広がる「身元保証サービス」 利用の注意点は?

広がる「身元保証サービス」 利用の注意点は?
「身元保証人を用意してください」
病気で入院するときや、老人ホームに入る際、こんなふうに求められることが多くなっています。これまでは家族や親族がその役割を担ってきましたが、1人暮らしの世帯が増える中、広がりを見せているのが、事業者が行う「身元保証サービス」です。その実態を研究機関が調査したところ、家族に代わってさまざまな支援を行うことで高額の費用が必要になる場合があることが分かってきました。全国の消費生活センターに寄せられる相談や苦情も増えているということです。納得いくサービスを受けるには、どうすればいいのでしょうか。(ネットワーク報道部記者 飯田耕太)
「身元保証サービス」を行う、東京・千代田区に本部を置くNPO法人は、毎月、説明会を開き、大勢のお年寄りなどが集まっています。参加者に話を聞くと、身元保証人の必要性に直面したという人が多くいました。

71歳の独身の女性は「老人ホームに入るため、利用を真剣に考えています。知り合いが入院するときもやはり身元保証人を求められ、頼ったのがこのNPOでした。今の時代、こうしたシステムはとても助かります」と話していました。

第二東京弁護士会が去年行った調査では、回答があった都内の病院や福祉施設、合わせて700余りのうち、実に91%が入院や入所の際「身元保証人を求めている」と答えました。理由としては「費用が支払われなかった場合の保証」や、「死亡した場合の遺体の引き取りなどの対応」が挙げられました。

この一方で、1人暮らしの世帯は増え続け、頼れる家族や親族がいないというお年寄りなども多くなっているのです。

「身元保証」求める人相次ぐ

「身元保証サービス」を行う、東京・千代田区に本部を置くNPO法人は、毎月、説明会を開き、大勢のお年寄りなどが集まっています。参加者に話を聞くと、身元保証人の必要性に直面したという人が多くいました。

71歳の独身の女性は「老人ホームに入るため、利用を真剣に考えています。知り合いが入院するときもやはり身元保証人を求められ、頼ったのがこのNPOでした。今の時代、こうしたシステムはとても助かります」と話していました。

第二東京弁護士会が去年行った調査では、回答があった都内の病院や福祉施設、合わせて700余りのうち、実に91%が入院や入所の際「身元保証人を求めている」と答えました。理由としては「費用が支払われなかった場合の保証」や、「死亡した場合の遺体の引き取りなどの対応」が挙げられました。

この一方で、1人暮らしの世帯は増え続け、頼れる家族や親族がいないというお年寄りなども多くなっているのです。

実態調査 事業者は90余

こうした背景から、「身元保証サービス」を行う事業者が増えています。民間の研究機関「日本総合研究所」は、去年からことしにかけて実態を調査しました。

その結果、「身元保証サービス」を行う事業者は最近の10年ほどで急速に増え、全国で90余りにのぼることがわかりました。参入したのは、弁護士や行政書士の団体、医療・福祉関係者の団体、合葬の墓の運営団体、墓石販売や葬儀の会社など、実に多様です。利用者は把握できただけで全国でおよそ1万人。実際はもっと多いとみられています。

サービスは多様 高額の契約も

では、サービス内容はどうなっているのでしょうか。

調査によりますと、入院・入所の際の身元保証だけでなく、日常の生活支援や、利用者が亡くなったあとの引き取り、葬儀、遺品整理などのいわゆる「死後の事務」をセットで行うところが多くなっていました。

契約の形態はまちまちですが、必要な費用は数十万円から200万円程度とみられています。さらに、日頃の買い物や通院の付き添い、それに急病の際に駆けつけてもらうなどのサービスを受けると別途費用が発生し、より高額になることもあるのです。

相談・苦情も増加

こうしたサービスは指導・監督する行政機関が明確でなく、運営や契約の方法は事業者任せになっています。全国の消費生活センターなどには相談や苦情が寄せられているということです。

「紹介された団体を信頼して大丈夫か」
「契約時の注意事項を教えてほしい」
「毎月の支払いは低額と聞いていたのに、契約書では高額なので解約したい」
「返金があると聞いていたが、なかなか返ってこない」など。

