SNSで狙われる 悪質ネットビジネスの世界

SNSで狙われる 悪質ネットビジネスの世界
ネットワークビジネスと呼ばれる契約の勧誘を知っていますか? SNSを通じて友達になったと思った人などから突然、もうけ話を持ちかけられ、高額な契約をせざるを得なくなるトラブルが若者を中心に相次いでいます。しかも、悪質な業者は、若者たちがSNSで発信する趣味や好みを分析し、狙いを定めて近づこうとしているというのです。(ネットワーク報道部記者 野田綾 栗原岳史)
「知らない人からSNSでメッセージが届き、費用がかからず簡単にできるネットビジネスを一緒に起業しませんかと誘われた」(19歳女子大学生)

「SNSで女子大学生が簡単に短時間で稼げるという発信をしていたので、興味をもってカフェで会う約束をした」(19歳男子大学生)

国民生活センターには、SNSを通じて知り合った業者と契約し、多額の費用を支払ってしまったという若者たちから被害の相談が相次いでいます。

その手口の特徴は、もともとは知らない人とSNSを通じて結びつき、起業して金を稼ぐノウハウを教えるなどという話を持ちかけられるというものです。中には、SNSでやり取りを重ねて信頼関係を築いてから面会し、断りずらい環境の中で勧誘するケースもあるということです。

SNSを通じて勧誘される若者たち

「知らない人からSNSでメッセージが届き、費用がかからず簡単にできるネットビジネスを一緒に起業しませんかと誘われた」(19歳女子大学生)

「SNSで女子大学生が簡単に短時間で稼げるという発信をしていたので、興味をもってカフェで会う約束をした」(19歳男子大学生)

国民生活センターには、SNSを通じて知り合った業者と契約し、多額の費用を支払ってしまったという若者たちから被害の相談が相次いでいます。

その手口の特徴は、もともとは知らない人とSNSを通じて結びつき、起業して金を稼ぐノウハウを教えるなどという話を持ちかけられるというものです。中には、SNSでやり取りを重ねて信頼関係を築いてから面会し、断りずらい環境の中で勧誘するケースもあるということです。
SNSは、ハッシュタグなどを使って音楽やスポーツなど同じ話題に興味を持つ人を簡単に集めることができるため、業者の立場からするとターゲットを絞りやすく、より効率的な勧誘ができるといいます。

勧誘の結果、業者は起業や投資のための「初期費用」などの名目で、現金やクレジットカードの決済で支払わせた上、「もうけるためにはさらに投資が必要だ」などとさらなる支払いを求めていくというのです。

若者狙うネットワークビジネス

契約者からほかの友達の紹介を求め次々と契約を増やしていくこうした手法はネットワークビジネスと呼ばれ、マルチ商法とも言われています。

SNSを利用したマルチ商法の相談件数は年々増加し、その多くは、10代から20代にかけての若者だということです。
冒頭に紹介した19歳の女子大学生もSNSで勧誘を受けて待ち合わせたカフェに入り、その場にいた複数の男性から契約を結ばされたということです。カフェに入った瞬間に怪しさを感じ、「興味がないので帰りたい」と伝えたものの、引き留められ、「簡単にもうけられる」、「マルチ商法じゃないから安心してほしい」などという話を聞かされました。

結局、女子大学生はおよそ8万円を支払いましたが、その後解約したいと考え、消費者センターに相談をもちかけたということです。

若者たちが狙われるわけ

なぜ、若者の被害が広がっているのか。

消費者被害に詳しい五條操弁護士は、国民生活センターに寄せられる被害の相談を分析した結果、「つけ込み型」と呼ばれる若者の特徴を利用した勧誘が広がっているためだと考えています。

その若者の特徴とは、(1)SNSで趣味や好みを発信する人が比較的多いこと、(2)SNSを通じた人脈作りに関心の高い人が多いことだと言います。

これを業者の立場から見た場合、(1)SNSの発信履歴から「やせることに興味がある」などと個人の欲求を分析し、どのように声をかけると勧誘に効果的なのかと戦略を練ることができる、(2)人脈作りを通じて「簡単に金を得て成功できる」ともちかければ、敏感に反応する傾向があるということになり、そこに、つけ込むすきがあるというのです。

SNSはさまざまな情報を得るためのとても便利な手段である一方、悪用される危険もあり、使い方を十分注意する必要があるということです。
「若者の生活スタイルに合った勧誘方法が広がり、被害が増えていると言える。新しい生活が始まる時期はさまざまな可能性とともに気持ちもオープンになるので、被害にあわないよう特に注意する必要がある」(五條弁護士)

10代も狙われる

こうした悪質なネットワークビジネスでは未成年もターゲットになっています。

今月20日、ビジネススクールと称して若者を対象に会員になるようマルチ商法の契約を持ちかけていた東京の会社「iXS」が、消費者庁から6か月間の業務停止命令を受けました。
この会社の手口の特徴は、学生に消費者金融で金を借りさせたり、本来なら保護者が書くべき同意書を10代の未成年に書かせたりして契約していたというものです。その際、「親はこういうビジネスにいい意見を持たないから、ここに自分の親の名前を書いて」とか、「本当はダメだけど、自分でパパッと書いちゃって」などとそそのかしていたということです。
全国の消費生活センターにはこの会社に関する相談がおととしから先月20日までに413件寄せられ、このうち9割は18歳から20歳までの学生からの相談でした。

なぜ未成年が狙われる?

未成年が保護者の同意なく契約を結んだ場合、民法の規定で契約を取り消すことができます。

このため、若者を狙う業者からすれば、未成年との契約は金に結びつかない可能性があり、20歳になってから契約を結ばせるケースが一般的だと言われています。

ところが、国民生活センターによりますと、その傾向に変化が見られ、ネットワークビジネスなどのマルチ商法に関する10代からの被害の相談が、急激に増えているというのです。

去年、国民生活センターに寄せられた10代からの相談は400件で、この5年間で10倍に増えました。
「ビジネスのノウハウ」に関する商品の購入や、仮想通貨、それにIT関連の投機話などを持ちかけて契約を結ばせようという手口です。

国民生活センターによりますと、高額の化粧品や健康食品など、お金に余裕のある主婦などをターゲットにした同様の被害相談は以前からあり、寄せられる相談の中でいまも大きな割合を占めていますが、手持ち資金が少ない未成年も狙われているのです。

その理由について、国民生活センターは、「契約の同意書を保護者に代わって未成年に書かせたり、学生に消費者金融で金を借りさせたりして契約に結びつけるなど、業者にとっての成功事例が増えているため、ターゲットにしているのではないか」と分析しています。

被害にあわないために

では、どうすれば被害にあわずに済むのか。

先ほどご紹介した五條操弁護士にポイントを聞いてみました。

五條弁護士は、ネットで知り合った人は、素性をだまして契約の標的として近づいてくる人もいるので注意してほしいと呼びかけています。そして最も重要なのはすぐに決断しないことです。

「この場ですぐに決めてほしい」とか、「消費者金融や学生ローンでお金を借りて必要経費を用意しろ」という勧誘には従わず、だまされたと思ったら消費生活センターにすぐに相談してほしいとしています。

こうした勧誘の手口は巧妙化しており、あなたの子どもや友達に怪しい契約に巻き込まれそうな人がいたら、「若者は未熟だから」という上から目線ではなく、寄り添う立場で相談を聞いてあげてほしいと思います。

その姿勢こそが被害を拡大させないための有効な方法なのかもしれません。