日傘は、どれくらい広まっているのでしょうか。
東京 目黒区自由が丘にある傘専門店を訪ねました。
店に入ると500種類およそ1万本のカラフルな傘が1階から3階まで所狭しと並んでいます。

その中で取り扱っている男性用日傘は30種類ほど。

店によると、最近暑くなってきたこともあり、熱中症対策として1日に数名ほどの男性客が日傘を買っていくいうことです。

特に多いのは年配の方や営業で外回りをする男性。

「ウォーターフロント」の村上健二マネージャーは「男性用日傘は少しずつ市民権を得てきたのかな、というのが実感です。ただ、年々問い合わせが多くなってきているのは実感しています」と話してくれました。

15年前に男性用日傘

ここまで話を伺ったところで逆質問。

「『日傘男子』という言葉が話題になるずっと前から男性用の日傘があったことをご存じですか?」
広げて見せてくれたのは、「銀行員の日傘」と呼ばれている、やや大きめの銀色の傘。店を運営する傘メーカーが15年前に作った傘で、メーカーに出入りしていた銀行の営業担当の男性がいつも汗だくだったことから、少しでも涼しく外回りをしてほしいと開発されたそうです。

この日傘、当時は男性にさほど売れなかったそうですが「絶対に焼けたくない」女性たちや長時間スポーツ観戦をする人たちなどに好評で、ロングセラー商品になっているということです。

なるほど、男性用日傘に歴史あり。女性のものというイメージからか一気には広まらないものの、21世紀に入ってからじわじわとその数を増やしつつあるのが日傘男子なのです。

熱中症男子を救え!

しかし、じわじわと広まるのを待っていられない人たちがいます。

埼玉県温暖化対策課の職員たちが中心となり結成した「日傘男子広め隊」です。
隊員たちは、通勤時や外回りなどの際に積極的に日傘を利用、市民にその涼しげな姿を見せつけることで日傘男子を広めようとしています。

隊員の1人、荘埜純佑さんは「駅から庁舎まで10分ほどですが、日傘をさして通勤しています。やや気恥ずかしい気持ちもありましたが、実際やってみると、直接日ざしがあたらないので体感的にとても涼しく感じました。ことしも日傘をさして啓発を続けます」と話しています。

なぜ、そこまでするのか。

県温暖化対策課によりますと、地球温暖化の影響で埼玉県内で記録される日中の最高気温のうち、35度を超えた猛暑日の日数は、この50年間でおよそ7倍になっています。
注目しているのは熱中症で運ばれる人の男女別の数。おととし(平成28年)の場合、熱中症による救急搬送者およそ2500人のうち、7割以上が男性だったのです。県では、女性に比べ日傘などの暑さ対策をしていないことが一因なのではないかと見ています。

「暑さから男子を救うために何か手を打たねば」

考えたのが、手軽な日傘を広めることでした。温暖化対策課の安西智美さんは「環境省によると、日ざしを遮ることで体感温度が3~7度低下するといいます。日頃なじみのない男性にもぜひ日傘を使っていただき少しでも快適に夏を乗り切ってほしい。より多くの男性に使ってもらえるようことしもPRに力を入れていきます」と話しています。

お父さん、日傘を持つべきです

子育て中のお父さんこそ、日傘を持つべきだと訴えている男性もいます。

横浜市の角谷和昭さん(43)です。
「幼い子がいるお父さんは、日傘を持つべき」と、つい最近のブログで発信しました。

「日よけについてはこれまでは無頓着でしたし、正直、男1人ならどうでもいいと感じていました」という角谷さん。

考えが変わったのは、2歳の長女を保育園に送り迎えしている中で「最近の殺人的な日ざしから幼い娘を守りたい」と思ったからです。

「本物の陰の下を歩いている感じです。光や熱を遮り涼しいですよ」

日傘を使うようになるとその心地よさだけではなく、同じように送り迎えをしているお父さんたちが、強い日ざしから子どもを守る手だてをとっていないことが気になるようになりました。
実は長女が保育園に通い始めた去年、一度デパートで日傘を購入しようとしたものの、どれを買おうか迷っているうちに売り切れてしまい、近隣の店にもなかったため断念したといいます。

角谷さんは「多くの人が使うようになれば『男なのに日傘なんて差して』と言われることもなくなり、いろいろな店で男性も使える日傘を売ってくれるはず」と期待を込めて語ってくれました。

そろそろ日傘男子という言葉がネットで話題にならないくらい広まってほしい。この原稿を書きながらそう願っています。