最近は年間100件を超え、増加傾向にあるということです。

団体が破綻 サービス受けられず

取材を進めると、苦い経験をした方に出会いました。
独身で1人暮らしの飯塚ひろ子さん(77)。入院や、老人ホームへの入居が必要になった場合、高齢の姉や親戚に身元保証人を頼むのは難しいと、5年前、身元保証サービスを行う公益財団法人「日本ライフ協会」と契約しました。

ところが、この団体、全国のお年寄りから集めた資金の一部を不正に流用し、おととし破綻。飯塚さんはサービスが受けられなくなり、支払ったおよそ150万円も一部しか返ってきませんでした。

「まさかと思いました。この先どうしようって。どうしてこんなことになるのか、理不尽だという思いがありましたが、どうすることもできませんでした」

当時をこう振り返りました。
契約先さがしは「慎重にならざるをえない」
大変な思いをした飯塚さんですが、それでも、今後に備えて身元保証サービスは欠かせないと言います。

資料やホームページを見て新たな契約先をさがしますが、やはり高額の費用が必要です。信用できるところを見極めたいと、自宅から3時間近くかかる事務所に何度も足を運ぶなどして2年がかりで検討した末、ことし、あるNPO法人と契約しました。

「いろいろ確認しておきたいことがあり、時間がかかりました。保険ならば金額が明確に示されるので判断できますが、死後の対応などは、いくら『やる』と書かれていてもどこまでやってくれるか分からず、慎重にならざるをえません」

信頼いかに高めるか

運営を適正化し、利用者の信頼を得ることは、事業者にとっても大きな課題です。
利用者が全国で3400人以上の「NPOりすシステム」は、運営する法人とは別に、チェック機関としてのNPOを立ち上げ、利用者から預かった資金を管理しています。死亡後に備えて高額を預かることが多く、確実に保全される仕組みを作っているとしています。

また、亡くなったあとの対応が確実に行われたか、本人は確かめることができません。そこで、チェック機関のNPOが、業務が適正に行われているかも確認するということです。
このほか、利用者の意思を確実に反映させるよう、契約の際は原則として公正証書を作成し、日頃の生活支援は、利用したサービスの明細を記録して定期的に本人に伝えているということです。
NPOりすシステム 杉山歩代表理事
「不正が起きないよう、また、信頼度を高めるよう、互いに確認しあいながら運営しています。これからも利用者のニーズを聞き、多くの人に納得してもらえる仕組みづくりに努めたい」

利用の注意点は

それでは、利用者はどんな点に注意すればいいのでしょうか。調査した日本総合研究所は、トラブルを避けるため、気をつけたいポイントをまとめました。

▼自分が何をしてほしいか、明確にする。
▼自分がしてほしいことを事業者に伝える。
▼どれだけの費用が必要か確かめ、自分の支払い能力を検討する。
▼事業者ができないことを確認し、納得したうえで書面に残す。
▼誰と何の契約をしているか書面に残し、分かりやすいところに保管する。
▼契約内容を変更したり解約したりする場合の手続きを文書で説明してもらい、確認する。
▼不安があるときは、福祉の相談窓口となる近くの地域包括支援センターや、消費生活センターなどに相談する。

上智大学 栃本一三郎教授
調査の助言を行った上智大学の栃本一三郎教授(社会福祉)は、次のように指摘します。

「時代とともに家族の形態が変わり身元保証サービスへのニーズが高まっているが、不適切な契約が起きるおそれもある。トラブルを避けるため、利用する際は、担当者と直接会って実績を確認したり、信頼できる人や団体に相談したりする必要がある」

安心のための仕組みを

そもそも、病院や施設が「身元保証人」を求めること自体、適切かどうか検討すべきだという指摘もあります。一方で、病気で手術が必要になった場合などに身元保証人を求められ、急いで契約せざるをえないケースもあるのが実情です。老後のこと、入院生活のこと、そして、亡くなったあとのこと…大切なことばかりを委ねるのに、事業者の信頼性や価格の妥当性を評価するよりどころがないままでは安心して暮らすことができません。社会の変化に即した、確かな仕組みづくりを急ぐ必要があると感じます。