中体連に“硬式”テニス部設置へ

中体連に“硬式”テニス部設置へ
中学校の部活動のテニスはソフトテニスが主流ですが、錦織圭選手などの活躍を背景に、硬式のボールを使う「テニス部」が中体連=日本中学校体育連盟に新たに設置される見通しとなりました。中体連が主催する全国大会の新たな競技として、早ければ3年後に加わる見込みです。
中体連には、陸上競技やサッカー、ソフトテニスなど19の競技部があり、「全国中学校体育大会」を開いていますが、硬式テニスは競技部がないため、全国大会は別の大会として有志が開いています。

関係者によりますと、今月、栃木県の連盟で、硬式テニスの競技部として「テニス部」の設置が承認されるなど、来年度(平成31年度)には全国の加盟数の条件を満たす見込みとなったため、30年以上、新たな競技部の設置がなかった中体連に、「テニス部」が設置される見通しになったということです。

中体連主催の全国大会は公式競技となるため、補助金を受けて生徒の参加費をこれまでの6000円から規定の3000円に半減したり、顧問の教員が別の日に休日をとったりすることが可能になるということで、開催は早ければ3年後になる見通しです。

中学校の部活動では、日本発祥のソフトテニスが普及していて、硬式テニスの部の数は、全国で2300ほどと、ソフトテニスの5分の1以下です。

日本テニス協会は、錦織選手や大坂なおみ選手など、日本のトップ選手が世界で活躍する中、中学生の競技人口を確保して、競技力の強化にもつなげていきたい考えです。
日本テニス協会の福井烈専務理事は「中学校にテニス部が作られる可能性が高まり、テニス界にとってとても大きなことだ。多くの小学生が硬式テニスを習っているが、中学校に部活動がないため他の競技を選ばざるをえない『空白の3年間』がなくなると意義深い。テニスの普及と選手の育成が進み、長い目で見れば競技力の向上にもつながると思うので、できるだけ早く競技部を創設してもらえるよう働きかけていきたい」と話しています。

背景には錦織の活躍

中体連に「テニス部」が設置される見通しとなった背景には、錦織圭選手など日本のトップ選手の世界的な活躍で硬式テニスへの人気が高まったことがあげられます。

笹川スポーツ財団によりますと、10代の若者の硬式テニスの競技人口は、2011年に錦織選手が世界ランキングで日本の男子選手として過去最高の30位となった翌年の2012年には76万人でしたが、その後、四大大会で準優勝するなどの活躍と符合するように増え、2016年には97万人と、4年間でおよそ21万人増加しています。

日本テニス協会によりますと、錦織選手の活躍が硬式テニスの人気を押し上げていき、中学校の部活動で硬式テニスができるよう希望する声が上がっていたということです。

中体連競技部の条件

中体連は、中学生の健全な心身の育成やスポーツ活動の振興などを目的に昭和30年に発足した組織です。
中学生が部活動で取り組む夏の16競技と冬の3競技について「競技部」を設けて中学校最大のスポーツ競技大会である「全国中学校体育大会」を主催しています。

中体連に新たな「競技部」が加わるためには、関東、北信越、近畿など全国を9つに分けたブロックの中体連のうち、6つ以上がその競技の競技部を設けていること、という規定を満たす必要があります。

しかし、6つ以上のブロックの中体連で新たな競技の競技部が設けられるためにはその競技が広く普及していることや、大会の準備や運営を行う人材が必要なことから規定を満たす競技が現れず、昭和56年以降30年以上、中体連の競技部の追加とそれに伴う大会の競技の追加は行われてきませんでした。

部の数・部員数とも中高で逆転

中体連や高体連が去年(平成29年)行った全国の部活動に関する調査によりますと、中学校では、ソフトテニスは、部の数が1万2300余り、生徒数は33万8600人であるのに対し、硬式テニスは部の数が2300余り、生徒数は4万2700人とソフトテニス部を大きく下回っています。

しかし高校になると、ソフトテニスは部の数が5400余りで、生徒数は8万4600人に減っていますが、硬式テニスは部の数が5500余り、生徒数は10万1800人とソフトテニス部を上回っています。

日本テニス協会は、中体連が主催する「全国中学校体育大会」に硬式テニスがないことで、部活動に硬式テニスがない中学校が多く、生徒が別の部活動に移ってしまい、継続的な競技力強化に影響が出ていると考えてきました。

このため、日本テニス協会は中体連が全国大会を開催する条件を満たすよう、およそ20年にわたって各都道府県の中体連への「競技部」の設置を求めて、自治体などに協力を働きかけてきました。

部活増加は課題も

日本テニス協会は、中体連に競技部が設置されることで、中学校での部活動の増加も期待したい考えですが、課題もあります。

部活動をめぐっては、顧問を務める教員の勤務時間の増加など教員の負担が問題になっていることから、スポーツ庁はことし3月、活動時間や休養日を定めた部活動の運用指針をまとめ、公表しました。

学校の中には、部活動の負担や競技の未経験などが理由で顧問を務める教員が見つからず、新たに部活動を設置することが難しいところもあるのが現状です。

中体連に「競技部」が設置されても、すぐに中学校で硬式テニスの部活動が増えていくかは不透明な状況です。