まじでメルカリで野菜売ってるー!

まじでメルカリで野菜売ってるー!
野菜が高くなると、価格の動向はもちろん生活への影響を取材するのも記者の仕事。その中であまりにも違和感のあるツイートに出会いました。「まじでメルカリで野菜売ってるー!」 取材を進めると…。(ネットワーク報道部記者 飯田暁子、伊賀亮人)
さっそく検索してみると出てくる出てくる。たまねぎ20キロ2800円、ねぎ20本2780円など、1種類をまとまった量で出品している人もいれば、数種類を組み合わせて販売している人もいます。サイズの不ぞろいや小さなキズがついた「訳あり」もあり、その数、3万点以上。
さっそく検索してみると出てくる出てくる。たまねぎ20キロ2800円、ねぎ20本2780円など、1種類をまとまった量で出品している人もいれば、数種類を組み合わせて販売している人もいます。サイズの不ぞろいや小さなキズがついた「訳あり」もあり、その数、3万点以上。
衣料品や生活雑貨、家電製品はもちろん時には発行済みの領収書や盗品の野球ボールまで売られ良くも悪くも注目を集めるフリマアプリでいったいどんな人たちが野菜を売買しているのでしょうか。

脱サラに狩りガールも

メルカリによると、野菜の出品者で多いのは個人農家。市場やスーパーといった通常の出荷先に加え、余分に収穫できた場合や形などが規格外の野菜を売っているということです。

さらに農業を始めて間もない人たちが利用するケースも目立つそうです。その1人が脱サラを経て去年6月に群馬県伊勢崎市で農業を始めた津田圭祐さん33歳。妻がイギリス人で、現地でよく食べられている芽キャベツを生産しています。
飲食店への卸会社の社員だった津田さんは、つてを生かしてふだんはレストラン向けに出荷しています。さらに販路を増やしたいと思いついたのがスマホがあれば出品できるメルカリでの販売でした。

意外だったのは匿名での売買が基本のメルカリで「自分の顔が見える形で販売できること」でした。

津田さんは、購入してくれた人にさまざまな料理方法のほか無農薬栽培などのこだわりを伝えています。

「スーパーなどで売るのに比べて、購入する人に詳しい説明ができます。全国各地の人が買ってくれますが、『こういう食べ方をしたらおいしかった』とかひと言もらえると、本当にやってよかったなと感じます」。

もう1人は、兵庫県丹波市の山あいに住む岩間夏希さん、24歳です。猟師になりたくて1年前に大阪から移住した岩間さんは、家を貸してくれた大家さんが農家だったこともあり、家庭菜園も始めました。
わかったのは、「収穫期になると、ひとりでは食べきれない野菜がとれる」こと。そこで、以前から洋服などの売買で利用していたメルカリで売ることにしました。農作業は初心者であることを明記したうえで、縦・横およそ20センチ、高さ5センチほどの箱にししとうやピーマン、キュウリを詰めて、値段は送料込みで1000円にしました。
すると、早いときには出品から1時間ほどで買い手がつきました。1回の利益は、送料や手数料を除くと450円程度。去年は10回ほど野菜を売ったという岩間さんは、「発送の手間や送料を考えるとそれほどの収入にはなりませんが、素人の作った野菜でも買ってくれる人がいるんだと驚きました」と話していました。

ネット通販の入り口に

農家を対象にインターネット販売の助言やホームページ作成などを行っているネット販売アドバイザーの高口大樹さんは、「いきなりホームページを作るのはお金や運営の面でハードルが高いので、最近は、まずはメルカリで売ってみてはどうかとアドバイスしている」といいます。
そのうえで「発送するときに食べ方のアドバイスを添えるなどしてファンを作り、購入者とのつながりを深めてみてほしい。農家が個性を打ち出し、農作物を手軽に全国に発信できる面白い時代になってきたと感じています」と話していました。

生産者の顔が見える

購入した人たちも農家との交流を楽しんでいました。群馬県の津田さんの芽キャベツを頻繁に購入するという、愛媛県松山市の村上恵美さん(53歳)に話を聞きました。

「去年、たまたま芽キャベツを買って料理して出したら結婚して25年もたつ夫が好物だってことがわかりました(笑)。でもなかなか地元では手に入らなくてメルカリで試しに検索したら見つけたんです」。
届いた芽キャベツ
さらに気に入ったのが購入時のやり取り。ポトフや鍋、パスタ、メンチカツなどの食べ方を教えてもらうとともにこだわりの栽培方法も知り、生産者の津田さんに親しみを感じるようになりました。
村上さんは以前、メルカリで食料品を買った際、開封済みのものが届いて嫌な思いをしたこともあります。

こうしたやり取りで、信頼性を見極めることも大切だと指摘します。「最初はお試しで少量を買ったけど、質問にもすごく丁寧に答えてくれて誠実な人だということがわかりました。なにより夫が喜んでくれているし楽しいです」。

実際に試してみた!

メルカリによると、到着後1週間以内に消費期限が来るものや傷みやすいものなどは出品されても削除するなどの運用をしているということです。ただ、あくまで個人どうしの売買で野菜の安全性や品質は保証されません。

そこで百聞は一見にしかず。取材チームも試してみました。注目したのは、「家族だけの小さな農家でやっています」「大根は収穫してサイズが小さければ2本にします」など詳しい説明があること。

さらに野菜だけでなく畑の写真がありすでに購入した人からの評価も高いことから1800円の野菜の詰め合わせを選びました。

しかし注文直後にまさかの悪天候続き。「きょうも雨で収穫できませんでした」と発送が遅れる通知が届きます。野菜がすぐに必要な場合には向かないようです。

待つこと5日。ようやく発送の連絡がありました。翌日、届いた箱を開けてみると、小松菜やチンゲンサイなどの葉物野菜がぎっしりと、小ぶりの大根が1本。それにじゃがいもが5個と里芋が10個入っていました。葉物野菜はいくつもの虫食いの穴があり、無農薬野菜という説明にも納得です。

生産者と消費者がつながる

実感したのは野菜作りは天候に左右されるなど手間暇がかかること。スーパーに行けばいつでもきれいな野菜が並んでいることに慣れ、値段も安さにばかり気を取られていました。

今、農産物の売買で生産者と消費者の交流を売りにしたサービスも登場しています。「Ragri」や「ファームフェス」といったサービスは、ただ農産物を売るだけではなく、契約農家に作物を栽培してもらい、農家とメッセージや写真をやり取りしながら生育過程も楽しんでもらおうといものです。
「メルカリ」でも生産者と消費者の交流に力を入れていて、ライブ動画を使った販売を出品する人に勧めています。

店に足を運ぶことすらしないお手軽通販なのに、実は天候などに左右されるなど農業の現場を感じることができる新たな消費のカタチ。ネットの世界は日々、動いています。