危ない“ブロック塀”どうする

危ない“ブロック塀”どうする
大阪府で震度6弱の揺れを観測した地震では、大阪 高槻市の小学校で倒れた塀に巻き込まれた9歳の女子児童が亡くなりました。子どもたちをどうしたら守れるのか。自治体がみずから費用を出す取り組みなども出始めています。
(ネットワーク報道部記者 佐藤滋・大窪奈緒子・吉永なつみ)

通学路で塀が倒れた

市などによりますと、塀は高さ1メートル90センチのプールの基礎部分の上に、ブロックが8段、1メートル60センチの高さまで積まれていて、全体の高さは合わせて3メートル50センチあったということです。

現場は幅の狭い通学路で、子どもたちは、塀に沿って設けられた「グリーンベルト」と呼ばれる通路を使うよう指導され、大勢の子どもが通るポイントでした。

過去にも犠牲者

過去に起きた地震でも倒壊したブロック塀の下敷きになり、多くの犠牲者が出ています。
宮城県沖地震後の仙台市
40年前の昭和53年6月に起きた宮城県沖地震では、宮城県と福島県で合わせて28人の死者が出ましたが、このうち9人は、倒れたブロック塀の下敷きになって亡くなり、その半数以上が、塀の近くで遊ぶなどしていた子どもたちでした。

平成7年の阪神・淡路大震災でも、多くの人がブロック塀の倒壊に巻き込まれて亡くなったとみられるほか、平成17年の福岡県西方沖地震や、おととしの熊本地震でも、ブロック塀の倒壊による死者が出ています。

お金出すから撤去して

危険なブロック塀の撤去や改修を促そうと、費用の一部を負担する自治体もあります。

南海トラフの巨大地震への対策を進めている静岡市は、ブロック塀の撤去に最大10万円、改修に最大25万円の補助金を出しています。

平成14年度から始めたこの取り組み。塀が倒れて市民が巻き込まれたり、道路がふさがって消防車などが通れなくなったりするのを防ごうというもので、今回の地震を受けて、市には補助金の問い合わせが複数、寄せられているということです。

建築指導課の高橋広美さんは、「パンフレットや耐震相談会などを通じて、ブロック塀の危険性を周知していますが、住宅の耐震化に比べると、どうしてもブロック塀対策は後回しになりがちです。事故を防ぐためにも、ふだんからブロック塀についての安全意識を高めてほしい」と話しています。

岐阜県大垣市は、新しく生け垣を設置する際にかかる費用を10万円を上限に補助する制度を設けています。公道に面した住宅や事業所の境に樹木を植えて、緑豊かなまちにしようという狙いで平成16年度から始めましたが、ブロック塀の倒壊による被害を無くそうと、現在は老朽化した塀を撤去して生け垣を設置した場合も対象になっています。

年間で数件の申請があるものの、いずれも住宅の新築や改築にあわせて新しい生け垣を設置するケースだということで、市は、改めて制度を周知したいとしています。

“塀”をマッピング

地震で倒れる危険のあるブロック塀がどこにあるのか、防災マップを手作りした小学校もあります。

静岡県の掛川市立千浜小学校は去年、4年生の児童26人が防災マップを作りました。南海トラフの巨大地震に備えて、子どもたちがみずから安全に避難できるようにと、地域の防災部会に参加する住民の協力を得て取り組みました。
子どもたちが作った防災マップ
8つのグループに分かれて通学路を歩いた子どもたちは、ブロック塀や自動販売機などがある場所を確認し、目につきやすいよう、赤いペンで地図に書き込みました。

参加した女子児童は「高いブロック塀や自動販売機がたくさんあることがわかりました。地震の時は危険な場所を避けて、避難所に行きます」と話していました。
この小学校は「実際に通学路を歩いて確認することで、『自分のこと』として防災を考えるようになります。今後も地域の人とともに、活動を続けることで防災意識がより高まると思います」と話しています。

ぱっと見ても、安全かどうかは分からない

危険なブロック塀はどのようなものなのか、地域の住民が専門家の協力を得て、調査しているところもあります。
三舩康道さん
東京 品川区荏原4丁目の町会は、防災まちづくりコンサルタントで工学博士の三舩康道さんと定期的に地域を回って調べています。

三舩さんは「ブロック塀が安全か、定期的にチェックすることが大切です。特に、学校の周りなど、通学路は念入りに診断する必要があります。都市の中にはブロック塀がたくさんあり、所有者自身も施工状況などについて、点検することが必要だと思います」と話しています。

地震に備えて

自治体や学校などはさまざまな取り組みを進めていますが、使える予算が限られるだけでなく、個人が所有する塀の撤去や改修には、所有者の理解と協力が欠かせません。ふだん、何気なく通り過ぎる「ブロック塀」からどう身を守るのか、考えていく必要があると感じました。